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白マス王子vs黒マス王子/テーマ:負けられない戦い
1 白マス王子vs黒マス王子
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私の学校にはマスク王子というイケメン男子がいるのだが、そのマスク王子は二人存在する。
一人は、白いマスクをつけた通称“白マス王子”。
もう一人は、黒いマスクをつけた通称“黒マス王子”。
二人ともかっこいいことから、女子人気は凄くファンクラブまであるとか。
だが、二人の王子はお互いに面識はない。
人気だからといってその二人が面識があるということにはならない。
そもそも二人は違うクラスのため、会うことはない。
そう、ない、はずだったのだが、何故か一室の部室で白マス王子と黒マス王子、そして私の三人だけという状況になっていた。
何故こんな事になったのか説明すると、それは私が新たに作ったアニメ部という部活が事の始まりだ。
高校に入学したはいいが入りたい部活は見つからず、この際自分が好きなアニメの部活を作っちゃおうということで作ったのだ。
私の通う高校は部活に関してはかなり緩く、特に部員の人数関係なく部が作れる。
勿論部室にできる場所が空いていればだが、この学校は広いため空き教室は沢山あるため問題ないだろう。
ただ、活動内容はしっかりしていないといけないため、私は先生に「アニメを嫌いな人はいないと思うので、どんな問題児でもこの部活ならいい仲間ができると思うんです」と言ったところ何故かあっさり許可を得てしまった。
流石にこんなんじゃ駄目だろうと諦めていたのだが、まさか認められるとは思わなかった。
許可をしてくれた先生は宮原先生といって、少し、というかかなり大雑把な先生のためかもしれないが。
この学校では部活に入らなくてはいけないため、兎に角好きな事をできる部を作って適当に過ごすつもりだった。
意外にも簡単に部の許可も出て部室も貰えたため喜んでいたのだが、部室の扉を開けて二人の王子がいるとは誰も思わないだろう。
でも居たんだよ。
そして話は現在に戻る。
何故この二人がここにいるのか、さっぱり状況が読み込めない。
取り敢えず二人から話を聞こうと声を掛けてみるが反応がない。
聞こえてないのだろうかと思っていると、二人ともイヤホンをしていることに気づく。
音楽でも聞いているのかなと思い、そっと白マス王子のスマホを覗くと、アニメ動画が流れていた。
私も知ってる魔法少女のアニメのようだが、感動して涙まで流している。
黒マス王子はと思い画面を覗くと、こちらも私が知ってるアニメ。
観てるのは冒険ファンタジー。
何やらアニメを見ながらブツブツと独り言を言っており耳を澄ませると「ボクの居た世界を思います」と訳のわからないことを呟いている。
なんだか関わらない方がよさそうな雰囲気に、取り敢えず二人に気付かれないようにそっと扉へ向かおうと背を向けた。
「キミ、誰だい?」
「ボクの前世でのこと、知りたいか?」
先程までアニメに夢中だった筈の二人が両隣におり、私は思った。
これはヤバイ人だと。
その時、目の前の扉が開き宮原先生がやってきたので、私は助けを求めるように、この二人は何なのかと尋ねる。
「あー、この二人はどの部活にも入りたがらなくってな。ってわけで、鈴鳴の部に入れてやってくれ」
ニッと笑う先生は、絶対にこの二人を押し付けようとしている。
折角気ままに部活という名のサボりが出来ると思ったのに、こんな人気No.1の二人と一緒なんて絶対女子達を敵に回すに違いないと思い断ろうとしたとき「どんな問題児でも仲間ができる部活、なんだろ?」と言われ、断る事もできない。
「あ、でも、二人は嫌なんじゃないですか」
なんだか変わった二人だし、そもそもどの部にも入らなかったのだかこの部だって入らないというだろう。
この二人から断ってくれれば万事解決だ。
「私はこの部で大丈夫です」
「ボクも構わない」
まさかの二人とも入部宣言で、私は断る事もできず三人だけの部が誕生した。
絶対この二人を押し付けるために、宮原先生は私の部の設立を許可したに違いない。
どうやらまんまと先生にやられたようだ。
そんな事があった翌日の部活時間。
部活には必ず参加のため行かなければならず、私は部室の戸を開ける。
すると、何やら睨み合う二人の姿があり、まさか高校初めての部活動で早速喧嘩が始まったのだろうか。
