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戦国ライフはいかが?
2 戦国ライフはいかが?
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「姫様、何処へ行っておられたのですか。信長様はすでにお待ちですよ。蘭丸様もご一緒でしたか。ささ、どうぞお入りください」
世話係に広間へ通されると、そこにいたのは、先程転びそうになったのを助けてくれた人物の姿。
男性の視線が私へと向けられ、慌てて畳の上に座る。
「信長様、遅れてしまい申し訳ございません」
頭を下げる蘭丸に「構わん」と一言言い放つこの男こそ、私が探していた信長。
まさかさっきの人が信長だとは思わなかったが、こうして蘭丸と信長が並ぶと、綺麗すぎて直視できず顔を俯かせてしまう。
「先程から俯いているようだが、どうかしたのか」
「美夜様は緊張しておられるのでしょう。未来の夫となられる信長様を前にしておられるのですから」
「そうなんです。未来の夫となる信長様……お、夫!?」
まさかの言葉に一瞬思考がフリーズしてしまう。
夫というのは夫婦になることであり、その私の夫となる人が信長ということになる。
だが、私は今姫と間違えられているだけ、信長の夫婦になるのは本当の姫。
折角頭の中が整理されたというのに、いつの間にか目の前まで近づいていた信長が私の顎を掴むと持ち上げた。
近い距離に顔には熱が宿り混乱状態になってしまうと、私の耳元で信長は囁くように言う。
「お前、本当にあの姫か?」
真っ直ぐに私を見つめる瞳には、さっき見た時のような冷たさはなく、まるで興味津々といった子供のように瞳の奥を輝かせている。
この人なら、私の話を信じてくれるかもしれないと思い声を発そうとしたとき、蘭丸の声が私の言葉を遮る。
「何を言っておられるのですか。祝言をあげたくないからとそのようなことを」
「勝手に決められた者となど、俺は最初から認めてはおらん。それも、このようなつまらぬ姫などと」
本物の姫ではないとはいえ、この人達にとって私が姫本人だというのに、つまらない姫だという信長。
私のことなど空気のように扱い、二人は何やら言い合いを始めてしまう。
会話を聞く限り、どうやら信長は勝手に決められた相手、つまりはこの国の姫と結婚をさせられる。
だが、信長はその結婚を認めていないらしく、今も嫌がっているようだ。
自分の事でないとはいえ、目の前でこんな言い合いをされて腹が立たないわけがない。
「なんなんですか本人がいる前で! 私だってこんな結婚お断りです」
怒りで立ち上がり、思ったことを口にした後にハッとするがすでに手遅れだった。
私は再びその場に座り込むと、顔を伏せる。
「フッ……最初は退屈な女だと思っていたが、どうやらそうでもなさそうだな」
なんてことを言ってしまったのだろうかと自分を責めていると、聞こえた信長の言葉に目を丸くする。
信長の口許には笑みが浮かんでおり、どうやら私は信長の興味を惹いたようだ。
「これから俺と共に城へ来い」
突然の言葉に何がどうなったのかわからない私をおいて、蘭丸は部屋を出ていくと馬の用意をし、信長は馬の背に乗ると私まで乗せられ馬は走り出す。
「え、ちょ、どうなってんのよこれー!!」
そして着いた先は、私がいた城よりも遥かに大きな城。
あれよあれよというまに連れてこられたこの城こそ信長の城のようだが、何故か信長は城に着くと何処かへと行ってしまう。
残された私は蘭丸に案内され、これから私が使うことになる部屋へと案内された。
これは間違いなく一緒に暮らすということで、もしかしなくても信長と結婚することになってしまったようだ。
世話係に広間へ通されると、そこにいたのは、先程転びそうになったのを助けてくれた人物の姿。
男性の視線が私へと向けられ、慌てて畳の上に座る。
「信長様、遅れてしまい申し訳ございません」
頭を下げる蘭丸に「構わん」と一言言い放つこの男こそ、私が探していた信長。
まさかさっきの人が信長だとは思わなかったが、こうして蘭丸と信長が並ぶと、綺麗すぎて直視できず顔を俯かせてしまう。
「先程から俯いているようだが、どうかしたのか」
「美夜様は緊張しておられるのでしょう。未来の夫となられる信長様を前にしておられるのですから」
「そうなんです。未来の夫となる信長様……お、夫!?」
まさかの言葉に一瞬思考がフリーズしてしまう。
夫というのは夫婦になることであり、その私の夫となる人が信長ということになる。
だが、私は今姫と間違えられているだけ、信長の夫婦になるのは本当の姫。
折角頭の中が整理されたというのに、いつの間にか目の前まで近づいていた信長が私の顎を掴むと持ち上げた。
近い距離に顔には熱が宿り混乱状態になってしまうと、私の耳元で信長は囁くように言う。
「お前、本当にあの姫か?」
真っ直ぐに私を見つめる瞳には、さっき見た時のような冷たさはなく、まるで興味津々といった子供のように瞳の奥を輝かせている。
この人なら、私の話を信じてくれるかもしれないと思い声を発そうとしたとき、蘭丸の声が私の言葉を遮る。
「何を言っておられるのですか。祝言をあげたくないからとそのようなことを」
「勝手に決められた者となど、俺は最初から認めてはおらん。それも、このようなつまらぬ姫などと」
本物の姫ではないとはいえ、この人達にとって私が姫本人だというのに、つまらない姫だという信長。
私のことなど空気のように扱い、二人は何やら言い合いを始めてしまう。
会話を聞く限り、どうやら信長は勝手に決められた相手、つまりはこの国の姫と結婚をさせられる。
だが、信長はその結婚を認めていないらしく、今も嫌がっているようだ。
自分の事でないとはいえ、目の前でこんな言い合いをされて腹が立たないわけがない。
「なんなんですか本人がいる前で! 私だってこんな結婚お断りです」
怒りで立ち上がり、思ったことを口にした後にハッとするがすでに手遅れだった。
私は再びその場に座り込むと、顔を伏せる。
「フッ……最初は退屈な女だと思っていたが、どうやらそうでもなさそうだな」
なんてことを言ってしまったのだろうかと自分を責めていると、聞こえた信長の言葉に目を丸くする。
信長の口許には笑みが浮かんでおり、どうやら私は信長の興味を惹いたようだ。
「これから俺と共に城へ来い」
突然の言葉に何がどうなったのかわからない私をおいて、蘭丸は部屋を出ていくと馬の用意をし、信長は馬の背に乗ると私まで乗せられ馬は走り出す。
「え、ちょ、どうなってんのよこれー!!」
そして着いた先は、私がいた城よりも遥かに大きな城。
あれよあれよというまに連れてこられたこの城こそ信長の城のようだが、何故か信長は城に着くと何処かへと行ってしまう。
残された私は蘭丸に案内され、これから私が使うことになる部屋へと案内された。
これは間違いなく一緒に暮らすということで、もしかしなくても信長と結婚することになってしまったようだ。
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