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【第三章】 私の王子様
結末
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すべてが終わって、周囲で負傷していたメイリスさんやグレドさんをはじめとする戦闘員の方々を治療していき、損壊してしまった建物を魔法で直して、ようやく一息をついたところで治療を終えたニアさんがやってくるのだった。
「レベルカさん、本当に大丈夫なんですか?」
「ええ。嘘みたいに体の方は治って来てるわ。たぶん、これのせいだと思う」
そう言って彼女は腹部の辺りを見せてくる。
そこには魔適合物を取り出した辺りに赤い宝石のようなものが現れていた。
「え゛!? な、なんですかそれ!?」
「たぶん、魔適合物に一部が体に残っているんだと思うわ。でも大丈夫よ、私の意識が強く持っていかれるってことはないの。今のところはだけどね」
「そうなんですか……。それで、なんでまたこんなことをしたんですか?」
そう聞くと、レベルカさんは眉を寄せながら俯いてしまう。
「……。その、も、もうサイオン様の傍にはいられないと思って、せめて最後にサイオン様のお役に立てればと思って……」
「えっと……、どうして街で暴れることが彼の役に立つと??」
「勇者学園は学外活動でも高い功績を上げた者に追加内申点を出す仕組みがあるの。それを利用して私が悪を演じればサイオン様のお役に立てると……」
……。
……いや、どんな遠回しな役立ち方。
普通に傍にいるだけでいいじゃん。
苦い顔となる私に対し、ニアさんが咳払いをして話しても良いかと合図してくる。
「それで? 本件はすべてあなたが原因ということでよろしくて?」
「……はい。今回は――」
「僕がすべての指示を出した。僕はレベルカが逆らえないレベルの弱みを握っている。彼女に責任はない」
サイオンが彼女の言葉を遮り、前へと出る。
「なっ! サイオン様!」
「黙っていろ」
サイオンは目を伏せて覚悟を決めている。
「さすがにそんな見え透いた嘘、わたくしにも通じませんことよ?」
ニアさんがそう述べると、サイオンさんは頭を深々と下げる。
「……頼む。そういうことにしてはくれないか」
「本件の被害をご存知で言っておられますの?」
「被害は……。把握できていない。甚大なものだと推定している」
「貴族位を失う覚悟はございまして?」
「覚悟はして――」
「そんなのダメです!」
レベルカさんがニアさんへと迫る。
「本件は私が起こした事件です! それはニア様もご存知のはずです! あとから勝手に結果だけを捻じ曲げるのはやめて下さい!」
「表に出る情報が真実であることなんて僅かです。あなただってこちら側の人間なのですから、それくらいお分かりでしょう?」
「それは……っ」
「……そうですわね。そうしましたら、本件ではミュリナさんが多大な被害を被っておられます。彼女に決めて頂くというのはいかがでしょうか」
「え゛!? 私ですか?!」
「はい。あなたは今回の事件解決の最大の功労者であるのと同時に、本事件における被害者でもあります。その被害者としての意見を参考にさせていただきたいです。ミュリナさん、どうか本心で意見を語って下さいな」
そんな風に言われてしまい戸惑ってしまう。
私の本心を言うのであれば、二人のことはお咎めなしとさせてほしい。
二人とも恋愛に関しては超がつくほどの不器用だということがわかったので、悪意の欠片もない。
「……。私は彼女のことを許したいと思っています。私自身は大した被害を受けてませんし、それになにより、二人とも考え過ぎなんだと思います。本来ならここまでこじれる話じゃなかったと思います」
「本件では多額の損害を賠償しなければなりません。それでも彼女のことを許せますか? わたくしが問うているのは本事件に対する彼女の罪について論じております」
「もしそうなったら、私は彼女の賠償を手伝います。悪いことをしたのは確かですが、レベルカさんはこんなことをしなくてよかったはずなんです」
「……そうですか」
とニアさん何やら考え込んでしまい、しばらくすると、考えがまとまったのか口を開いてくる。
「サイオン・レイミル。あなた、別宅を手放す気はありませんか?」
「いきなり何の話だ」
「いいから答えて下さいな」
「……。必要ならばする」
「わかりました。では、わたくしが買い取らせていただきますの。たぶんそれで足りますので」
「いい加減何の話かを言え。論点が見えない」
「本件の損害賠償額について話しておりますの」
「馬鹿を言え、僕の別宅を売ったくらいじゃどう考えても足りないだろう」
「いえ。被害に関してですが、まず本件での死者はゼロ。負傷者も……実質的には出ておりませんの。被害に遭われた方は、ミュリナさんがほとんどの方を治してしまいましたので治療費はかかっておりません。強いて言うのであれば、ミュリナさんが治療費を請求すれば発生致します。建物も先ほど彼女が直してしまいましたので、修理費は発生しません。まさか魔法でこんなことができるとは思っておりませんでしたわ」
「そん……な……。じゃ、じゃあ――!」
「あとは役所、学園、警備隊への支払いのみとなりましょうか。そちらはわたくしサートンバゼル家が手を回せる領分となりますの」
ニアさんが淡々と述べていく。
「最後に彼女の刑事罰に関してですが、最大限の減刑を行うようわたくしの方から圧力をかけます。どこまでできるかはわかりませんが、罰金のみで済ませられるようにするつもりです」
「待ってくれ! なんで……なんでそこまでするんだっ! 僕は君のことを敵視していて、幾度も喧嘩まで売っていたんだぞ!」
理解できないという顔のサイオンさんの肩にニアさんは手を置き、私の方を向くよう示す。