「キミにこの子のよさはわからないだろうね」
「アンタにこの子のよさはわからないだろうな」
これは止めた方がいいだろうと思い、二人の間に入り喧嘩の理由を尋ねると、それは女の子を巡っての話だった。
白マス王子には好きな人がおり、その彼女の写真をスマホで黒マス王子に見せたところ「ボクの好きな人のが素敵だ」と言ったことで喧嘩になったらしい。
だが、まさか二人の王子に好きな人がいたとは、ファンが悲しむだろうなぁと思っていたとき、机に置かれた二人のスマホが目に入る。
「えーと、二人とも、好きな人ってまさか」
「香織ちゃんです」
「ダークアイネだ」
スマホ画面に映っていたままの画像でなんとなく予想はついたものの、まさかの二人ともアニメの登場キャラクター。
私も二次元に恋したことがあるからわからなくはないが、好みの問題だから好きなタイプが違うのは仕方がないんじゃないかと思うが、二人とも話すうちに相手の好きなキャラを悪く言ってしまったらしく怒りが収まらない。
正直なところ、面倒なので帰ってもいいですかという感じだが、流石にこの状況を放置というわけにもいかず、二人とも謝って仲直りでいいんじゃないかと提案する。
その提案が更なる悪化を招くとは思いもせず。
「私は謝りませんよ。私の愛する人の悪口を言ったのですから」
「それはボクのセリフだ」
そこで決着は、私がどちらを可愛いと思うかという方法になったのだが、もう喧嘩の内容と関係のない方向に向かっていた。
スマホ画面の女の子を見せてくる二人、迫られる二択。
どっちでもいいんだが、片方を選べはもう片方に恨まれそうで答えが出ず、こんなことで悩む私は何をしているんだろうかと思えてくる。
そして私はあることを思いついた、二人にお互いのアニメを見てもらうという考え。
お互いにお互いの好きなキャラが出てくるアニメを見れば良さがわかるかもしれない。
その提案に納得した二人は部活後に家でお互いのアニメを見ることにしたらしいのだが、翌日の部室ではまたも睨み合う二人の姿があった。
アニメを見ても駄目だったのだろうかと思っていると、昨日と少し会話の内容が違っていた。
あの後お互いのアニメを見た二人はそのアニメにもハマったらしく、どうやら同じアニメの共通の話題ができたことから語り合っていたため真剣な表情をしていたようだ。
「まぁ、一見落着かな」
この日の部活は喧嘩はなかったものの、二人のアニメやキャラの会話に私も付き合わされる羽目になってしまった。
一人は、白いマスクをつけた通称“白マス王子”。
もう一人は、黒いマスクをつけた通称“黒マス王子”。
二人ともかっこいいことから、女子人気は凄くファンクラブまであるとか。
だが、二人の王子はお互いに面識はない。
人気だからといってその二人が面識があるということにはならない。
そもそも二人は違うクラスのため、会うことはない。
そう、ない、はずだったのだが、何故か一室の部室で白マス王子と黒マス王子、そして私の三人だけという状況になっていた。
何故こんな事になったのか説明すると、それは私が新たに作ったアニメ部という部活が事の始まりだ。
高校に入学したはいいが入りたい部活は見つからず、この際自分が好きなアニメの部活を作っちゃおうということで作ったのだ。
私の通う高校は部活に関してはかなり緩く、特に部員の人数関係なく部が作れる。
勿論部室にできる場所が空いていればだが、この学校は広いため空き教室は沢山あるため問題ないだろう。
ただ、活動内容はしっかりしていないといけないため、私は先生に「アニメを嫌いな人はいないと思うので、どんな問題児でもこの部活ならいい仲間ができると思うんです」と言ったところ何故かあっさり許可を得てしまった。
流石にこんなんじゃ駄目だろうと諦めていたのだが、まさか認められるとは思わなかった。
許可をしてくれた先生は宮原先生といって、少し、というかかなり大雑把な先生のためかもしれないが。
この学校では部活に入らなくてはいけないため、兎に角好きな事をできる部を作って適当に過ごすつもりだった。
意外にも簡単に部の許可も出て部室も貰えたため喜んでいたのだが、部室の扉を開けて二人の王子がいるとは誰も思わないだろう。
でも居たんだよ。
そして話は現在に戻る。
何故この二人がここにいるのか、さっぱり状況が読み込めない。
取り敢えず二人から話を聞こうと声を掛けてみるが反応がない。
聞こえてないのだろうかと思っていると、二人ともイヤホンをしていることに気づく。
