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第1章 初めての旅
売って買って運んで売って
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疲れたせいか、ワインのおかげか、夜はぐっすり眠れた。
いや眠り過ぎたらしい。
翌朝、目を覚ますと、ルーベンさん達はもう出発準備を始めていた。
あわてて毛布から飛び出す。ううっ、寒いっ!
「ごめんなさいっ、寝過ごしちゃった!」
「いやいや、いいんだ。今日は出発が早いんだよ」
空を見上げると、まだ夜が明けたばかりのようだ。うっすらと朝焼けの色が残っている。
「立ち寄る場所の関係で、今朝は早く立たないとならなくてね。これは私達の仕事だから気にせずに。もう少し寝てて大丈夫だよ」
そう言われても、一度起きてしまった以上、みんなが働いてるのに一人だけ寝直すってのは無理!
ヨロヨロと村の井戸を借りて顔を洗い、水筒に新しい水を詰めて馬車に戻ると、出発の準備はもう終わっていた。
昨日と同じように御者台に登ろうとすると、何故かデレファンが毛布を広げて近づいてくる。
「ふ・ふ・ふ…」
「な、なあに? デレファン」
「お姫様はこっちだ」
「きゃっ」
問答無用で毛布にくるまれ、荷台に突っ込まれる。
「ぷはぁ!」
グルグル巻きになった毛布から何とか顔を出すと、のぞき込むデレファンと目があった。
「寝不足で無理をすると気持ち悪くなる。ここで寝てろ」
「ふわぁい……」
頭をポンポンされて、変な返事をしたのは覚えている。
どうやらそのまま眠ってしまったらしい。
ツーピー、ツーピー、チチチチ……
小鳥の声に目を覚ますと、今度こそ普通の朝だった。
すっかり明るくなっているが太陽はまだあまり高くない。
馬車は川沿いの道をゆっくりと進んでいた。
他の3人は御者台にいた。何か話し合っているようだ。
サッと髪と服の乱れを直してから声をかける。
「おはようございます、ルーベンさん。デレファン、マグリー」
「おはよう!」
「やあ、おはよう」
「おはよう、ミリアナ。ねえ、川魚の塩焼きと蒸し煮と猪肉のタレ焼き、どれがいい?」
「はい??」
状況がつかめずに目を丸くすると、みんな弾けるように笑い出した。
マグリーが御者台の背もたれを乗り越え、荷台の方へ移って来て隣に座った。
「ごめんごめん。もうしばらく行った先で朝市をやっててさ、納品したらその後そこでメシなんだけど」
どうやら朝食を何にするか、集まって相談していたらしい。
ラジテ村から運んできた漬物の樽は3つとも朝市で下ろされた。
そのままみんなで売るのかと思ったら、そうではなく、売るのはまた別の人らしい。
世界は私が知っているより、ずっとずっと多くの人が関わってできているみたい。
そんな風にして、ルーベンさんたちとの旅は続いた。
時には、村とは呼べないほどの小さな集落や人里離れた工房などに寄ることもある。
その度に物を売ったり買ったりして、荷台の中身は次々と変わってゆく。
ウモグル村を出て4日目の午後、御者台の隣の席でマグリーが言った。
「今日はこの先のアゼッサで終わりだ。割と大きな町だよ」
「アゼッサでは何を仕入れるの?」
「アゼッサでは売るだけだ」
「食事の美味しい宿に泊まりますからね。楽しみにしていてください。それから、明日の午前中は用事があるので出発は昼です」
後ろの馬車の中からルーベンさんの声がした。
私達の隣で手綱を握っているデレファンはニヤッと笑い、
「ミリアナと一緒に遊んでこいよ、マグリー。馬車はいつものように商業組合に預けるから大丈夫」
マグリーは私の方を向き、少し照れ臭そうに言った。
「父さんと兄さんが用事を済ませてる間は自由時間なんだ。町を見て歩こうぜ。串焼きか何かおごってやるよ」
「やった!」
アゼッサでは、闇の曜日以外はいつでも屋台がたくさん出てるのだという。それに、マホテアほどではないけど、とっても多くの人がいるんだって。
「毎日が光の曜日みたいな感じ?」
「ちょっと違うけど、まあ、見てのお楽しみ」
うん、本当に楽しみ。
いや眠り過ぎたらしい。
翌朝、目を覚ますと、ルーベンさん達はもう出発準備を始めていた。
あわてて毛布から飛び出す。ううっ、寒いっ!
