世界樹の管理人

浅間遊歩

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第2章 聖域の蔦苺

奇跡の赤い実

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 ツタを何本かまとめて手に取り、重ならないように両手で広げながら裏も確認する。
 やや下側からのぞくと葉っぱの陰も調べやすい。
 そうして何たば目かの裏をのぞいた時、

「あ、あった!……じゃ、ないや。違う」

 赤みがかった丸い物を発見してドキリとしたが、実ではなかった。

「これは……ツボミかな?」

 花は白だと聞いていたけど、ツボミは桃色なんだね。よく見ると、まだ小さくて緑色のツボミもあった。

「これが……咲いて、それから…実が大きくなって……真っ赤に熟す……」

 蔦苺ツタイチゴは見たことないけど、木苺ならウモグル村にもたくさん生えている。
 だから想像できる。このツボミがどんな風に開くか、どんな風に実が大きくなって赤くなるか。

「今すぐ、赤い実になあれ!」

 赤い実が大きく育つのを想像しながら、半分、やけっぱちで言った。
 投げるように手を離した蔦苺ツタイチゴの蔦がフルフルと震える。


   〈 アカイ ミ ? 〉


 かすかな声が聞こえた。…ような気がした。


   〈 アカイ ミ ! 〉


 そう、赤い実。蔦苺ツタイチゴの赤い実が欲しいの。


   〈 コッチ! 〉


 誰かに呼ばれたような気がして振り向く。

 蔦苺ツタイチゴは小部屋の入り口だけでなく、中にも生えていた。
 奥の壁には、あの黒いナイフが刺さっていた木の根が見えている。
 そのすぐ隣にも蔦苺ツタイチゴが育っていた。背丈はそれほど高くないが、木の根に近い所で枝分かれしている。
 そして、その先に…

「あ……あった! あったよ! 赤い実が!!」

 真っ赤に熟した蔦苺ツタイチゴの実だ!
 木苺の実よりは一回り大きく、黒ずんで見えるほど濃い赤色。

「どうしてさっきは気がつかなかったんだろう?」

 小部屋に入った時に、正面の木の根は見たはずなのに。

「ミリアナ!?」

 私の大声を聞きつけてルルーシェさんが戻ってきた。

「あったの!?」
「これ! これ、見て! そうですよね!?」

 上ずる声で報告しながら、木の根の近くにある赤い実を指さす。

「それよ!!!」

 手を伸ばしてそっと触れると、完熟した赤い実がホロリと手のひらに落ちた。

「…はい! どうぞ!」
「デレファンに! 回復薬に混ぜて飲ませましょう」

 急いでデレファンの所へと戻る。
 枕元に置いた金属製のカップには、さっき作った回復薬がまだ半分くらい残ったままだ。

 そこへ蔦苺ツタイチゴの実を入れ、ルルーシェが二言三言ふたことみことささやくと、カップの中で液体が回り始めた。潰れた実からあふれた汁で全体が淡いルビー色になる。

「保存する毒消しを作る場合は祝福をかける前に混ぜるんだけど、今すぐ飲ませるならこれで大丈夫。眠くなるのも外したわ」

 カップの底に薬草のカスや蔦苺ツタイチゴの種が沈むのを待ってからデレファンに向き合う。
 デレファンは、さっき飲ませた薬の効果で眠っている。だけど苦しそうだ。毒でれ上がった右腕が痛むのだろう。
 魔法で眠らせたんだから魔法で起こすのかな?と見ていると、

「起きて! デレファン! 薬よ!」

 パン!パン!と強い音が響く。何度もほっぺたを平手打ちして起こしていた。

 ……う~ん、シンプル。
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