ダンス★ダンス★パパラチア! 〜異世界で猫とダンスしたり冒険したりで毎日が忙し過ぎる!〜

浅間遊歩

文字の大きさ
13 / 48
第2話 ぐるぐる★前奏曲(プレリュード)

酒場で情報収集

しおりを挟む

「無事に登録できたな」

「へへへ」

 階段を降りてくる俺を目ざとく見つけたラヴィとステラが近づいて来る。

「ぐるぐるの生えてる場所、分かりました?」

「それが…」

「ギルドでも把握してないそうなの。定期的に持ち込む冒険者がいるらしいんだけど、誰かは教えられないって言われて…」

 異世界にも個人情報保護の波が!

「だから地道に情報収集だ。ユーキ、もうメシ食ったか?」

「まだですけど」

「丁度いい。酒場で聞き込みだ。ちょっと付き合え」

 ラヴィ達はすでに夕飯としてラーメンを完食してるので、俺は夕飯、ラヴィたちは酒を飲むという名目でギルドに併設された酒場兼食堂に入る。
 園内で一番大きな飲食店で比較的値段が安いということもあり、いつも混雑していて、何か注文しないと店内に入れないのだ。

「お。ゼファーがいる。知り合いだ。ちょっと挨拶してくる」

「私も。ユウキはゆっくり食事してていいからね」

 そう言って、手にグラスを持ったままラヴィとステラが計画通りに席を離れる。
 調理前のぐるぐるは、どうやら同じ冒険者が採取してくるらしい。と言うことは、ネコランドに長期滞在している冒険者と思われる。ここに本人がいなくても、冒険者が多い今の時間帯なら何かしらの情報が得られるだろう。
 俺はひとりカウンター席で、注文したネコランチが出来上がるのを待つ。

「お客さん、観光? 泊まり?」

 ネコランチを運んで来た若いスタッフが笑顔で聞く。
 大人向けお子様ランチ風のプレート料理は華やかで、とても美味しそうだ。その分、他の料理より少し高い。主に観光客が注文するメニューなんだろう。ネコランドに滞在してダンジョンアタックを繰り返す冒険者の中には食費を節約するため売店のパンで済ます人も多い。

「最近、ネコランドに来たんです。支払いって、コレでいいですか?」

 グラスを受け取ってすぐ代金を払っていたラヴィ達の真似をして金色のフリーパスを差し出す。パスにはネコランドのマークが入っている。

「へー、お仲間? いきなりゴールドって技術職? 職場どこ?」

「パパラチアキャット達と一緒にステージで踊ってるんだ」

「アレか! すげえな!」

 すっかり接客を忘れてタメぐちになってる青年。彼は近隣の村の生まれで、ここに出稼ぎに来ているらしい。危険はあるが、この辺りではこれほど稼げる場所はないと言う。

「近くなのか。通い?」

「いや、さすがに通える距離じゃねーし。従業員宿舎がある。狭いけど。君は?」

「ぐるぐるの2階。あそこでも働いてるから」

「お互い、頑張って金貯めような!」

 どうやら住み込みバイトの同類認定されたらしい。
 ネコランドのスタッフや冒険者の大半は、ハイリスクハイリターンの収入目当ての人達だ。次に、戦闘や冒険を楽しむタイプの人たち。そして、少ないながら、魔法やダンジョンについて研究している人達もいるそうだ。

 つい話が長くなってスタッフ君がフロアマネージャーににらまれてたので、ドリンクも追加で注文する。

「うわ! ホントに凄い見た目」

「だろ? ここでしか飲めない珍しいソーダだ。ダンジョンで採れる素材を使ってるんだぜ」

「へ、へえ…」

 全体が透明の濃い紫色で、ゆらゆら揺れるように蛍光ピンクや黄色の気泡ができては弾け消える。黄緑色のツブツブは何かの実かな?

「面白いでしょう?、それ。魔法植物の枝を煮込んだ汁にシロップ漬けの薬草のツボミと炭酸を入れるんです。わずかですが精神安定作用もありますよ」

 隣のスツールに座った若い男性が声を掛けてきた。
 ラヴィやステラはグラスを持ったまま店内を渡り歩いてるので、空いた席にいつの間にか次の客が座っていたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。 「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

処理中です...