異世界探訪記

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六十二日目。エルフ族の集落にて

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六十二日目。
 犠牲者、行方不明者無し。昨日の宴会でそうだろうなとは思っていたが、一晩空けてベルデットさんからそう発表されて俺は安堵した。
 被害に遭った建物は無く、建設途中の水車小屋も近付いた盗賊は悉く感電したらしい(三人)。足を踏み入れたら感電する迎撃魔法陣を俺達が出かけていった後に念の為刻んでおいたらしい。
 ダッシラーさんやミネルヴァさんは矢払いの効果が画期的だったらしく絶讃してくれた。

 水道の工事は池予定の穴が2つ完成し、三つ目の途中らしい。みてみたら、どうやったのかセメントが池の底を縁まで薄く覆っていて、トンネル工事のセメントを霧状に吹き付ける工事の後はこうなるんじゃないか?
 池が出来たら子供が遊ぶだろうなぁと考えていたら、そのまま声に出ていたのか、あっと言う表情をした後ギルビットさんがベルデットさんの方へ駆けていった。
 その時見ていた池は中央広場の池だったんだが太陽の方角にもう一つの完成した池があり、そこまでに至る小沢も掘り終わっている。こちらから作業を行って居るらしく、目算でこことあっちのこちら側から三分の一程度の所に人が集まっていた。
 右に視界を巡らせれば遠いところに人が集まって池を作っている。昼前には作業が終わっていたが、あの時は朝餉の後一刻ぐらい経った後だったから残り四分の一位残っていたんじゃ無かろうか。
 もう少し右に視界を巡らせれば目を凝らすくらいの距離に水車小屋の基礎があり、二、三人くらいで基礎に水をぶっかけていた。
 後で聞いたら、あれをやらないとヒビが入ったりするそうだ。ギルビットさんが答えてくれた。

 家の基礎より目減りする感じではないが、それなりの距離をセメントで吹いていくので減りは早い。
 そうそう、噴霧のやり方だが粉になるまで石材を砕き、それを風魔法で浮かせつつ空気ごと圧縮、小さい穴を作るとそこから霧状に空気と共に飛び出すから水魔法で湿らすと言う手順だった。
 安全を考えて作業に当たる人は目の細かい布を角度を変えて三枚重ね、口と鼻を覆うようにとの指示もあったそうだ。

 昼休憩をしていると、門番役の人が「貴族っぽい人が来た!」と慌ててやってきた。またか!と思ったが、取り敢えずいつもの三人で向かうと、ラスティーが従者二人を連れてそこに居た。
 取り敢えず話を聞くためベルデットさんが家を提供してくれたのでベルデットさん、ギルビットさん、俺、ラスティー、ファルムスさん、侍女のマナフィさんの六人で話し合った。

 なんでも、ラスティーは会食の後個別に俺と話をしたいと考えたらしく翌日にファルムスさんを俺が泊まっていた宿屋に送ったのだそうだ。
 しかしそこに俺の姿は既に無く、いろいろ聞いて回ったら街をもう出たとのことなので準備をして翌朝に追い掛けたとの事。
 アクティブだなぁ。
 話を聞き進めていくと、まだ集落周辺には盗賊が潜んでいそうな事がわかった。
 これを狩り組や兵士達に知らせると二組織プラス俺、ギルビットさん、ベルデットさんが山狩りを実施する事になった。
 一応、兵士一人を領主へ送り、許可証の発行と近隣への注意喚起を行って貰うよう上伸するそうだ。決行はこの兵士が帰って来てからになる。
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