異世界探訪記

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二十一日目。最果ての森の中、野営地にて

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二十一日目。
 昨日の料理当番さん、名前はギルビットさんと言うらしい。昔は大陸の中央近くの国で家庭教師をする程高名だったが、貴族にムカついたからこっちに引っ越してきたらしい。
 他の人が言うには彼が来てくれたお陰で引き車を改良できたり、他にも色々と助かったそうだ。
 中でも一番の功績は彼らの村に衛生観念を持ち込んだ事で、病気が減り、体力が増したことで収穫が増え、いつもギリギリだった生活に多少の余裕が出来て、ついでに乳飲み子の生存率が高まったおかげで集落の人口が緩やかに増え始めたと言う。
 魔法よりも魔法らしいと言葉をこぼすと、ギルビットさんは頬を掻いていた。

 『灯火トーチ』の他に『そよ風ウィンド』、『湧水ウォーター』、『粘土アース』、『発光ライト』、『暗闇ダーク』を教えてもらい、イメージでここまで出来るならアレも出来るだろうと電気を発生させてそれを『雷光スパーク』と名付けた。俺の行動にエルフ達は唖然としていたが、まぁ、仕方ないよね。これでも現代人だし、ファンタジー小説大好きだったし。
 え?違う?全ての魔法を安定して行使できるのがおかしい?ついでに、雷魔法は気象魔法とも呼ばれる秘匿魔法で扱える者は殆ど居ないって?あぁ!科学に疎い世界観なんだな!

 魔術とはイメージし辛い魔法を発動させるために用いる魔術陣の事で、一般的には魔法が使えない者達が自転車の補助輪よろしく使用するのがこの星の人々の認識だそう。
 しかし、とギルビットさんはそんな世界の常識を真っ向から否定する。
 魔術とは神話の時代で最も多用された物だった。人知を越える者達が、どうして魔法を用いるのに魔術を多用したのか?歴史を調べる学者の中でも意見が分かれているが、大勢を占めて居るのは魔法の黎明期であるため、イメージの固定化が進んでいなかったため魔術を用いた。と言う考え方らしい。

 ふーん。神様がわざわざ使ったとしたらそこに何らかの意図が有るもの何じゃねえのかな?別にどうでも良いけど。
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