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第2章 聖域の蔦苺
薬草採取の穴場
しおりを挟む「やる! やります! ぜひ、お手伝いさせてください!」
握りこぶしに力を込めてキッパリそう言うとマグリーと目があった。お互い無言で深くうなずく。集めるぞ!
「だったら一緒に遺跡まで来ない? 結構、穴場よ?」
ルルーシェが提案する。
「蓮菜にリアン草にスクラト草、まだ実がなる時期じゃないけど蔦苺もあるし、光苔や柄長白茸が見つかる事もあるわよ。もちろんミンテやトントン草、太陽花も普通に生えてるし」
「何そのレア場」
デレファンが呆れている。薬草はよく分からないけどスゴイらしい。
「宿泊所から10分ほど歩いた所なんだけど、あまり人が来ないみたい」
「ああ、みんな手軽に宿泊所の裏の泉の周りで摘むから…」
蓮菜、リアン草、スクラト草、それに蔦苺は魔法薬を作る素材だという。蓮菜は素早く行動できるようになる興奮薬、リアン草は邪気を祓い呪いを解く解呪薬、スクラト草は炎症止め、蔦苺の実は猛毒にも効く毒消しの材料になるのだそうだ。
光苔と柄長白茸は魔術の触媒だ。触媒を使わなくても魔法は発動するが、使えば成功率や威力が増すという。
ミンテやトントン草、太陽花は私でも知っている。ハーブの一種で、薬の材料にもなるがそのまま煮出してお茶として飲んでも体に良い。普通の道端にも生えているが、聖域で育ったものは香りや薬効が高いので喜ばれる。
「それではまず宿泊所に寄って馬車を置いてから遺跡に向かうということで。あ、先に裏の泉に寄って、水筒に水を詰めていくと良いでしょう。あの水は美味しいし疲労回復効果もありますからね。私は馬車と一緒に残って夕飯を作っておきますよ。もちろんルルーシェさんの分も」
「異議なし!」
「わあ、ありがとうございます」
「集めまくるぜ!」
「楽しみ!」
聖域に湧く水は、たまに特殊な効果を持つことがある。地中で時間をかけて魔力を帯びた層を通り抜けることにより、水に何らかの成分が溶け込んでいるのだろうと見られているが、まだ人工的に再現するには至っていない。
宿泊所の裏にある泉もその一つだ。というより、そういう水が湧く場所の近くに宿泊所を構えたのだろう。
ここの水は軽い回復作用を持ち、治療薬を作るのに使えば劇的に効果が上がる。
それだけでなく、飲料水として常用すれば疲れ知らずの風邪知らず、健康増進に役立つとあって、わざわざ水だけ汲みに来る人もいるのだそうだ。
しかし今日の私達の狙いは別の物だ。
「あった!」
「ほら、ここにも」
「スクラト草がこんなにたくさん…。これ、スクラト草だよね? 傷薬に入れるやつ」
「リアン草、見っけ! あ、こっちのこれ!、……名前なんだっけ」
細い獣道を抜けて遺跡にたどり着いた私達は狂喜乱舞した。
貴重な薬草がそこかしこに大量に生えている。
私も薬草の見分け方を教えてもらい、みんなでひたすら摘む。
ルルーシェさんも一緒だ。
「本当に多いな。それにどれも質がいい。おおい、全部は取らないで、小さ目のや育ちすぎてるのは残しとけ」
「わかったー」
「もしも柄長白茸、…軸が細長くて真っ白いキノコを見つけたら絶対に素手で触るな。幻覚を見せる毒キノコだからな」
「了解!」
みんな興奮状態で薬草を集めまくる。
「今日は本当に多いわね」
ルルーシェさんが汗を拭いながら言う。
いつもはこれほどじゃないらしい。
「薬草もやっぱり天気に左右されるのかな? うちの村、カブが大豊作なんです。今月は毎日カブばっかり食べてたの」
「あらあら。でもカブのスープって美味しいわよね」
「はい! 私、大好きです!」
雑談しながらも手は動かす。
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