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第3話 迷い

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心地いいまだ寝てたい正直もう起きたく無い、そう思いながらも白百合は目を覚ました。そこは、見覚えがあるような無いような場所にいた。
 「ここは?この布団・・・ここは教会の中?いつこの布団に?」記憶を手繰り寄せながら状況をゆっくり整理する。
 「確か教会の鍵を開けて・・・そこから記憶が途切れて・・・あれ皆んなは?先に起きて何処かに行ったのかしら?」白百合はとりあえず玄関に向かう事にした。
 「綺麗すぎる。まるで誰かがさっきまで掃除をしてたぐらいに綺麗。いや、私が此処に住んでいた時のままで時が止まったような感じね。」白百合は埃一つ落ちてない廊下を歩きながら教会にいた頃の記憶を思い出しながら玄関に向かおうとした。
 「あれ、確か此処を曲がれば玄関に着くはずなのに?私の記憶違いだったかな?それよりこの廊下ってこんなに長くて曲がり角多かったけ?」そうな事を思いながらも進んだ。しばらく歩くと扉を見つけた、扉を開いて見るとそこは寝室だった。
  「こんな所に寝室なんてあったかな?」そこで違和感に気づいた「いやこの寝室はさっきまで私が寝てた部屋?どうして、確かに記憶どうりに進んだはずなのに同じ場所に着くの?作り的には一本道で此処に着くには私が何処かで反対側に進まないと・・・」白百合は部屋を出てまた同じ方向に進んだしかし結果は変わらなかった何回やっても同じ寝室にたどり着いた。
 「そう言う事ですか。これはまた定番の心霊現象が起きてると言う事でしょか?」そう言うと白百合は手鏡を出して覗き込んだ、すると白百合の後ろに記憶どうりの廊下が映し出された。
 「やはり、そうでしたか。定番過ぎて逆に気づかなかったです。この現象は霊の力により同じ場所に辿り着く現象ですね。たまたま鏡を持っていて良かったです。」そう言うと鏡を見ながら後ろ向きに進み始めた。しばらく歩くと玄関にたどり着くついた。
 「どうやら抜け出せた見たいですね。」安堵の声を漏らすと玄関に皆んなが集まって来た皆んな手鏡を持っていた。
 「皆さんもどうやら同じ現象にあったみたいですね。」霞が落ち着いた口調で言った。
 「そうらしいですね。でも皆さんはどこにいたのですか?」白百合は疑問を提示した。
 「私は寝室でした。」白百合が言った。
 「ダンナ私は風呂でした。」
 「先生は食堂です。」
 「ワタシハ、セイドウデス。」
 「私は~倉庫らしい所です~」
 「私は二階の寝室です。」全員が目覚めた場所を言い終わると次の疑問が浮かんだ。
 「しかし、なぜ私たちは教会の中の別々の場所で目覚めたのでしょうか?」霞考えながら言った。
 「霊障だと考えるのが自然なんじゃ?現に此処に来るためにすでに経験しているのだから」
 「そうですね。まさか最初が鏡の中の世界だったのだから間違い無いでしょう」そう言いながら桜が玄関の扉を開けようとしたが扉は鍵が掛かっているのかのように開かなかった。
 「あれ?開かないでもこの玄関は鍵がついて無いから開くはずなのに」
 「また、霊障ですね。どうしましょう?この場合は別の出口を探すか此処で起きてる全てを解決するしか無いですね。」
 「まぁ、前者の別の出口は無いから後者の全てを解決するのが正解でしょうね。」
 「白ちゃんが言うなら間違いないね~」
 「そうださっき女の人から此れを貰ったので皆さんにも分けましょう」そう言うと白百合は先ほど貰ったお守りをみんなに渡した。
 「これは、すごい効果を持ってますね。これ程の力を持っているお守りはお祖父様でも作れない・・・」そう、霞は言った。
 「まさか、霞が絶賛するとは相当すごいお守りですね。」
