王太子妃の座を失った悪役令嬢は夜会を去った

きららののん

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お店ができてから、リアムさんとの距離も、より一層、自然なものになっていった。

彼は、相変わらず口数は少ないけれど、何かと、わたくしの店を気にかけてくれているようだった。

ある雨の日、彼は、ずぶ濡れになりながら、腕に何かを抱えて店に駆け込んできた。

「リアムさん!?どうしたのですか、その怪我……!」

彼の腕は、血で滲んでいた。

「……俺じゃない。こいつだ」

彼がそっと見せた腕の中には、足に罠が食い込み、ぐったりとした子狐がいた。

「まあ……!」

「……頼む。助けてやってくれ」

彼の真剣な眼差しに、わたくしは力強く頷いた。二人で協力して、子狐の足から慎重に罠を外し、薬草で手当てをする。その間、リアムさんは、ずっと、優しい手つきで子狐の体を撫で続けていた。

またある時は、店の棚が、商品の重みで少し傾いてしまったことがあった。わたくしが、どうしたものかと困っていると、どこで見ていたのか、ひょっこりと彼が現れた。

「……どけ」

そう言って、金槌と釘で、あっという間に棚を修理してしまう。

「あ、ありがとうございます……!助かりました」

「……別に。これくらい、どうということはない」

そう言って、すぐに帰ってしまう。

でも、そんな彼の不器用な優しさが、わたくしには、もう手に取るようにわかった。

少しずつ、会話も増えていった。

「リアムさんは、狩りの他に、村の皆さんの力仕事も手伝っているのですね」

「……ああ。俺にできるのは、それくらいだからな」

「そんなことありません。皆、とても感謝していますよ」

そう言うと、彼は少し照れたように、顔をそむけた。

お店という、二人の共通の場所ができたことで、わたくしたちは、以前よりもずっと、気兼ねなく言葉を交わせるようになっていた。

彼の存在が、この村でのわたくしの暮らしの中で、日に日に、大きく、そして、温かいものになっていくのを感じていた。
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