異世界探訪記

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百二十日目。アンダッシュにて

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百二十日目。
 ギルビットさんは朝からグラザットさんの所へ出掛けていった。エルフ族とヒューマン族を集めて成長促進の魔法を教えると共にそれを扱うときの注意事項を教え、それの対処方法を授け、更には土地の改良方法と魔力を魔素に変換して土地に染み込ませる方法を教えると意気込んでいた。
 そこまで一気に教えて大丈夫なのか?と、疑問に思ったがグラザットさんがそこまで思い至るのがすぐそこまで迫っていたので問題ないそうだ。
 地頭ではギルビットさんよりも余程良く、ブレーキを掛けるよりも先達として懸念される問題を先に提示した方が良い方向に梶を切れると判断したらしい。

 俺の方は村の警備隊に同行して午前中に南門から西門まで歩き、午後は東門から出て南門まで歩いた。
 その間、前や後ろを歩く警備隊員を観察しつつメヌエットさんの剣技を見たり、俺が棒術を見せたりした。警備隊は2日見回り、一日訓練、一日休みのローテーションで動いているそうだ。
 休みの日は家の中に留まらず、子供たちが良くいるところや普通にしていたら目の届きにくい場所に赴いたりと、休んでいるのに仕事をしているように見える動きをしているらしい。毒なし蛇を提供したら教えてくれた。

 昼は警備隊に参加していたエルフに連れられて、中央と呼ばれる南北と東西の中央広場を結ぶ道が交差する所へ赴いた。
 ここはエルフ族の集落のように全員が集まって食事を摂る慣習がある人里出身者が集まる場所だと教えてくれた。連れてきてくれた人も含めてメヌエットさんの知り合いも多数居たらしく、ニッコニコで再開を喜んでいた。
 ここに来た説明でもしていたのか、俺を指差して拳骨が落ち、涙目になったメヌエットさんは初めて見た。昔はあんな感じだったのかな?

 夕餉はギルビットさんも伴って中央に集合。宿屋の店主に「ストレイフーズの西の~」と言ったら全てを察しておうと返事をしてくれた。
 夕餉の場でも種族の割合は変わらず。それでもそれぞれの種族で固まることはなく、龍人とドワーフが酒の飲み比べをしたり、ヒューマンとエルフ、蛙の獣人とノームが刃物を研ぎ合ってどれだけ鋭くなるか競い合っていたりと見ているだけで面白い。
 最近では元々集まって食事をする慣習のない所の出身者も気分によってこれに参加する様になったと誰かから聞いた。
 村の運営に携わっている者達も朝か夜に全員参加させ、そこで連絡事項が有れば連絡するように出来ないか模索していると言っていた。

 ここで初めてザラキアさんとグラザットさんと言葉を交わした。ザラキアさんは豪快で快活。裏表無く情に厚い性格で話していて気持ちがいい。村に対する愛も人一倍で、毎日ここに来ているという。
 グラザットさんは見た目から神経質な人なのかと思ったが、穏和でマイペースな人だった。目立たない人だが頭の回転が速く知識量も豊富でギルビットさんとの息もピッタリだった。
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