 「そりゃそうですよ!これ程の呪力を持った人がいると言うことは陰陽道を極めたお祖父様より遥かに上の方、陰陽の頭ぐらいの呪力です!」霞が珍しく興奮しながら喋り出した。
 「このお守りを持っていれば最悪を確実に回避出来るはずです!なの、でなくしたり落としたりしないようにお願いします!」霞は興奮しながらを細心の注意を促した。
 「最悪?最悪とは、どう言うことですか?」桜が聞いた。
 「此処に入ってから気づいたのですか、ものすごい量の怨霊が居ます。わかるだけで66人」
 「いや、66人で全部だと思います。」白百合は口を挟んだ。
 「ダンナどうしてそう言い切れるのですか?」
 「此処で死んだのは犯人を含めてちょうど66人だからです。」
 「確かに66人ですが、さらにもう一つ強い力が、まるでこの教会を包み込むようにある。まるで私達を此処から出さないようにしてるようなそんな大きな力が。まさか!白ちゃんが言ってた逃げられなかった5人目の霊力だと言うの!でも、これは生きてる人の霊力ぐらいの力が!」
 「5人目!そんなだってあの子はもう死んでいるはずなのに!」白百合は感情的に叫んだ。
 「なぜそう言い切れるのですか!どう考えてもこれは生きてる人の霊力のまんまですよ!死んでたらあり得ないです!」その会話を見かねた桜が口を開いた。
 「霞ちゃん、落ち着いてよく聞いて5人目は私たちの前で自害したのよ。だからあの子は生きてるはずがないの。」
 「それじゃ、この霊力は死ぬ直前にこの教会を包み込んだと言うの!でも、そうすれば全て辻褄があう。」霞は顎に手を当てながら言った。
 「辻褄があう?どう言うこと?」
 「変だと思わない?66人の霊は全て怨霊にも関わらず一人も襲われてない。それどころか定番の現象しか起きてない。そう考えたら、この教会を包み込んだ包む霊力は私達を守ってくれている。」
 「守るってどうして?」
 「それは私にも解らない」霞は両手を上げてお手上げポーズを作った。
 「あの~ダンナこんな時に言うのも何ですけど私、厠に行きたいのですが~」古都音は恥ずかしそうに言ったすると皆んなは笑い始めた。
 「ちょっと何で笑うのですか!こっちは死活問題ですよ」
 「ごめんなさい、ついこんな状況でそんなこと言うから~」とりあえず白百合の案内で厠にたどり着いた。
 「絶対に、そこで待ってて下さいよ!振りじゃないですからね!」そう言って古都音は個室に消えてった。
 「全く古都音は緊張感が無いですね。」そう言いながら古都音を待っていると個室から叫び声が聞こえた。
 「古都音どうしたの!返事して!」白百合は扉を叩きながら古都音に呼びかけた。
 「あ~あの紙が無いです。」また皆んなが笑いに包まれた。
 「もう、笑い事じゃ無いですよ!」古都音が個室から声をあげた。すると何処からか声が聞こえてきた。
 「赤い紙と青い紙どっちがいい?」
 「もう!ダンナそう言う冗談はいいですよ~」
 「あの~古都音、私は何も言ってないですけど・・・」
 「え?本当ですかダンナ?」
 「はい」白百合は言い切った。
 「じゃあ、この声は何処からか?えーとこう言う時には確かえーと」
 「古都音答えてはいけませんよ。そのまま出てきて下さい。」
 「わかりました、ダンナちょっと待って下さい。今、ズボン上げんので」
 「本当、その、ずぼんって物めんどくさい作りね」白百合は呆れながら言った。
 「いや~お待たせしました。まさか、また定番の現象が起こるなんて~ああ言う時は答え無いかふつの紙と答えるのが正解ってのを忘れてました」
 「今度からは、冷静になって答えて下さいね。」
 「後、とっても言いにくいのですがあの~」古都音は言いにくそうに言った。
 「あの、お守りあまりの驚きに厠に落としてしましまして・・・」
 「いやいや、幾ら何でも早すぎるでしょう。さっきのさっきですよ。あれ振りじゃ無いですよ。」白百合は茶化すように言った。
 「わかってますよ!どうしましょうダンナ~」
