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百十七日目。ストレイフーズより出でて北。見晴らし平原にて
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百十七日目。
やる事、揃える物を揃えたのでお世話になった人に挨拶して廻ってから街を出た。
ダッシラーさんの話によると、領兵の一部から冒険者と協力する話が持ち上がって来たそう。意見を求められたので領兵の意義、冒険者の意義を述べた上で協力する事のメリット、デメリットを上げておいた。
領兵はこの領を攻めてくる人から領民を守る盾。
この地に根付いた冒険者は魔物や動物から領民を守る盾。
領兵と冒険者がそれらを踏まえて協力すれば即応性がかなり上がるかもしれない。
領兵と冒険者が癒着すればどちらの横暴も見逃されてしまうかもしれない。
最初の理念こそ崇高なものであろうが、理念は野菜と同じでしっかり保存しても腐るもの。
そんな事を言った気がする。それを聞いて、ダッシラーさんは納得顔だった。
冒険者ギルドで旅立つ事を報告すると、絞り出すように今まで有り難うと感謝された。
どこに行くか聞かれたので、取り敢えず北へ。2日位の距離に農村が有るそうなのでそこへ向かうつもりだ。これはアズラータさんからの申し入れで、ギルビットさんの希望でもある。研究の成果を確かめるとともに、この技術がエルフ族の集落以外でも通用するか確認したいのだとか。
話を聞いて、俺もメヌエットさんも興味を引かれたので目的地がそこになったと言う次第だ。
続いてハルスヴォルグさんの鍛冶屋とマディスアンディ服飾店を梯子。ハルスヴォルグさんの所では久々に来た事もあって彼が造ってくれた料理器具が如何に使い易いか熱弁してしまった。話しながら以前に貰ったナイフ二本も研いでくれたので至れり尽くせりだ。ギルビットさんとメヌエットさんもナイフ二本と長剣を預けたのだが、ハルスヴォルグさんはそれを見て俺に料理を任せ過ぎじゃないか?と苦言を呈していた。
肉料理も有るから俺が料理するのが丁度良いと言ったら豪快に笑ってたっけか。
マディスアンディ服飾店では何か服のアイデアが浮かんだら連絡を入れて欲しいと頼まれた。こんなのが欲しいレベルで構わないそう。世界を巡る冒険者が愛用する服を造るのが奥さんの目標なんだとか。
昼過ぎにラスティーの店へ訪れ、昼餉を楽しみつつファルムスさんにこの街を出て行く事を伝えると、ラスティーとマナフィさんが入れ替わり立ち替わり挨拶に来た。
昼餉の客がそれなりに居たから悪い事をしたなと思っていたら、「私がやりたいからやってるんだから心配するな」と窘められた。
店を出るときに手紙待ってるよと言ってくれたので街に立ち寄った際には居場所とどんな所か位は書いて送ろうかと思った。ついでに食材も送ればとても喜んでくれるだろう。
転移魔法陣でも作ってみようかな?
街を出てから二刻程度経った所で日が沈んだので、街で買い込んだ薪で夕餉の準備。と言っても、下味の付いた肉を焼いたり野菜を炒めているところへ投入するだけの調味料など、ラスティーが手渡してくれた便利アイテムのおかげでかなり楽に、とても美味しくできた。手紙を出す時には絶賛しておこう。
やる事、揃える物を揃えたのでお世話になった人に挨拶して廻ってから街を出た。
ダッシラーさんの話によると、領兵の一部から冒険者と協力する話が持ち上がって来たそう。意見を求められたので領兵の意義、冒険者の意義を述べた上で協力する事のメリット、デメリットを上げておいた。
領兵はこの領を攻めてくる人から領民を守る盾。
この地に根付いた冒険者は魔物や動物から領民を守る盾。
領兵と冒険者がそれらを踏まえて協力すれば即応性がかなり上がるかもしれない。
領兵と冒険者が癒着すればどちらの横暴も見逃されてしまうかもしれない。
最初の理念こそ崇高なものであろうが、理念は野菜と同じでしっかり保存しても腐るもの。
そんな事を言った気がする。それを聞いて、ダッシラーさんは納得顔だった。
冒険者ギルドで旅立つ事を報告すると、絞り出すように今まで有り難うと感謝された。
どこに行くか聞かれたので、取り敢えず北へ。2日位の距離に農村が有るそうなのでそこへ向かうつもりだ。これはアズラータさんからの申し入れで、ギルビットさんの希望でもある。研究の成果を確かめるとともに、この技術がエルフ族の集落以外でも通用するか確認したいのだとか。
話を聞いて、俺もメヌエットさんも興味を引かれたので目的地がそこになったと言う次第だ。
続いてハルスヴォルグさんの鍛冶屋とマディスアンディ服飾店を梯子。ハルスヴォルグさんの所では久々に来た事もあって彼が造ってくれた料理器具が如何に使い易いか熱弁してしまった。話しながら以前に貰ったナイフ二本も研いでくれたので至れり尽くせりだ。ギルビットさんとメヌエットさんもナイフ二本と長剣を預けたのだが、ハルスヴォルグさんはそれを見て俺に料理を任せ過ぎじゃないか?と苦言を呈していた。
肉料理も有るから俺が料理するのが丁度良いと言ったら豪快に笑ってたっけか。
マディスアンディ服飾店では何か服のアイデアが浮かんだら連絡を入れて欲しいと頼まれた。こんなのが欲しいレベルで構わないそう。世界を巡る冒険者が愛用する服を造るのが奥さんの目標なんだとか。
昼過ぎにラスティーの店へ訪れ、昼餉を楽しみつつファルムスさんにこの街を出て行く事を伝えると、ラスティーとマナフィさんが入れ替わり立ち替わり挨拶に来た。
昼餉の客がそれなりに居たから悪い事をしたなと思っていたら、「私がやりたいからやってるんだから心配するな」と窘められた。
店を出るときに手紙待ってるよと言ってくれたので街に立ち寄った際には居場所とどんな所か位は書いて送ろうかと思った。ついでに食材も送ればとても喜んでくれるだろう。
転移魔法陣でも作ってみようかな?
街を出てから二刻程度経った所で日が沈んだので、街で買い込んだ薪で夕餉の準備。と言っても、下味の付いた肉を焼いたり野菜を炒めているところへ投入するだけの調味料など、ラスティーが手渡してくれた便利アイテムのおかげでかなり楽に、とても美味しくできた。手紙を出す時には絶賛しておこう。
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