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第1章 初めての旅
交易の町アゼッサ
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しばらくすると、砂利を敷いて突き固めた広い道に出た。今まで通ってきた土だけのデコボコ道と比べると、馬車の揺れも少ない。
「うわー、早い早い。人や馬車をどんどん追い抜いて行くよ?」
「ははは。うちの馬は特別なんだ」
デレファンがうれしそうに笑う。
ルーベンさんの幌馬車を引くのは、黄褐色の体毛に赤いたてがみを持つ大きな馬だ。
「村の馬とは違うなと思ってたけど、すごい馬なのね?」
とても大きな馬。脚が太く、力が強くて持久力がある。普通の馬よりふた回りは大きい。
そのため、大きく重い幌馬車を引いているにも関わらず、普通の荷馬車よりもだいぶ速い。
「炎馬と呼ばれるやつさ。野生の魔獣を捕まえて飼い慣らしたのが最初だって言われてる。今では繁殖させてる厩舎もあるけど、数が少ないからなかなか買えないんだ」
「それに気性が、ね。ものすごく頭がいいから、嫌いな奴の命令なんか絶対に聞かないし」
「へぇー。じゃ、デレファンとマグリーは好かれてるのね?」
当然そうに違いないと思って聞くと、
「う~ん…」
「どうかなぁ…」
二人とも浮かない返事。
「たぶん、『まあまあ使えるヤツ』位の評価をされてるかと…」
「ええっ? そうなの!?」
「コイツが好きなのは親父さ。今度、よく見てなよ。親父に対する甘えっぷりを。なあ、セイザー?」
ブヒヒン
振り向いた馬は、当然、という表情で返事をした。
ひたすら街道を走っていると、少しづつ周りの交通量が増えてゆくのを感じる。
「ずいぶん多くの人がアゼッサに行くのね」
「交易の町だからね。それに、ここは街道だから、アゼッサ以外に行く人も利用している。整備された道を使えば速く進めるから」
道は真っ直ぐで見通しが良く、前後には多くの人や馬車の姿。
周辺の雑草や雑木は適度に刈り込まれ、蛇や毒虫の心配が少ない。
街道沿いには視界を遮らない程度に日よけとなる木々が植えられており、所々に井戸のある休憩所もあった。
この道は、馬車だけでなく徒歩で移動する旅人にとってもかなり良い道だろう。
そのうちに大きな十字路に出た。十字路の先は、石畳が敷き詰められた立派な道になっている。道幅も広い。
砂利を突き固めた道よりもさらに走りやすく、馬車のスピードも上がる。
やがて、前方に塀のようなものが見えてきた。とてつもなく左右に長い。塀の所々には一体化した建物のようなものがあり、塀の奥には尖塔や屋根が見える。その手前には、大勢の人々が立ち止まっていた。
「あそこがアゼッサです。町へ入るための検問ですよ」
幌から顔を出したルーベンさんが指差す。
「身元のはっきりしない、あやしい者は町に入れません。身分証をチェックするんです。一人づつ税金を取られますがね。物を売りたいなら持ち込む量によってさらに払う必要があります」
「うわぁ。もしもカブが売れてなかったら大変だったね!」
「ははは…。荷馬車は一台ごとに金額が決まってますからね。よほど馬車からはみ出してなきゃ変わりませんよ」
「…でも、すっごい取られるんだぜ」
マグリーが小さな声でそっと耳打ちする。ルーベンさんは何か書きつけた書類を取り出しながら、
「売り物が両手で抱えられる量か、商売をしない旅人専用の列ならチェックも早く終わるんですけどね。ミリアナは初めてだし私達と一緒に行きましょう。少し時間がかかるけど、迷子になっても困りますからね」
「お願いします!!」
一度はぐれたら、この人混みの中でルーベンさんたちを見つけ出す自信はない。絶対に絶対に離れないようにしなくては!
