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「待てと言っているのが聞こえなかったのか、アイナ!」
わたくしがパーティー会場を去ろうとした、その時。
背後から、アルフォンス殿下の苛立ちを隠そうともしない声が飛んできました。
振り返ると、殿下は真っ赤な顔でわたくしを睨みつけています。
「まだ話は終わっていない! 君の罪を、衆人の前で明らかにせねばならん!」
あらあら、公開処刑の続きをご所望ですの?
悪趣味ですこと。ですが、面白いのでお付き合いいたしましょう。
「罪、でございますか? わたくし、法に触れるようなことは何もしておりませんが」
「とぼけるな! では聞くが、先週の水曜日! 君はマリアンヌのドレスにわざとワインをこぼしただろう!」
殿下が叫ぶと、マリアンヌさんが「あれは、殿下からいただいた、大切なドレスでしたのに…」と涙ぐみます。
会場からは、同情的な溜息が漏れました。
「先週の水曜日、ですわね?」
わたくしは記憶を探ります。
ああ、思い出しましたわ。
「その日、その時間、わたくしは王宮の薔薇園で、新種の紅茶とパティスリー『シュクレ』の試作品であるマカロンのマリアージュを試しておりましたわ」
「なっ……」
「主催はかの有名な食文化研究家の伯爵様。証人なら、そこにいらっしゃるご婦人方も含め、50名はおりますわね。皆様、そうでしたでしょう?」
わたくしがにっこりと微笑みかけると、会場の片隅にいた貴婦人方がこくこくと頷きます。
「ええ、クライファート嬢は確かにおられましたわ」「あのマカロンの批評、実に見事でしたわよ」。
そんな囁き声が聞こえてきます。
「ぐっ……た、偶然だ! では、その前の週の月曜日はどうだ! マリアンヌが大切にしていた母親の形見のブローチを隠しただろう!」
マリアンヌさんが「母様…」と、今にも泣き崩れそうな様子で殿下に寄り添います。
まあ、今度はお母様の形見。ずいぶんと古典的な手ですこと。
「月曜日、ですわね。ええと……ああ、思い出しましたわ。その日は一日中、王立図書館の禁書庫におりましたの」
「き、禁書庫だと? あそこは特別な許可がなければ入れないはずだ!」
「ええ、もちろん許可はいただきましたわ。古代魔法言語の解読をしておりまして。司書の方もずっと一緒でしたから、わたくしが図書館から一歩も出ていないことは証明できます」
わたくしがそう言うと、会場の隅にいた年配の司書が、こほんと咳払いをして小さく頷きました。
殿下は「うぐぐ…」と唸り、言葉に詰まります。
無理もありませんわ。全て、マリアンヌさんが吹き込んだ作り話なのですから。
「そ、それでも! マリアンヌを階段から突き落とそうとした件はどうなんだ!」
いよいよ本丸が出てきましたわね。
「彼女は、君に突き飛ばされそうになって、足を挫いてしまったんだぞ! 幸い、私が受け止めたから大事には至らなかったが!」
殿下は、さも自分がヒーローであるかのように胸を張ります。
マリアンヌさんも、震えながら「と、とても怖かったです…。アイナ様が、鬼のような形相で…」と証言します。
「それは、いつのことですの?」
「3日前の午後だ!」
3日前の午後。
その日は、わたくしにとって非常に重要な日でしたわ。
「アルフォンス殿下」
わたくしは、すっと表情を消し、静かに殿下を見据えました。
「3日前の午後、わたくしは王都の南にある『パティスリー・エトワール』におりました。なぜならその日は、月に一度だけ販売される、幻の七層仕立てのミルフィーユ『天上の調べ』の発売日でしたから」
「は……? み、ミルフィーユ…?」
殿下は、何を言われているのかわからない、という顔をしています。
「ええ。毎月、限定20個しか作られない、大変貴重なものですの。わたくしは、その整理券一番を勝ち取るため、前日の夜から並んでおりました。そして購入した後は、その場で至福の時間を過ごしておりましたわ。わたくしがマリアンヌさんを突き飛ばすことなど、物理的に不可能です」