音楽でも聞いているのかなと思い、そっと白マス王子のスマホを覗くと、アニメ動画が流れていた。
私も知ってる魔法少女のアニメのようだが、感動して涙まで流している。
黒マス王子はと思い画面を覗くと、こちらも私が知ってるアニメ。
観てるのは冒険ファンタジー。
何やらアニメを見ながらブツブツと独り言を言っており耳を澄ませると「ボクの居た世界を思います」と訳のわからないことを呟いている。
なんだか関わらない方がよさそうな雰囲気に、取り敢えず二人に気付かれないようにそっと扉へ向かおうと背を向けた。
「キミ、誰だい?」
「ボクの前世でのこと、知りたいか?」
先程までアニメに夢中だった筈の二人が両隣におり、私は思った。
これはヤバイ人だと。
その時、目の前の扉が開き宮原先生がやってきたので、私は助けを求めるように、この二人は何なのかと尋ねる。
「あー、この二人はどの部活にも入りたがらなくってな。ってわけで、鈴鳴の部に入れてやってくれ」
ニッと笑う先生は、絶対にこの二人を押し付けようとしている。
折角気ままに部活という名のサボりが出来ると思ったのに、こんな人気No.1の二人と一緒なんて絶対女子達を敵に回すに違いないと思い断ろうとしたとき「どんな問題児でも仲間ができる部活、なんだろ?」と言われ、断る事もできない。
「あ、でも、二人は嫌なんじゃないですか」
なんだか変わった二人だし、そもそもどの部にも入らなかったのだかこの部だって入らないというだろう。
この二人から断ってくれれば万事解決だ。
「私はこの部で大丈夫です」
「ボクも構わない」
まさかの二人とも入部宣言で、私は断る事もできず三人だけの部が誕生した。
絶対この二人を押し付けるために、宮原先生は私の部の設立を許可したに違いない。
どうやらまんまと先生にやられたようだ。
そんな事があった翌日の部活時間。
部活には必ず参加のため行かなければならず、私は部室の戸を開ける。
すると、何やら睨み合う二人の姿があり、まさか高校初めての部活動で早速喧嘩が始まったのだろうか。
「キミにこの子のよさはわからないだろうね」
「アンタにこの子のよさはわからないだろうな」
これは止めた方がいいだろうと思い、二人の間に入り喧嘩の理由を尋ねると、それは女の子を巡っての話だった。
白マス王子には好きな人がおり、その彼女の写真をスマホで黒マス王子に見せたところ「ボクの好きな人のが素敵だ」と言ったことで喧嘩になったらしい。
だが、まさか二人の王子に好きな人がいたとは、ファンが悲しむだろうなぁと思っていたとき、机に置かれた二人のスマホが目に入る。
「えーと、二人とも、好きな人ってまさか」
「香織ちゃんです」
「ダークアイネだ」
スマホ画面に映っていたままの画像でなんとなく予想はついたものの、まさかの二人ともアニメの登場キャラクター。
私も二次元に恋したことがあるからわからなくはないが、好みの問題だから好きなタイプが違うのは仕方がないんじゃないかと思うが、二人とも話すうちに相手の好きなキャラを悪く言ってしまったらしく怒りが収まらない。
正直なところ、面倒なので帰ってもいいですかという感じだが、流石にこの状況を放置というわけにもいかず、二人とも謝って仲直りでいいんじゃないかと提案する。
その提案が更なる悪化を招くとは思いもせず。
「私は謝りませんよ。私の愛する人の悪口を言ったのですから」
「それはボクのセリフだ」
そこで決着は、私がどちらを可愛いと思うかという方法になったのだが、もう喧嘩の内容と関係のない方向に向かっていた。
スマホ画面の女の子を見せてくる二人、迫られる二択。
どっちでもいいんだが、片方を選べはもう片方に恨まれそうで答えが出ず、こんなことで悩む私は何をしているんだろうかと思えてくる。
そして私はあることを思いついた、二人にお互いのアニメを見てもらうという考え。
お互いにお互いの好きなキャラが出てくるアニメを見れば良さがわかるかもしれない。
その提案に納得した二人は部活後に家でお互いのアニメを見ることにしたらしいのだが、翌日の部室ではまたも睨み合う二人の姿があった。
アニメを見ても駄目だったのだろうかと思っていると、昨日と少し会話の内容が違っていた。
あの後お互いのアニメを見た二人はそのアニメにもハマったらしく、どうやら同じアニメの共通の話題ができたことから語り合っていたため真剣な表情をしていたようだ。
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