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復活の泉/テーマ:復活
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復活の泉。
昔亡くなったお祖母様から聞いた話によると、北の方角にある森の中に、復活の泉があるらしい。
その泉は普通の人には見つけられず、森の妖精と話せる者にしか辿り着けない場所。
小さい頃の私はずっとその話を信じていた。
だからお祖母様が亡くなる前「私が森に行って妖精さんに泉を聞く」って言ったのに、お祖母様は首を横に振って止めた。
復活の泉はどんな病も治す力があると言っていたのに。
あれは、復活の泉何て本当はなかったって事なんだろうか。
だってもし泉があったなら、お祖母様は死んだりなんてしなかったんだから。
お母様もお父様も、そんな泉は知らないと言うし、誰に話しても答えは同じ。
みんな口を揃えて「お祖母様の作り話よ」と言った。
だから信じてなんていなかったのに、丁度その森の近くを通ることになった私は馬車を森の前で止めてもらい足を踏み入れた。
信じてなんていないけど、来たことがなかったから寄っただけ。
だから奥へは行かない。
じゃないと迷子になってしまうから。
しばらく入り口辺から森を見ていると、暗い森の中で光を放った何かが見えた。
なんだろうと思い、少しなら進んでもいいだろうと足を森の中へと向ける。
光はまるで私を誘うようにキラキラと輝き、先程まで暗かった森に日差しが射し込み目が眩む。
慣れてくると、目の前に泉が広がっていることに気づく。
キラキラとした何かは泉の上で踊るようにくるくると回っている。
私は泉にそっと両手を沈める。
すると、森の木々で切った手の傷があっという間に消えてしまった。
「もしかして、ここがお祖母様の話ていた……」
そう思ったとき、光る何かは再び森の中へと入っていく。
その後を追いかけると、出口に戻ってきた。
あのキラキラとした何かは消えてしまい、私は屋敷に帰ると自分の手を見つめた。
やっぱり傷は跡形もなく消えている。
それに森の出口についたとき、私は声を聞いた。
もしかしたら何かの聞き間違いだったのかもしれないけど、聞こえたのは笑い声。
「森の妖精、だったのかな……」
本当の事は何もわからない。
でも、もし復活の泉があって妖精がいたとしたら、お祖母様は嘘なんてついていなかったことになる。
お祖母様を嘘つき呼ばわりされて悔しくて、私もお祖母様が嘘をついたんだと思いこむようにしていたけど、今日見たのはお話に聞いていた泉と妖精だと思うことにした。
誰も信じなくたって構わない。
私だけが知っている。
お祖母様は嘘つきなんかじゃないことを。
《完》
昔亡くなったお祖母様から聞いた話によると、北の方角にある森の中に、復活の泉があるらしい。
その泉は普通の人には見つけられず、森の妖精と話せる者にしか辿り着けない場所。
小さい頃の私はずっとその話を信じていた。
だからお祖母様が亡くなる前「私が森に行って妖精さんに泉を聞く」って言ったのに、お祖母様は首を横に振って止めた。
復活の泉はどんな病も治す力があると言っていたのに。
あれは、復活の泉何て本当はなかったって事なんだろうか。
だってもし泉があったなら、お祖母様は死んだりなんてしなかったんだから。
お母様もお父様も、そんな泉は知らないと言うし、誰に話しても答えは同じ。
みんな口を揃えて「お祖母様の作り話よ」と言った。
だから信じてなんていなかったのに、丁度その森の近くを通ることになった私は馬車を森の前で止めてもらい足を踏み入れた。
信じてなんていないけど、来たことがなかったから寄っただけ。
だから奥へは行かない。
じゃないと迷子になってしまうから。
しばらく入り口辺から森を見ていると、暗い森の中で光を放った何かが見えた。
なんだろうと思い、少しなら進んでもいいだろうと足を森の中へと向ける。
光はまるで私を誘うようにキラキラと輝き、先程まで暗かった森に日差しが射し込み目が眩む。
慣れてくると、目の前に泉が広がっていることに気づく。
キラキラとした何かは泉の上で踊るようにくるくると回っている。
私は泉にそっと両手を沈める。
すると、森の木々で切った手の傷があっという間に消えてしまった。
「もしかして、ここがお祖母様の話ていた……」
そう思ったとき、光る何かは再び森の中へと入っていく。
その後を追いかけると、出口に戻ってきた。
あのキラキラとした何かは消えてしまい、私は屋敷に帰ると自分の手を見つめた。
やっぱり傷は跡形もなく消えている。
それに森の出口についたとき、私は声を聞いた。
もしかしたら何かの聞き間違いだったのかもしれないけど、聞こえたのは笑い声。
「森の妖精、だったのかな……」
本当の事は何もわからない。
でも、もし復活の泉があって妖精がいたとしたら、お祖母様は嘘なんてついていなかったことになる。
お祖母様を嘘つき呼ばわりされて悔しくて、私もお祖母様が嘘をついたんだと思いこむようにしていたけど、今日見たのはお話に聞いていた泉と妖精だと思うことにした。
誰も信じなくたって構わない。
私だけが知っている。
お祖母様は嘘つきなんかじゃないことを。
《完》
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