【完結】今後の鉈枠は、

ほわとじゅら

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第一章 ソシャゲの課金を止めるには?

#15:休憩! - 2

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「修行ってほどではないけどな。並んでるケーキが凄いウマくて。なんとか頼み込んで住み込みで仕事を手伝い始めたとき、ちょっと日本が恋しくなってさ」

 ホームシック。日本が恋しい話など、昨日の話の中では聞かなかった気がする。

「敢えて言わなかったんだけど。SNS眺めてる内に、本当にたまたまだったんだけどさ。宗武の配信告知を見つけたんだよ。人の悩みを聞く配信をさ」

 国境を越えて、フランスの地で先輩は俺の配信をみつけてくれたようだ。

 なんてロマンチックだろうと思ったが、俺の昔の配信は今日みたいに、しっかりと相談を聞く配信ではない。

 若い年齢の子供からテストで赤点取ったけど、親になんて言えば良いのか分からないとか、給与が薄給でやってらんないとか、愚痴を聞くことが多かったっけ。

「俺は、ホームシックなんていう小さな悩みでも聞いてくれるのかなって配信ページを開いたら、お前の声が聞こえて。なんか聞いてる内に高校時代の後輩の声に似てるなぁって。何度かチラチラ配信を見ている内に、いつしか顔出しをした日があっただろ?」

「え、まさか、ウッカリ顔出し事故配信のときを先輩見てたんすか!」

 大昔の初期配信だ。ウェブカメを取り付けて、動く鉈ちゃんのテスト配信を行った日。それまでは顔出しをしていなかったのに、動くVキャラを試しでやった日に、なぜか上手く配信に乗らず俺の顔がドーンと出てしまったのだ。

 すぐ配信を切ったけど。僅か数秒のことだから、アーカイブも残していない。確か見れたリスナーだって数人くらいしかいなかった筈で。

 以降、古参リスナーの間で真しやかに語り継がれる話となっている。

「見てたよ。事故って顔をモロに映し出す宗武の顔を見て、俺、休憩中に飲んだ紅茶を噴き出したんだからな?」

「うわ。きたねー!」

「あんときから宗武の配信を毎回見るようになったんだ。それから日本に帰ってきたタイミングで、グッズ販売を始めたから応援のつもりで買ったのが始まりだった」

 いわゆる推し活の開始のことを意味するのだろう。

「注文したグッズが届くたびに、宗武も頑張ってる、俺も頑張ろうって思ってた」

「先輩…」

 純粋に俺のために、先輩は全力でリスナーとして応援してくれていたようだ。

「しまった。ペラペラと喋っちまって! 悪い!」

「え?」

「休憩取るって話だっただろ! トイレは大丈夫なのか? 次の準備するって言ってたよな?」

「先輩、大丈夫っす。さっきリスナーの皆に言ったことは、単純に俺が喋り疲れたから一呼吸入れたかっただけなんで。トイレも間に合ってます。次の準備は既に出来てるんで!」

「そうなのか。それなら良いんだけど…それより、水を差すようで悪いけど。今日の配信、俺にはちょっと理解できないなって正直思う」

「え?」

「他の人からも指摘がきてただろ。親からのお小遣いを止めたら良いとか、ソシャゲ以外のことに集中すれば良いっていう内容の諸々さ。いくつか取り上げてただろ?」

 先ほど配信内で俺がリスナーからの解決策を取り上げた際、先輩はきちっと聞いていたのだろう。

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