凡骨の意地情報局

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ブレストパスト抗争

報告

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 王城へは徒歩で三十分。馬車でも十五分の距離だが、一刻を争うとアシュリーは空を飛んだ。
 この事はこの世界の人類史に残る偉業なのだが、その事に気づかないアシュリーは王城の中庭でお茶を飲んでいる団体を見つけるとそこへ下りていった。

 人が空から降りてくる。

 その事で場内は大変な騒ぎになるが、そんな事等知らないアシュリーはお茶を飲んでいる団体が国王、王妃、王太子、王子三人、それから末娘の国王一家だと認識すると懐に仕舞っていた報告書を取り出した。
「国王陛下。ご機嫌麗しゅう」
文字通り飛んできたアシュリーを見て、口にしていた紅茶を吹き出した国王だったが、どうでも良いアシュリーは適当にカーテシーを行う。
「あぁ、北方の……。セナが世話になっているな。よくセナの口からそなたの名前が飛び出してくるよ」
「いえ、セナ王女殿下に気を掛けていただけて望外の喜びでございます」
「して、どうした?その紙は……報告書?見せてみよ」
「失礼いたします」
早る気持ちを抑えつつ、国王へ応対していると国王自らがアシュリーの手に持った報告書を見止めて見せるように言う。
 国王からの許可を得たが、アシュリー女だ。誤解を避ける為に王妃へ顔を向けて許可を願う。
 王妃が無言で頷いた事で国王の近くへ進み、傅いて手に持った報告書を捧げ持った。

 国王はアシュリーから渡された報告書を読み、最後まで読んだ後力みすぎて報告書がぐしゃぐしゃになってしまった。
「……そなたはブレストマイズ家の令嬢と記憶している」
「相違ありません」
「これにはブレストマイズの名が記されているが、どう言う意図か?」
「不正をしたのならば裁かれなければなりません。
 もう既に何人か犠牲にもなっております。
 我が家がこの事に関与しているならば、その汚名を雪ぎたく存じます。
 汚名を雪いだ後、犠牲になった者達への償いをしていく所存です」
 きっぱりと答えるアシュリーに、国王は何事かに気づいたように今一度ぐしゃぐしゃになった報告書に目を通す。
「ここにはブレストマイズ卿が関わったという明確な記載はないが?」
「地位のある者はその名の使われ方にも注意が必要かと存じます。
 今回の件でも悪辣な使われ方をしていますし、関係者を多数捕らえながら見向きもしないのは落ち度と存じます。
 これでは手を貸していると周りから見られても仕方がない事かと」
「ふむ。……それではそなたはこの報告を行った後、如何するか?」
「ファスタンの、……元婚約者の経営する全てを砂礫に変え、粉砕して参ります」
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