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第三章
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東門から南門へ外壁の外側から向かう。念のための見回りを兼ねてだ。見かけるのは魔獣でない小鳥達と、魔獣でないリスやネズミ、人懐っこい子犬くらいで全く持って平和だ。ガンジュールさんが言うには大体陽が天辺まで来たくらいに第一派が到達するのが例年なので、後二刻は余裕が有りそうだ。
爽やかな風が巡る草原を眺めながら未だのんびりとした風景に心を落ち着ける。
そんな中をてくてくと半刻ほど歩いていると、漸く南門が見えてきた。
南門の前では兵士達が規律の取れた動きで哨戒したり、報告があるのかガンジュールさんのテントとは比べるべくもないしっかりしたテントに入っていく者、門の上には上から近くを警戒する者と望遠鏡を使って遠くを警戒する者が居る。
「王太子が居るからか、東に比べると厳重だな」
一目見ただけで目に付く人数が東の倍はあるため、相当な厳戒態勢をしいているのがわかる。
「何ですか?あなた達は?」
哨戒している見知った顔の騎士達に気軽に声をかけながら抜けようとすると、テントの方から声をかけられた。
そちらに目を向けると、金髪碧眼の男が歩いてくるところだった。
それを見た顔見知りの騎士達は膝を折って敬礼をその男に向けている。それなりに地位のある者のようだ。
「俺達ですか?冒険者・・・・・・なのかな?」
答えとして曖昧に言うと、真剣な眼差しの歩いてきた男はほんの少し呆気にとられたようだ。
「冒険者で良いんじゃないか?ギルドカードも持ってるしな!」
喝ッと笑いながらイッカクさんが肯定してくれる。
「ま、まぁ、身分は良いでしょう。どうしてこちらに来たのか聞かせて貰いましょうか」
「んー、知り合いに激励?ガンジュールさんに西と北に声かけてくれって言われたんで、ついでに南も行っておこうかと言うことで」
「・・・・・・・・・・・・」
俺の言葉に、とっさに言葉が出て来なかったのか青筋を立てるだけで無言の男。煽り耐性はそれなりにあるらしい。
「やや!?ハジメ殿にミサキ殿!それにイッカク殿ではありませんか!」
そんな、急に張り詰めた空気をぶちこわしたのは陽気で人懐っこい男の声だった。
「あ、おはようございます。エディンバルさん。壮健そうで何よりです」
「あぁ、おはよう!昨日、朝にこの町を立ったと聞いたときは冷や汗をかいたものだがシミュリストル様のお導きだな!帰ってきたと聞いて歓喜したぞ!」
「それはそれは、気を揉ませてしまい申し訳ない」
「いいんだ、いいんだ!今ここに居てくれているのだから!・・・・・・あぁ、すまないミシュリール。こちら、シミュリストル様の御使いのハジメ殿とミサキ殿だ。こっちは教国最強のイッカク殿。えーっと、後はコーディローン家のホルエス殿だな!後は・・・・・・?」
「こちら二人は俺達が身元を引き受けたイヌヅカ・マサツグ君とハマナ・ミライちゃんです。一応、ホルエスさんも身元を引き受けてますね」
「「よ、よろしくお願いします!」」
「応!よろしくな!ミシュリール、だそうだ!」
「だそうだ、じゃ、無いですよ殿下。・・・・・・私はエディンバル殿下の補佐役を仰せつかっておりますミシュリール=リッパードです。以後お見知り置きを」
ミシュリールと名乗った金髪碧眼の男は俺に対して握手を求めてきた。求めに応じて握手して離すと、驚いたようにミシュリールは自分の手をまじまじと見つめる。
彼の手は、文官と言うからそこまで鍛えられていないだろうと思っていたが意外と鍛えられていた。
「ミシュリールさん、実は武官に憧れでも?」
俺がそう聞くと、ミシュリールさんはあからさまに「うっ」と言葉を詰まらせる。
「応さ!よくわかったな!リッパード家って言うのは文官でも武官でも通用する人材を多数輩出してるんだが、このミシュリールは肉付きが悪くてな、兄や弟は将軍補佐とか中隊長とかやっててそれに嫉妬してるのよ!」
言葉に詰まったミシュリールさんの横で、エディンバルさんがカカカと笑いながらミシュリールさんの置かれた状況を教えてくれる。
「おぉ!そうだったのか!ミシュリールとやら、喜ぶと良い。ハジメ殿とミサキ殿はこう見えて俺よりも力がある。動作も洗練されているから、それを見習えば上位へ食い込む事も出来るぞ!」
それに反応したのはイッカクさんだった。イッカクさんはホルエスさんと一緒に俺達から学んだ鍛錬法を騎士達に教えていて、それがファルムットに勤めている兵士と騎士の練度向上に寄与していた。それを言っているのだろう。