「ごめんなさいっ、寝過ごしちゃった!」
「いやいや、いいんだ。今日は出発が早いんだよ」
空を見上げると、まだ夜が明けたばかりのようだ。うっすらと朝焼けの色が残っている。
「立ち寄る場所の関係で、今朝は早く立たないとならなくてね。これは私達の仕事だから気にせずに。もう少し寝てて大丈夫だよ」
そう言われても、一度起きてしまった以上、みんなが働いてるのに一人だけ寝直すってのは無理!
ヨロヨロと村の井戸を借りて顔を洗い、水筒に新しい水を詰めて馬車に戻ると、出発の準備はもう終わっていた。
昨日と同じように御者台に登ろうとすると、何故かデレファンが毛布を広げて近づいてくる。
「ふ・ふ・ふ…」
「な、なあに? デレファン」
「お姫様はこっちだ」
「きゃっ」
問答無用で毛布にくるまれ、荷台に突っ込まれる。
「ぷはぁ!」
グルグル巻きになった毛布から何とか顔を出すと、のぞき込むデレファンと目があった。
「寝不足で無理をすると気持ち悪くなる。ここで寝てろ」
「ふわぁい……」
頭をポンポンされて、変な返事をしたのは覚えている。
どうやらそのまま眠ってしまったらしい。
ツーピー、ツーピー、チチチチ……
小鳥の声に目を覚ますと、今度こそ普通の朝だった。
すっかり明るくなっているが太陽はまだあまり高くない。
馬車は川沿いの道をゆっくりと進んでいた。
他の3人は御者台にいた。何か話し合っているようだ。
サッと髪と服の乱れを直してから声をかける。
「おはようございます、ルーベンさん。デレファン、マグリー」
「おはよう!」
「やあ、おはよう」
「おはよう、ミリアナ。ねえ、川魚の塩焼きと蒸し煮と猪肉のタレ焼き、どれがいい?」
「はい??」
状況がつかめずに目を丸くすると、みんな弾けるように笑い出した。
マグリーが御者台の背もたれを乗り越え、荷台の方へ移って来て隣に座った。
「ごめんごめん。もうしばらく行った先で朝市をやっててさ、納品したらその後そこでメシなんだけど」
どうやら朝食を何にするか、集まって相談していたらしい。
ラジテ村から運んできた漬物の樽は3つとも朝市で下ろされた。
そのままみんなで売るのかと思ったら、そうではなく、売るのはまた別の人らしい。
世界は私が知っているより、ずっとずっと多くの人が関わってできているみたい。
そんな風にして、ルーベンさんたちとの旅は続いた。
時には、村とは呼べないほどの小さな集落や人里離れた工房などに寄ることもある。
その度に物を売ったり買ったりして、荷台の中身は次々と変わってゆく。
ウモグル村を出て4日目の午後、御者台の隣の席でマグリーが言った。
「今日はこの先のアゼッサで終わりだ。割と大きな町だよ」
「アゼッサでは何を仕入れるの?」
「アゼッサでは売るだけだ」
「食事の美味しい宿に泊まりますからね。楽しみにしていてください。それから、明日の午前中は用事があるので出発は昼です」
後ろの馬車の中からルーベンさんの声がした。
私達の隣で手綱を握っているデレファンはニヤッと笑い、
「ミリアナと一緒に遊んでこいよ、マグリー。馬車はいつものように商業組合に預けるから大丈夫」
マグリーは私の方を向き、少し照れ臭そうに言った。
「父さんと兄さんが用事を済ませてる間は自由時間なんだ。町を見て歩こうぜ。串焼きか何かおごってやるよ」
「やった!」
アゼッサでは、闇の曜日以外はいつでも屋台がたくさん出てるのだという。それに、マホテアほどではないけど、とっても多くの人がいるんだって。
「毎日が光の曜日みたいな感じ?」
「ちょっと違うけど、まあ、見てのお楽しみ」
うん、本当に楽しみ。
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