ある日、始まった物語

どこか儚げな美少女

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備えの章

第14話

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 今、俺は愛から教えられた住所に向かっている。傍には猫を入れた鞄を抱え、鞄の隙間からは黒猫が顔を出していた。


 「ここ何処だよ!?」


 この辺は詳しいと自負していたが全く分からない、穴が空くほど住所の書かれた紙を見直したが分からない。


 「えっ、まさか俺って迷子なの…!?」


 この年になって迷子は恥ずかしいぞ俺、しかし周りを見渡すと森林に囲まれている為、この場合は遭難の方が正しいのだろうか?


 「えーと、ここを……んー、こう真っ直ぐ」

 茂みを掻き分けて進む、しかも冬だってのに虫に刺されたぞ!?


 「いや……、こっちでもないか…」


 さっぱり道が分からんぞ!、俺って実は方向音痴だったのか?、助けてド◯えもん~!


 「って言っても、この場には俺一人しかいな___」


 ___グイッ…!


 「うおっ……!?」


 巻いたマフラーが何かに引っ張られるように一方向に伸びてはズルズルと俺を引き摺っていく。


 「あっち?」


 以前、瑞稀の件の時に神様…?から貰ったマフラーだが、やっぱ今の状況を見る限りだと不思議な力が宿っているのだろうか。


 「おいおい、そう急ぐなよ、俺が追いつけな……」


 ___ズルッ!


 湿った地面に足を滑らせて転んだ俺、しかしマフラーは気にせず前に進んでおり躊躇なく俺の首が絞められる。


 「……!?、ちょっ!、タンマ!、タイムタイム!、待ってください神様ッ!」


 ___ギュ……!


 「オッ…ちょっ…、神…様……」


 皆んな聞いてくれ!、誰かパトカーか救急車を呼んでくれ!


 もしくは皆んなで叫ぼう、せ~の!


 ___助けてド◯えもん~!


 俺は白濁とした意識の中、肺に残った酸素量にも限界が訪れようとしていた。そのまま俺は地面をズルズルと引き摺れる状況のまま気絶してしまった。




















 誰かの呼び声に目が覚める。


 「大丈夫ですか!、大丈夫ですかフウタロー…!」


 「て、天使……!」


 ありがたい、俺は天国に行けるような男だったらしい。


 フランダース!、フランダースはどこだ!?、俺の愛犬フランダースはいずこへ……ッ!?


 「あぁ、フラン……ダース…」


 「えっ、フラン……?、今なんて言いましたか!?」


 「すまねぇフランダース、俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、俺は一足先に天国を疾走してるからよ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ…。」


 「えっ、天国ですか…!?、今すぐ立ち止まってください!、絶対に行ったらダメですからね!?」


 「俺……帰国したら結婚するんだ、だからこの写真をお前に託したