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不思議な夢と現実と餌
電流と発狂
「助かる。でも御堂さんのことについては、もう調べるのはナシにしてくれ。本人が訊きたいことがあれば直接訊ねてほしいと言われたよ」
「分かったよ。じゃあ、そっちは任せるよ」
俺は松葉杖を両脇に抱えて立ち上がる。碧山との久しぶりの会合は終わりだ。そろそろ病室に戻ってゆっくりしたい。
「二川。お前、入院中だけどさ、何か他に調べてほしいことがまたあれば退院後で良いぞ。面倒だと思うけど、いつもの場所で電話を掛けて伝えてほしい」
「へいへい。了解」
「それと、もう一つ」
「おぉい。まだあんのかよ!」
俺は振り返り、碧山を見た。
「ナインズが、これまでお前たちにコラボの依頼を掛けてきた件。振り返って、よく考えてみれば宇多野さんが安毛としての個人配信で、初めて世間に自分は、やさいゲームを作った開発者だと告げたんだったよな?」
「ああ。それが、どうかしたか?」
「安毛とのコラボ打診ではなく、宇多野さんに開発資金の提供と独占試遊を打診していたってことだけど、そもそも、どうしてコラボのメリットがあるとナインズは思ったんだ?」
そんなのは従業員ではないので分からない。与田と以前、新宿伊勢丹のデパ地下のコンコースで出会いカフェに誘われて当時聞いた記憶の彼方においては、宇多野をヘッドハンティングしたい様子が伺えた。
もちろん俺にもヘッドハンティングを匂わせていたが。
「やさいゲームの次なるヒット作を出したいからに決まってんだろ?」
「それを言われたら、そうかもしれないけど。言っちゃあ何だが、お前たちの事務所は大きいわけじゃない。なのにコラボを何度も迫るには、それだけ何か魅力のようなものをナインズは強く感じたんだろ? でも、それが何なのか分からない。ナインズは最近、自社内でゲーム開発を行っているそうだから、例えば新作ゲームとして作ってレビューしてもらうとか。あるいは誰かが、やさいゲームの開発者を推している人物がいてコラボを何度も迫ったという感じなら、しっくり来るんだが」
碧山は何を気にしているのか、さっぱり分からない。
「あぁあ!」
たったいま電流が走ったみたいな衝撃を受けた。思わず発狂した馬鹿デカい声を庭中に響かせてしまった。
「おい。突然どうしたんだ二川?」
「何だコレ。え、コレはいつの記憶、だ?」
「おいおい。何を思い出したっていうんだ?」
「岸だよ。岸光牙が事務所前にいた……いたんだよ! でも、何だろう。いつ来たのか思い出せないし。でも隣に宇多野もいたっぽいから聞けば日付も分かるかもしれない」
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