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偶然が重なれば/テーマ:また会えたね
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偶然も、重なり続ければ運命になるんだろうか。
同じ電車、同じ時刻で通学する他校の高校生。
話しかけてきたのは彼の方。
突然前に人の気配を感じて顔を上げれば、いつも見かける彼がいて、ニコリと笑みを向けられたのでイヤホンを外す。
「いつもこの電車だよね。君が聴いてるその曲、俺も好きでさ」
何気ない会話だったけど、その日から見かけては私に声をかけてくれて、電車に揺られる時間が楽しくなった。
彼とは不思議と話が合い、自分が惹かれていることにも気づき始めていたある日。
私が好きなキャラストラップの新シリーズが発売ということでショッピングに来ていた。
新シリーズは今回三種類。
三つとも買いたいけど流石にストラップ三つは多い。
どれにしようからコーナーの前で悩んでいると、聞き覚えのある声に振り返る。
「偶然だね。好きなキャラのシリーズだと悩むよね」
「そうなんだよね。三つ買ってもって感じでどれにしようか悩んでるんだ」
休日に会えるなんて運がいいなと思っていたら、彼は三つの内一つのストラップを手に取り「俺はこれにするよ」と言う。
彼もこのキャラが好きなんだろうか。
ここで私も同じのを買えばお揃いになるけど、流石に恋人でもないのに迷惑かな。
「折角だから、もしよかったらお揃いにしない」
まさかの彼からの提案。
私は大きく頷いて同じストラップを購入した。
その後は彼と別れて、私は本屋さんなどに寄ってから家に帰る。
今日あった事を思い出しスマホを持ち上げると、早速付けたお揃いのストラップが揺れる。
最近私が浮かれてるから親友には「好きな人でもできたの?」って疑われたけど、話すのが恥ずかしくて内緒にしてるけど、偶然外出先で会った運命的な出来事に気持ちが高ぶり、このテンションで親友に電話をする。
しっかり報告したいのもあるし、今までの事を話したいって気持ちがあったから。
「もしもーし、どしたの?」
「それがね──」
テンション高めで話す私に頷く声が聞こえていたけど、気づけば電話の向こうは無言。
流石に熱く話しすぎたかなと思っていたら、ようやく親友の声が聞こえた。
「それ、ヤバくない……」
ヤバいの言葉がいつもの感じと違う事を不思議に思っていたけど、親友の話を聞いて私はゾッとした。
通話を終了したあとお揃いのストラップを外しゴミ箱に捨てる。
翌日からは一本早めの電車で学校に通う。
数日経っても彼を見かけることがないことに安堵して電車に揺られながらイヤホンで音楽を聴いていると、前に人の気配。
変な汗が背中に伝うのを感じながら顔を上げると彼がいて、口を動かしている。
なんて言ってるのか読み取ろうと口の動きを見れば「また会えたね」と言っていることに気づき、恐怖で怯えた私の瞳に笑みを浮かべる彼が映った──。
偶然も、重なり続ければ運命になるんだろうか。
同じ電車、同じ時刻で通学する他校の高校生。
親友が言った『それ、ヤバくない……』の言葉。
何故彼は、イヤホンをしているのに曲がわかったのか。
何故彼は、彼女がそのキャラを好きだと知っていたのか。
偶然も、重なり続ければ恐怖になる──。
《完》
同じ電車、同じ時刻で通学する他校の高校生。
話しかけてきたのは彼の方。
突然前に人の気配を感じて顔を上げれば、いつも見かける彼がいて、ニコリと笑みを向けられたのでイヤホンを外す。
「いつもこの電車だよね。君が聴いてるその曲、俺も好きでさ」
何気ない会話だったけど、その日から見かけては私に声をかけてくれて、電車に揺られる時間が楽しくなった。
彼とは不思議と話が合い、自分が惹かれていることにも気づき始めていたある日。
私が好きなキャラストラップの新シリーズが発売ということでショッピングに来ていた。
新シリーズは今回三種類。
三つとも買いたいけど流石にストラップ三つは多い。
どれにしようからコーナーの前で悩んでいると、聞き覚えのある声に振り返る。
「偶然だね。好きなキャラのシリーズだと悩むよね」
「そうなんだよね。三つ買ってもって感じでどれにしようか悩んでるんだ」
休日に会えるなんて運がいいなと思っていたら、彼は三つの内一つのストラップを手に取り「俺はこれにするよ」と言う。
彼もこのキャラが好きなんだろうか。
ここで私も同じのを買えばお揃いになるけど、流石に恋人でもないのに迷惑かな。
「折角だから、もしよかったらお揃いにしない」
まさかの彼からの提案。
私は大きく頷いて同じストラップを購入した。
その後は彼と別れて、私は本屋さんなどに寄ってから家に帰る。
今日あった事を思い出しスマホを持ち上げると、早速付けたお揃いのストラップが揺れる。
最近私が浮かれてるから親友には「好きな人でもできたの?」って疑われたけど、話すのが恥ずかしくて内緒にしてるけど、偶然外出先で会った運命的な出来事に気持ちが高ぶり、このテンションで親友に電話をする。
しっかり報告したいのもあるし、今までの事を話したいって気持ちがあったから。
「もしもーし、どしたの?」
「それがね──」
テンション高めで話す私に頷く声が聞こえていたけど、気づけば電話の向こうは無言。
流石に熱く話しすぎたかなと思っていたら、ようやく親友の声が聞こえた。
「それ、ヤバくない……」
ヤバいの言葉がいつもの感じと違う事を不思議に思っていたけど、親友の話を聞いて私はゾッとした。
通話を終了したあとお揃いのストラップを外しゴミ箱に捨てる。
翌日からは一本早めの電車で学校に通う。
数日経っても彼を見かけることがないことに安堵して電車に揺られながらイヤホンで音楽を聴いていると、前に人の気配。
変な汗が背中に伝うのを感じながら顔を上げると彼がいて、口を動かしている。
なんて言ってるのか読み取ろうと口の動きを見れば「また会えたね」と言っていることに気づき、恐怖で怯えた私の瞳に笑みを浮かべる彼が映った──。
偶然も、重なり続ければ運命になるんだろうか。
同じ電車、同じ時刻で通学する他校の高校生。
親友が言った『それ、ヤバくない……』の言葉。
何故彼は、イヤホンをしているのに曲がわかったのか。
何故彼は、彼女がそのキャラを好きだと知っていたのか。
偶然も、重なり続ければ恐怖になる──。
《完》
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