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第2話 ぐるぐる★前奏曲(プレリュード)
ソウルクリスタル
しおりを挟むさっそく宝玉に触れてみよう。その前に。
「どれくらいの行動が、悪事とか犯罪にカウントされるんですか?」
「人殺しとかァ、暴行恐喝強盗詐欺強姦…」
「道に落ちてた硬貨を拾って使っちゃった事あるんだけど」
「その位なら大丈夫。アタシの種族じゃ、しょっちゅう腕試しの殴り合いしてるが、そういうのも平気だから」
うん、怖い。
「片手?」
「どちらでもォ」
俺は両手を前に出し、そっと宝玉に触れる。
瞬間、
意識が、
吸い込まれ……
—— お前は何者か? ——
—— 何? 何? 何? ——
—— どこから来て、どこへ行くのか? ——
—— 無を思え、存在を思え ——
・—— 我は、 ——・
・ ・・・—— 我 ——・・・ ・
意識の内側から聞こえる無数の重なる「声」。
まるで無重力の宇宙空間に放り出されたようだ。
身体中が痺れて方向感覚を失っている。
辺りは真っ暗で、遠くに星が光っている。
無限に引き伸ばされた時間と空間の向こうから光が近づいてくる……
「はい、いいですよォ」
声をかけられてハッと気がつく。
一瞬、意識を失ってた?
妖精は宝玉の近くで台座の様子をうかがっている。
台座の下の方で、コトリと何かが落ちる音。
受け皿を取り出すと、そこには水晶を磨いて作ったような薄い板が乗っていた。
「どうぞ」
受け皿ごと差し出されたカードを手に取る。
「あ、コレ、ラヴィも持ってた…」
「君の冒険の記録を取るソウルクリスタル、通称:ギルドカードだ」
「冒険カードとか水晶板とか呼ぶ人もいますねェ」
厚さ5mm程の半透明のカードの表面に目を凝らすと、モヤが形になり文字列が浮かぶ。
名前や住所などが申告した通りに記載されている。賞罰なし。冒険者ランク:none
「キミの魂に反応して君だけに使えるマジックアイテムだ。無くさないように気をつけろ。再発行もできるが、2回目以降はもっと苦しいと聞く」
おおう。あのソフト尋問も割とキビしかったけど、さらにツライのか。「何で無くした…?」とか聞かれるのかな?
「今なら首から下げる公式ストラップが二割引き」
「ください」
タイショーからもらったバイト代で買える値段なので、猫のイラストが入った方のストラップ付きホルダーを買う。スマホを落として壊した事があるので用心のためだ。
それに公式ストラップには探知魔法のマーカーが編み込んであって、落としたり置き忘れたりしてもネコランドとダンジョン内なら位置が判明するんだそうだ。便利。
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