わたくしの完璧すぎるアリバイに、会場は水を打ったように静まり返ります。
そして、あちこちからくすくすという笑い声が漏れ始めました。
「そ、そんなもの、誰が証明できる!」
「お店の方々、そして同じくミルフィーユを求めて並んでおられた紳士淑女の皆様が、わたくしの情熱を証明してくださいますわ」
事実、会場にいた何人かのご令嬢が「そういえば、アイナ様、鬼気迫る表情で並んでいらっしゃったわ…」「ミルフィーユのためなら、あの方は何でもなさるものね」などと囁いています。
不本意ですが、今はその情熱が役に立ちました。
「どうですの、殿下? これでもまだ、わたくしが罪人だとおっしゃいますか?」
わたくしが微笑むと、殿下は悔しさに顔を歪め、マリアンヌさんは唇を噛みしめてわたくしを睨みつけています。あら、可憐な仮面が剥がれておりますわよ。
「……ええい、黙れ! たとえ、それらが事実だとしてもだ! 君がマリアンヌに嫉妬し、冷たく当たっていたのは事実だろう!」
ああ、論点をすり替えてきましたわ。
もう、まともな反論はできないと悟ったのでしょう。
「君のその態度が、マリアンヌをどれだけ傷つけたか! それだけで、君は王妃にふさわしくない! これは、この国の皇太子としての決定だ!」
結局、権力でねじ伏せる。
最初から、結論は決まっていたということですわね。
「……承知いたしました」
わたくしは、深く、深く、頭を下げました。
これ以上、愚かな殿方にお付き合いする時間もありません。
「クライファート侯爵令嬢、アイナは、ただ今をもちまして、アルフォンス皇太子殿下との婚約を、謹んで解消させていただきます」
わたくしの言葉に、会場は再び静寂に包まれました。
殿下が勝利の笑みを浮かべるのが見えます。
ですが、周囲の貴族たちが殿下に向ける目が、先程よりもずっと冷ややかになっていることに、愚かなお二人はまだ気づいていないようでした。
わたくしがパーティー会場を去ろうとした、その時。
背後から、アルフォンス殿下の苛立ちを隠そうともしない声が飛んできました。
振り返ると、殿下は真っ赤な顔でわたくしを睨みつけています。
「まだ話は終わっていない! 君の罪を、衆人の前で明らかにせねばならん!」
あらあら、公開処刑の続きをご所望ですの?
悪趣味ですこと。ですが、面白いのでお付き合いいたしましょう。
「罪、でございますか? わたくし、法に触れるようなことは何もしておりませんが」
「とぼけるな! では聞くが、先週の水曜日! 君はマリアンヌのドレスにわざとワインをこぼしただろう!」
殿下が叫ぶと、マリアンヌさんが「あれは、殿下からいただいた、大切なドレスでしたのに…」と涙ぐみます。
会場からは、同情的な溜息が漏れました。
「先週の水曜日、ですわね?」
わたくしは記憶を探ります。
ああ、思い出しましたわ。
「その日、その時間、わたくしは王宮の薔薇園で、新種の紅茶とパティスリー『シュクレ』の試作品であるマカロンのマリアージュを試しておりましたわ」
「なっ……」
「主催はかの有名な食文化研究家の伯爵様。証人なら、そこにいらっしゃるご婦人方も含め、50名はおりますわね。皆様、そうでしたでしょう?」
わたくしがにっこりと微笑みかけると、会場の片隅にいた貴婦人方がこくこくと頷きます。
「ええ、クライファート嬢は確かにおられましたわ」「あのマカロンの批評、実に見事でしたわよ」。
そんな囁き声が聞こえてきます。
「ぐっ……た、偶然だ! では、その前の週の月曜日はどうだ! マリアンヌが大切にしていた母親の形見のブローチを隠しただろう!」
マリアンヌさんが「母様…」と、今にも泣き崩れそうな様子で殿下に寄り添います。
まあ、今度はお母様の形見。ずいぶんと古典的な手ですこと。