マグリーは手綱を器用に操り、馬車専用の列に並んだ。
馬車は、持ち込み禁止の物資や申告してない人物を隠していないか丁寧に調べられる。ちょっとした心付けを渡せば急いでくれるが、それでもかなりの時間がかかる。
身分証明書を見せるから出しておくようにと言われ、私はカードを取り出した。
大きな木のシルエットが印刷された、薄緑色の綺麗なカード。
あのおじさんが私の指を通して魔力を注ぎ込んだ枠の中には、いつの間にか、うっすらと印章のような模様が浮かんでいた。光にかざしてみると淡く虹色に光る。
かなり待たされた後、ようやく私達の番が来た。
「うわー、早い早い。人や馬車をどんどん追い抜いて行くよ?」
「ははは。うちの馬は特別なんだ」
デレファンがうれしそうに笑う。
ルーベンさんの幌馬車を引くのは、黄褐色の体毛に赤いたてがみを持つ大きな馬だ。
「村の馬とは違うなと思ってたけど、すごい馬なのね?」
とても大きな馬。脚が太く、力が強くて持久力がある。普通の馬よりふた回りは大きい。
そのため、大きく重い幌馬車を引いているにも関わらず、普通の荷馬車よりもだいぶ速い。
「炎馬と呼ばれるやつさ。野生の魔獣を捕まえて飼い慣らしたのが最初だって言われてる。今では繁殖させてる厩舎もあるけど、数が少ないからなかなか買えないんだ」
「それに気性が、ね。ものすごく頭がいいから、嫌いな奴の命令なんか絶対に聞かないし」
「へぇー。じゃ、デレファンとマグリーは好かれてるのね?」
当然そうに違いないと思って聞くと、
「う~ん…」
「どうかなぁ…」
二人とも浮かない返事。
「たぶん、『まあまあ使えるヤツ』位の評価をされてるかと…」
「ええっ? そうなの!?」
「コイツが好きなのは親父さ。今度、よく見てなよ。親父に対する甘えっぷりを。なあ、セイザー?」
ブヒヒン
振り向いた馬は、当然、という表情で返事をした。
ひたすら街道を走っていると、少しづつ周りの交通量が増えてゆくのを感じる。
「ずいぶん多くの人がアゼッサに行くのね」
「交易の町だからね。それに、ここは街道だから、アゼッサ以外に行く人も利用している。整備された道を使えば速く進めるから」
道は真っ直ぐで見通しが良く、前後には多くの人や馬車の姿。
周辺の雑草や雑木は適度に刈り込まれ、蛇や毒虫の心配が少ない。
街道沿いには視界を遮らない程度に日よけとなる木々が植えられており、所々に井戸のある休憩所もあった。
この道は、馬車だけでなく徒歩で移動する旅人にとってもかなり良い道だろう。
そのうちに大きな十字路に出た。十字路の先は、石畳が敷き詰められた立派な道になっている。道幅も広い。
砂利を突き固めた道よりもさらに走りやすく、馬車のスピードも上がる。
やがて、前方に塀のようなものが見えてきた。とてつもなく左右に長い。塀の所々には一体化した建物のようなものがあり、塀の奥には尖塔や屋根が見える。その手前には、大勢の人々が立ち止まっていた。
「あそこがアゼッサです。町へ入るための検問ですよ」
幌から顔を出したルーベンさんが指差す。
「身元のはっきりしない、あやしい者は町に入れません。身分証をチェックするんです。一人づつ税金を取られますがね。物を売りたいなら持ち込む量によってさらに払う必要があります」
「うわぁ。もしもカブが売れてなかったら大変だったね!」
「ははは…。荷馬車は一台ごとに金額が決まってますからね。よほど馬車からはみ出してなきゃ変わりませんよ」
「…でも、すっごい取られるんだぜ」
マグリーが小さな声でそっと耳打ちする。ルーベンさんは何か書きつけた書類を取り出しながら、
「売り物が両手で抱えられる量か、商売をしない旅人専用の列ならチェックも早く終わるんですけどね。ミリアナは初めてだし私達と一緒に行きましょう。少し時間がかかるけど、迷子になっても困りますからね」
「お願いします!!」
一度はぐれたら、この人混みの中でルーベンさんたちを見つけ出す自信はない。絶対に絶対に離れないようにしなくては!
マグリーは手綱を器用に操り、馬車専用の列に並んだ。
馬車は、持ち込み禁止の物資や申告してない人物を隠していないか丁寧に調べられる。ちょっとした心付けを渡せば急いでくれるが、それでもかなりの時間がかかる。
身分証明書を見せるから出しておくようにと言われ、私はカードを取り出した。
大きな木のシルエットが印刷された、薄緑色の綺麗なカード。
あのおじさんが私の指を通して魔力を注ぎ込んだ枠の中には、いつの間にか、うっすらと印章のような模様が浮かんでいた。光にかざしてみると淡く虹色に光る。
かなり待たされた後、ようやく私達の番が来た。
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