 「しょうが無い、私のをあげましょう次はしっかり持ってて下さいね。」そう言うと霞は古都音にお守りを渡した。それから、どうするか話合いになった。
 「まずは、地図を作るためにこの教会を散策しましょうか?」霞が提案したが白百合が覚えていると言うので地図を作ることにした。
 「今が、寝室棟一階の厠の前です。」白百合の作った地図を見て間取りを説明した。地図は一階と二階の2枚になった。
 「寝室は、全て北向きになってます。対して聖堂があるのが渡り廊下を渡って右に曲がると扉がありますその先が聖堂です。因みに101室から201室までが4人部屋202しっかりと203室は3人部屋になります。」
 「しかし、こんな簡単な作りで迷っていたのですね。鏡の中おそるべし。」霞が言った。
 「ところで、地下牢獄は一階の何処に?」
 「それが覚えてないです。」
 「まぁ何処かに隠し扉とかがあるのでしょう。」桜が言った。
 「簡単な間取りをですので。此処で解散して玄関を開ける方法探しましょうか?集合場所は聖堂でいいですね?」そうして、各自散策に出た。
 白百合は倉庫に向かった、何か使えるものが無いか探していると、あるはず無いものを見つけた。
 「この、人形確か壊れてしまって直すことが出来なかったから、捨てたはずなのに綺麗にまるで新品のようになってる。」すると、倉庫の陰で人影が動いた。白百合は他に誰か来てるのかと思い声をかけた。
 「誰かいるのですか?返事が無いですね。」白百合が覗き込むと誰も居なかった。
 「やだ、私ったら自分の影に話かけた何て恥ずかしい!」倉庫には捨てたはずの人形しか特に無かったので他の場所に向かうことにした。次に風呂場に向かった。そこで、桜に会った。
 「白ちゃん。何かあった?」
 「特に何も無いよ桜姉さん。ところで何で着物脱いでるの?」
 「いや~なんかお風呂出来てたからちょっと入ろうかな~って」
 「お風呂が出来てるの?でも誰がお風呂を炊いたの?」
 「わからないわ。でもなんか入らないと勿体無いような気がして気がついたら着物を脱いで居たの。折角だから朝の約束で一緒に入ろうよ!」
 「まぁ約束だからね。わかったよ。」風呂場に行ってみると確かに沸かしたての様に湯気を立て風呂が出来て居た。
 「本当にお風呂が出来てる。」
 「そうでしょう~白ちゃん体流してあげる!」
 「いいよ1人で出来るから。」
 「だ~め!今は昔みたいにいいでしょう?」
 「もう、しょうがないな~今日だけだよ桜姉さん、いや今は、お姉ちゃん!お願い!」
 「ホイ来た!白ちゃんまずは頭からね~次に体だからね~」頭を洗ってもらい、次に体を洗ってもらった。
 「ふふ、白ちゃん可愛いな~お姉ちゃんのお嫁さんになってよ!」
 「え~どうしようかな~でもお姉ちゃん大好きだからな~」白百合はまるで小さな子供の様に桜に甘えながら言った。すると、桜の手つきが徐々にいやらしくなって来た。
 「お姉ちゃん、本気だよ。白ちゃん、お姉ちゃんは他の女の子と仲良くしているの見ているとね、つい妬いちゃうのだから白ちゃんを独り占めしたいの・・・この声も顔も胸も秘部も白ちゃんの全てもお姉ちゃんのものにしたいの・・・だからね女の子同士だし姉妹同士の赦されない恋をしちゃったの・・・だから今だけは、私のものになって夢でもいいから今だけはお願い・・・」
 「お姉ちゃんなんか変だよ?どうしたの?」しかし桜は止まらない、そこで桜がお守りを持ってない事に気付いた。
 「まさか、お姉ちゃん何かに取り憑かれて・・・ひゃん!」白百合はそのまま押し倒され桜の求めるまま体を預けた。
 「白ちゃんやっとお姉ちゃんのものになってくれるんだね。嬉しいな~このまま時間が止まればいいのに・・・」しばらく、2人は激しく求めあった。そして、桜は力が抜けたように倒れこんだ。
 「お姉ちゃん?どうしたの?」
