異世界探訪記

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三十三日目。エルフ族の集落にて

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三十三日目。
 書き忘れていたが、昨日の夕餉ゆうげの際に堀を作ることを提案したのだが却下された。
 まだまだ大きくなりそうな雰囲気のあるこの集落にそんな物を作ってしまったら堀の内と外で変な軋轢が生じるかも知れないと言う事だ。
 なる程確かに。と思ったが説明の後、それは建前でこの森の木を伐採し始めると際限なく伐採してしまうのでは?との危惧が真相のようだ。

 今日の午後からは俺が提案した避難訓練を行ったが、それまでは各々の仕事をこなす事になった。まあ、予告はするがいつ起こるか解らない非常事態なんだから日常を演じるのは間違いないはずだ。

 午前中、午後もだが今日は手伝いをほっぽりだして集落の入り口に椅子を持ち出し、そこに座って『千里眼』を発動させ続けた。門番みたいなものだろう。
 で、午後にはここから渡された笛を笛が壊れないくらいに強く吹いてやった。その音で遠くの野鳥が慌てて飛んでいく姿が見えたので集落にはよく聞こえただろう。
 暫くしたらビルギットさんとベルデットさんが現れて無事皆が避難所に避難したことが告げられる。
 最初は手順を覚えるため毎日、今週が終わったら週一、一ヶ月経ったら月一に訓練を行って最低半年に一回避難訓練するという。畑はほぼほぼ徴税の為に耕しているようなものだから今の時期なら多少さぼっても良いそうだ。
 それなら訓練をやって備えた方がいいだろうな。
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