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冒険の旅は6人で
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私は魔王。
そしてこの城の主であり悪魔の中の選ばれし悪魔なのだが、何故私は悪魔なんて職業を選んだのか覚えていない。
それは、昨日の夜のこと。
男にふられヤケ酒をしていた私はいつの間にか眠ってしまっていた。
よだれを手で拭いながら起きると、床には一つのダンボール。
確かお昼に受け取った物だがまだ中身は確認していなかった。
痛む頭を押さえながら、何か頼んでたかなと開けてみる。
中にはゲームソフトと本体。
発売がかなり延期になって忘れてたが、何でもゲームの世界に意識が入って現実みたいに遊べるとか。
色々な不具合で発売予定から数年経っていたためすっかり忘れていた。
買ったソフトは冒険物。
彼氏にふられたムシャクシャを晴らすにはいい。
私は早速パソコンに繋ぎ電源を入れる。
すると目の前に何もない真っ白な空間が広がっている。
「すごっ! これがゲームの中なんだ」
初めての体験にこれだけでテンションが上がっていると、突然目の前にパネルが現れた。
どうやらここに表示してある役職から選ぶようだが、勇者というのも面倒そうだし、どれを選んでも道のりが長そうだ。
そこで私が選んだのが――。
「魔王だーっ! やけ酒してやったんだから覚えてるわけないよ。てか何役職魔王って? 何で魔王の役職なんてあるのよ!!」
城にいればいいだけの魔王なら楽だと思って選んだが、冷静に考えればこのゲームは冒険をするゲーム。
なのに、魔王を選んだ私は何をしろというのか。
昨日は確か役職を選んで魔王になって、なんか配下の人と挨拶をしたような気がする。
その人に話を聞いてみようと、玉座から離れ探す。
「えーと、名前なんだっけ……。あー、名前はわからないけど魔王の配下さんいませんかー」
城の中で叫ぶと、数人が姿を現した。
出てきたのは5人。
その中には見覚えのある人物の姿。
「あ! 昨日の配下さん」
「私達は魔王様の忠実なる配下です。呼ばれれば即座に参上いたします。そして私の名はベゼルです」
そういえば昨日この5人と挨拶をした。
なんとなく思い出してきたが、確か挨拶をしたあと頭があまりにも痛くてログアウトしたんだよね。
「えっと、聞きたいんだけど、私ってこのゲームで何をすればいいの?」
「魔王様、遂に行かれるのですね! みな、魔王様が勇者を倒すため旅に出るぞ。旅支度を」
あれよあれよと支度は進められ、何故か5人を連れた私の、勇者を倒す旅が始まった。
《完》
そしてこの城の主であり悪魔の中の選ばれし悪魔なのだが、何故私は悪魔なんて職業を選んだのか覚えていない。
それは、昨日の夜のこと。
男にふられヤケ酒をしていた私はいつの間にか眠ってしまっていた。
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確かお昼に受け取った物だがまだ中身は確認していなかった。
痛む頭を押さえながら、何か頼んでたかなと開けてみる。
中にはゲームソフトと本体。
発売がかなり延期になって忘れてたが、何でもゲームの世界に意識が入って現実みたいに遊べるとか。
色々な不具合で発売予定から数年経っていたためすっかり忘れていた。
買ったソフトは冒険物。
彼氏にふられたムシャクシャを晴らすにはいい。
私は早速パソコンに繋ぎ電源を入れる。
すると目の前に何もない真っ白な空間が広がっている。
「すごっ! これがゲームの中なんだ」
初めての体験にこれだけでテンションが上がっていると、突然目の前にパネルが現れた。
どうやらここに表示してある役職から選ぶようだが、勇者というのも面倒そうだし、どれを選んでも道のりが長そうだ。
そこで私が選んだのが――。
「魔王だーっ! やけ酒してやったんだから覚えてるわけないよ。てか何役職魔王って? 何で魔王の役職なんてあるのよ!!」
城にいればいいだけの魔王なら楽だと思って選んだが、冷静に考えればこのゲームは冒険をするゲーム。
なのに、魔王を選んだ私は何をしろというのか。
昨日は確か役職を選んで魔王になって、なんか配下の人と挨拶をしたような気がする。
その人に話を聞いてみようと、玉座から離れ探す。
「えーと、名前なんだっけ……。あー、名前はわからないけど魔王の配下さんいませんかー」
城の中で叫ぶと、数人が姿を現した。
出てきたのは5人。
その中には見覚えのある人物の姿。
「あ! 昨日の配下さん」
「私達は魔王様の忠実なる配下です。呼ばれれば即座に参上いたします。そして私の名はベゼルです」
そういえば昨日この5人と挨拶をした。
なんとなく思い出してきたが、確か挨拶をしたあと頭があまりにも痛くてログアウトしたんだよね。
「えっと、聞きたいんだけど、私ってこのゲームで何をすればいいの?」
「魔王様、遂に行かれるのですね! みな、魔王様が勇者を倒すため旅に出るぞ。旅支度を」
あれよあれよと支度は進められ、何故か5人を連れた私の、勇者を倒す旅が始まった。
《完》
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