「真なる勇者の像がここにあることを、いい加減にあなたも理解なさい。勇者とは、知恵と、強さと、そして勇気ある心を持つ者に与えられる称号です」
それを述べて、ニアさんはそのまま行ってしまうのだった。
「レベルカさん、本当に大丈夫なんですか?」
「ええ。嘘みたいに体の方は治って来てるわ。たぶん、これのせいだと思う」
そう言って彼女は腹部の辺りを見せてくる。
そこには魔適合物を取り出した辺りに赤い宝石のようなものが現れていた。
「え゛!? な、なんですかそれ!?」
「たぶん、魔適合物に一部が体に残っているんだと思うわ。でも大丈夫よ、私の意識が強く持っていかれるってことはないの。今のところはだけどね」
「そうなんですか……。それで、なんでまたこんなことをしたんですか?」
そう聞くと、レベルカさんは眉を寄せながら俯いてしまう。
「……。その、も、もうサイオン様の傍にはいられないと思って、せめて最後にサイオン様のお役に立てればと思って……」
「えっと……、どうして街で暴れることが彼の役に立つと??」
「勇者学園は学外活動でも高い功績を上げた者に追加内申点を出す仕組みがあるの。それを利用して私が悪を演じればサイオン様のお役に立てると……」
……。
……いや、どんな遠回しな役立ち方。
普通に傍にいるだけでいいじゃん。
苦い顔となる私に対し、ニアさんが咳払いをして話しても良いかと合図してくる。
「それで? 本件はすべてあなたが原因ということでよろしくて?」
「……はい。今回は――」
「僕がすべての指示を出した。僕はレベルカが逆らえないレベルの弱みを握っている。彼女に責任はない」
サイオンが彼女の言葉を遮り、前へと出る。
「なっ! サイオン様!」
「黙っていろ」
サイオンは目を伏せて覚悟を決めている。
「さすがにそんな見え透いた嘘、わたくしにも通じませんことよ?」
ニアさんがそう述べると、サイオンさんは頭を深々と下げる。
「……頼む。そういうことにしてはくれないか」
「本件の被害をご存知で言っておられますの?」
「被害は……。把握できていない。甚大なものだと推定している」
「貴族位を失う覚悟はございまして?」
「覚悟はして――」
「そんなのダメです!」
レベルカさんがニアさんへと迫る。
「本件は私が起こした事件です! それはニア様もご存知のはずです! あとから勝手に結果だけを捻じ曲げるのはやめて下さい!」
「表に出る情報が真実であることなんて僅かです。あなただってこちら側の人間なのですから、それくらいお分かりでしょう?」
「それは……っ」
「……そうですわね。そうしましたら、本件ではミュリナさんが多大な被害を被っておられます。彼女に決めて頂くというのはいかがでしょうか」
「え゛!? 私ですか?!」
「はい。あなたは今回の事件解決の最大の功労者であるのと同時に、本事件における被害者でもあります。その被害者としての意見を参考にさせていただきたいです。ミュリナさん、どうか本心で意見を語って下さいな」
そんな風に言われてしまい戸惑ってしまう。
私の本心を言うのであれば、二人のことはお咎めなしとさせてほしい。
二人とも恋愛に関しては超がつくほどの不器用だということがわかったので、悪意の欠片もない。
「……。私は彼女のことを許したいと思っています。私自身は大した被害を受けてませんし、それになにより、二人とも考え過ぎなんだと思います。本来ならここまでこじれる話じゃなかったと思います」
「本件では多額の損害を賠償しなければなりません。それでも彼女のことを許せますか? わたくしが問うているのは本事件に対する彼女の罪について論じております」
「もしそうなったら、私は彼女の賠償を手伝います。悪いことをしたのは確かですが、レベルカさんはこんなことをしなくてよかったはずなんです」
「……そうですか」
とニアさん何やら考え込んでしまい、しばらくすると、考えがまとまったのか口を開いてくる。
「サイオン・レイミル。あなた、別宅を手放す気はありませんか?」
「いきなり何の話だ」
「いいから答えて下さいな」
「……。必要ならばする」
「わかりました。では、わたくしが買い取らせていただきますの。たぶんそれで足りますので」
「いい加減何の話かを言え。論点が見えない」
「本件の損害賠償額について話しておりますの」
「馬鹿を言え、僕の別宅を売ったくらいじゃどう考えても足りないだろう」
「いえ。被害に関してですが、まず本件での死者はゼロ。負傷者も……実質的には出ておりませんの。被害に遭われた方は、ミュリナさんがほとんどの方を治してしまいましたので治療費はかかっておりません。強いて言うのであれば、ミュリナさんが治療費を請求すれば発生致します。建物も先ほど彼女が直してしまいましたので、修理費は発生しません。まさか魔法でこんなことができるとは思っておりませんでしたわ」
「そん……な……。じゃ、じゃあ――!」
「あとは役所、学園、警備隊への支払いのみとなりましょうか。そちらはわたくしサートンバゼル家が手を回せる領分となりますの」
ニアさんが淡々と述べていく。
「最後に彼女の刑事罰に関してですが、最大限の減刑を行うようわたくしの方から圧力をかけます。どこまでできるかはわかりませんが、罰金のみで済ませられるようにするつもりです」
「待ってくれ! なんで……なんでそこまでするんだっ! 僕は君のことを敵視していて、幾度も喧嘩まで売っていたんだぞ!」
理解できないという顔のサイオンさんの肩にニアさんは手を置き、私の方を向くよう示す。
「真なる勇者の像がここにあることを、いい加減にあなたも理解なさい。勇者とは、知恵と、強さと、そして勇気ある心を持つ者に与えられる称号です」
それを述べて、ニアさんはそのまま行ってしまうのだった。
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