 「う~ん白ちゃん?私どうかしてなのかな?全然記憶が無いんだけど?って白ちゃん下から血がどうして!」どうやら本当に覚えてないらしい。白百合は今まで起きたことを全て説明した、所々恥ずかしかったかが我慢して説明を終えた。
 「つまり、お姉ちゃんは何かに取り憑かれて居たと。まぁお守りを持って来なかったお姉ちゃんが今回は悪かったわね。しかし、話を聞く限り私に取り憑いた霊は本気で一発殴らないと気がすまないわね。白ちゃんの処女を勝手に奪うなんてしかも私の体で!私自身で奪うつもりだったのに!」どうやら取り憑かれている時に言った全て桜の心の声は本音だったらしいのでとりあえず桜を全力で殴った。
 「まさか、お姉ちゃんが本気でそんな風に思って居たなんて、私ちょっと嬉しかったかも・・・」
 「え?白ちゃんそれってまさかお姉ちゃんにお付き合いの告白をしてくれたの?それなら急いて此処を出て式の準備をしなくちゃ!」とりあえずまた殴っといた。
 「どうだい?わっちからの心の声を全て吐き出してしまう体の贈り物は?」
 「貴方ね!私の体を変にして白ちゃんの処女を奪わせたのは!ちょと嬉しかったけど!いや!嬉しく無い!」
 「おや、そうだったかい?姉妹同士の禁じられた恋を応援してやろうと思ってやってやったのに気に入らなかったかえ?」
 「たとえ、心と体が自分でも行動したのが別の力ならそれはもう違う。」白百合はいい切った。
 「そうかえ、わっちはてっきりこれで円満に終わると思ったのだがな。」桜は耐えられなくなったのか突然現れた少女を殴っていた。
 「何をするのじゃ!わっちは、貴様のためを思って手伝ってやったのじゃぞ!」
 「その気持ちは受け取ったけどね!恋とは、自分の力でどうにかしないといけないことなのよ!」珍しく桜が感情に任せて説教を始めた。
 「そうかえ、いらぬお節介だったのかえ?しかし、わっちのおかげでお主は短い間だが女同士の禁断の桃源郷に行くことができたのであろう?」
 「それに関しては、感謝の言葉しかな無いけどね!それでも、やっていい事と悪いことがあるのよ!」
 「そうかえ、それならばお主はもういらぬ。わっちの贄になるが良い。」すると桜は床にゆっくりと吸い込まれて行った。
 「何これ、いや助けて白ちゃんお願い!お姉ちゃんまだ消えたく無い助けて!」
 「そう叫ぶで無い、お主はまだ死ぬ訳では無い。わっちの遊び道具になるだけだ。」そう言い終わると桜は床の底に消えて行った。
 「なぜなの?何故私じゃ無いの、お姉ちゃんは何もして無いじゃない!」
 「あやつは、わっちの顔を殴ったじゃないか。それだけでは納得はしないかえ?」
 「だったら私も貴方を殴るそうすれば私もお姉ちゃんと同じ所に行けるの?」
 「それは、無理じゃな。お主をあやつと同じ所に連れてくにはそれが邪魔じゃ。」少女が指を指した所にはお守りがぶら下がっていた。
 「それがあるとわっちは、手を出すことが出来ん。全く、龍花のやつ余計な事をしおって。」
 「龍花さん?龍花さんを知っているの?」
 「あまり前であろう。あやつは、私の姉だ。それがあると言うことはあやつに会ったと言うことかえ?そうならば私は、桜と言ったかあやつと遊びながら白百合お主を待つことにしよう。その守りが消えた時にまた会おうぞ。」 
 「待って、何で私の名前知っているの!教えてよ貴方は誰なの!」
 「おや、忘れてしまったのかえ?悲しいの、5人目じゃよお主らの前で自害したであろう?」
 「5人目?嘘でしょ!」その瞬間封印されていた記憶が滝のように流れ込んできた。
 「その様子だと思い出したようだね。わっちの事を、嬉しいね~まぁ、また会う事を楽しみにしてるよ今度はその邪魔な守りが無くなった時にない事を祈ってるよ。」少女は、そう言うと陽炎のように消えて言った。
 「待ってよ!話はまだ終わってない!戻ってきてよ!ねえ、×××××!」そこで記憶が途切れた。
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