世界樹の管理人

浅間遊歩

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第2章 聖域の蔦苺

風とエルフと精霊魔法

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「ありがと。お邪魔するわね」
「ルルーシェさんは兄さんの知り合いだったんだね?」
「また会えてうれしいです!」
「何であんなに早く歩けるんですか?」
「魔法ですか? エルフはみんなできるんですか?」
「あの風は…」
「待て待て待て待て!!」

 身を乗り出して矢継ぎ早に質問する私達をデレファンが止める。

「お前ら、そんなに一気に聞いたらルルーシェが困るだろ」
「ご、ごめんなさい…」
「いいのよ」
「差し支えなければ…、もしかして今のはエルフ族が使うという精霊魔法ではありませんかな?」

 ルーベンさんも目を輝かせて聞く。

「父さんまで……」

 デレファンがやってられないという顔で天を仰ぐ。

「ええ、そうです。風の精霊と共に移動する技で、私達は風足と呼んでいます」
「すげー!」
「速かったね!!」

 さっきルルーシェさんの周りに吹いていた風は風の精霊なのかー。
 風の精霊が背中を押してくれるのかな? 手を引っ張るのかな?
 それでフレイムホースの馬車より速く歩けるの??
 やっぱり物語に出てくるすごいエルフとあまり違わないよ。
 そう思いながら見ていると、ルルーシェさんが振り向いた。

「ミリアナはマホテアに行くんじゃなかったの? てっきり街道を行ったのだと思っていたわ」
「私達みんな、このルーベンさんの馬車で行くんです」

 アゼッサからは、マホテアまで直通の乗合馬車が出ているそうだ。それに乗って行ったのだと思っていたらしい。

「少し回り道になりますが、この先のホルスト郷で各種素材を仕入れてから向かう予定でして。毎月、このコースで行商をしておりましてね」
「なるほど」

 ルルーシェは納得したように前に向き直った。

「ホルスト郷ね。確かにあそこは魔法素材の宝庫だわ」
「ルルーシェはクエスト中? いや別に詮索はしないけど」
「聞かれても大丈夫なヤツよ。聖域の遺跡調査なの。って言っても、基本的な調査が終わってる遺跡に異常がないか確認するだけ。年に何回かある依頼なんだけど、調べる場所は多いのに作業自体は簡単だから達成料が安すぎて誰も受けないのよ。いつも風足が使えて魔力の流れを読めるエルフが一人でサッと回って……うん、ここ数年はずっと私なんだけどねー」

 肩をすくめるルルーシェに、デレファンは笑いながら、

「おおかた、受付のナイーダに必死に頼まれるんだろう? アレ、断りにくいよな」
「当たりっ!」

 聖域の中にある遺跡は、建造物とは限らないらしい。石碑や石板のように小さなものもあり、その状態をリストに従って確認するんだそう。
 もっと西にあるという小さな聖域へも既に行ったそうだ。
 アゼッサを出てからもう3ヶ所も遺跡を見回ってきたらしい。早い。

大森林ここには遺跡がいくつかあるんだけど、ポツン、ポツンと離れてるから一気に終わらせらんないのよね。今日は宿泊所の近くの遺跡を調べて終わりかな。聖域とはいえ、暗くなるまで森の中を歩き回りたくないし」
「じゃあ、ルルーシェさんもこの先の宿泊所に泊まるんですか?」
「そうね。調査を終えたら向かうつもり」
「俺たち、宿泊所の周りで薬草の採取をする予定なんだ。へへっ、小遣い稼ぎ。ルルーシェさんも一緒にどうですか?」
「今日の昼時点での買取価格はギルドでメモってきた。リアン草の値が少し上がってるが、大体いつもと同じ位だ」

 いつになくルーベン兄弟の気合が入っている。
 そんな予定になってるとは知らなかった。ルーベンさんを見ると、

「ミリアナも薬草を教えてもらって摘むといい。冒険者であるデレファンに雇われた助手としてなら規則違反にならない。集めた薬草はデレファンが取りまとめてギルドに報告するだろう。そのままギルドに売ってもいいし、知り合いの調合師や魔術師に直接売ってもいい。どちらにしろ、デレファンが手間賃をくれる」

 こ、これは現金収入のチャンス!!
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