・・・・・・そう言えば、この世界の兵士、騎士の練度がどのくらいなのか知らないな。下手したらファルムットが最強になってしまうかも・・・・・・。
まぁ、ファルムットに王太子殿下が居るからこの国中の兵力均衡は取れるだろう。そこまで考えればいいか。
爽やかな風が巡る草原を眺めながら未だのんびりとした風景に心を落ち着ける。
そんな中をてくてくと半刻ほど歩いていると、漸く南門が見えてきた。
南門の前では兵士達が規律の取れた動きで哨戒したり、報告があるのかガンジュールさんのテントとは比べるべくもないしっかりしたテントに入っていく者、門の上には上から近くを警戒する者と望遠鏡を使って遠くを警戒する者が居る。
「王太子が居るからか、東に比べると厳重だな」
一目見ただけで目に付く人数が東の倍はあるため、相当な厳戒態勢をしいているのがわかる。
「何ですか?あなた達は?」
哨戒している見知った顔の騎士達に気軽に声をかけながら抜けようとすると、テントの方から声をかけられた。
そちらに目を向けると、金髪碧眼の男が歩いてくるところだった。
それを見た顔見知りの騎士達は膝を折って敬礼をその男に向けている。それなりに地位のある者のようだ。
「俺達ですか?冒険者・・・・・・なのかな?」
答えとして曖昧に言うと、真剣な眼差しの歩いてきた男はほんの少し呆気にとられたようだ。
「冒険者で良いんじゃないか?ギルドカードも持ってるしな!」
喝ッと笑いながらイッカクさんが肯定してくれる。
「ま、まぁ、身分は良いでしょう。どうしてこちらに来たのか聞かせて貰いましょうか」
「んー、知り合いに激励?ガンジュールさんに西と北に声かけてくれって言われたんで、ついでに南も行っておこうかと言うことで」
「・・・・・・・・・・・・」
俺の言葉に、とっさに言葉が出て来なかったのか青筋を立てるだけで無言の男。煽り耐性はそれなりにあるらしい。
「やや!?ハジメ殿にミサキ殿!それにイッカク殿ではありませんか!」
そんな、急に張り詰めた空気をぶちこわしたのは陽気で人懐っこい男の声だった。
「あ、おはようございます。エディンバルさん。壮健そうで何よりです」
「あぁ、おはよう!昨日、朝にこの町を立ったと聞いたときは冷や汗をかいたものだがシミュリストル様のお導きだな!帰ってきたと聞いて歓喜したぞ!」
「それはそれは、気を揉ませてしまい申し訳ない」
「いいんだ、いいんだ!今ここに居てくれているのだから!・・・・・・あぁ、すまないミシュリール。こちら、シミュリストル様の御使いのハジメ殿とミサキ殿だ。こっちは教国最強のイッカク殿。えーっと、後はコーディローン家のホルエス殿だな!後は・・・・・・?」
「こちら二人は俺達が身元を引き受けたイヌヅカ・マサツグ君とハマナ・ミライちゃんです。一応、ホルエスさんも身元を引き受けてますね」
「「よ、よろしくお願いします!」」
「応!よろしくな!ミシュリール、だそうだ!」
「だそうだ、じゃ、無いですよ殿下。・・・・・・私はエディンバル殿下の補佐役を仰せつかっておりますミシュリール=リッパードです。以後お見知り置きを」
ミシュリールと名乗った金髪碧眼の男は俺に対して握手を求めてきた。求めに応じて握手して離すと、驚いたようにミシュリールは自分の手をまじまじと見つめる。
彼の手は、文官と言うからそこまで鍛えられていないだろうと思っていたが意外と鍛えられていた。
「ミシュリールさん、実は武官に憧れでも?」
俺がそう聞くと、ミシュリールさんはあからさまに「うっ」と言葉を詰まらせる。
「応さ!よくわかったな!リッパード家って言うのは文官でも武官でも通用する人材を多数輩出してるんだが、このミシュリールは肉付きが悪くてな、兄や弟は将軍補佐とか中隊長とかやっててそれに嫉妬してるのよ!」
言葉に詰まったミシュリールさんの横で、エディンバルさんがカカカと笑いながらミシュリールさんの置かれた状況を教えてくれる。
「おぉ!そうだったのか!ミシュリールとやら、喜ぶと良い。ハジメ殿とミサキ殿はこう見えて俺よりも力がある。動作も洗練されているから、それを見習えば上位へ食い込む事も出来るぞ!」
それに反応したのはイッカクさんだった。イッカクさんはホルエスさんと一緒に俺達から学んだ鍛錬法を騎士達に教えていて、それがファルムットに勤めている兵士と騎士の練度向上に寄与していた。それを言っているのだろう。
・・・・・・そう言えば、この世界の兵士、騎士の練度がどのくらいなのか知らないな。下手したらファルムットが最強になってしまうかも・・・・・・。
まぁ、ファルムットに王太子殿下が居るからこの国中の兵力均衡は取れるだろう。そこまで考えればいいか。
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