「月曜日、ですわね。ええと……ああ、思い出しましたわ。その日は一日中、王立図書館の禁書庫におりましたの」
「き、禁書庫だと? あそこは特別な許可がなければ入れないはずだ!」
「ええ、もちろん許可はいただきましたわ。古代魔法言語の解読をしておりまして。司書の方もずっと一緒でしたから、わたくしが図書館から一歩も出ていないことは証明できます」
わたくしがそう言うと、会場の隅にいた年配の司書が、こほんと咳払いをして小さく頷きました。
殿下は「うぐぐ…」と唸り、言葉に詰まります。
無理もありませんわ。全て、マリアンヌさんが吹き込んだ作り話なのですから。
「そ、それでも! マリアンヌを階段から突き落とそうとした件はどうなんだ!」
いよいよ本丸が出てきましたわね。
「彼女は、君に突き飛ばされそうになって、足を挫いてしまったんだぞ! 幸い、私が受け止めたから大事には至らなかったが!」
殿下は、さも自分がヒーローであるかのように胸を張ります。
マリアンヌさんも、震えながら「と、とても怖かったです…。アイナ様が、鬼のような形相で…」と証言します。
「それは、いつのことですの?」
「3日前の午後だ!」
3日前の午後。
その日は、わたくしにとって非常に重要な日でしたわ。
「アルフォンス殿下」
わたくしは、すっと表情を消し、静かに殿下を見据えました。
「3日前の午後、わたくしは王都の南にある『パティスリー・エトワール』におりました。なぜならその日は、月に一度だけ販売される、幻の七層仕立てのミルフィーユ『天上の調べ』の発売日でしたから」
「は……? み、ミルフィーユ…?」
殿下は、何を言われているのかわからない、という顔をしています。
「ええ。毎月、限定20個しか作られない、大変貴重なものですの。わたくしは、その整理券一番を勝ち取るため、前日の夜から並んでおりました。そして購入した後は、その場で至福の時間を過ごしておりましたわ。わたくしがマリアンヌさんを突き飛ばすことなど、物理的に不可能です」
わたくしの完璧すぎるアリバイに、会場は水を打ったように静まり返ります。
そして、あちこちからくすくすという笑い声が漏れ始めました。
「そ、そんなもの、誰が証明できる!」
「お店の方々、そして同じくミルフィーユを求めて並んでおられた紳士淑女の皆様が、わたくしの情熱を証明してくださいますわ」
事実、会場にいた何人かのご令嬢が「そういえば、アイナ様、鬼気迫る表情で並んでいらっしゃったわ…」「ミルフィーユのためなら、あの方は何でもなさるものね」などと囁いています。
不本意ですが、今はその情熱が役に立ちました。
「どうですの、殿下? これでもまだ、わたくしが罪人だとおっしゃいますか?」
わたくしが微笑むと、殿下は悔しさに顔を歪め、マリアンヌさんは唇を噛みしめてわたくしを睨みつけています。あら、可憐な仮面が剥がれておりますわよ。
「……ええい、黙れ! たとえ、それらが事実だとしてもだ! 君がマリアンヌに嫉妬し、冷たく当たっていたのは事実だろう!」
ああ、論点をすり替えてきましたわ。
もう、まともな反論はできないと悟ったのでしょう。
「君のその態度が、マリアンヌをどれだけ傷つけたか! それだけで、君は王妃にふさわしくない! これは、この国の皇太子としての決定だ!」
結局、権力でねじ伏せる。
最初から、結論は決まっていたということですわね。
「……承知いたしました」
わたくしは、深く、深く、頭を下げました。
これ以上、愚かな殿方にお付き合いする時間もありません。
「クライファート侯爵令嬢、アイナは、ただ今をもちまして、アルフォンス皇太子殿下との婚約を、謹んで解消させていただきます」
わたくしの言葉に、会場は再び静寂に包まれました。
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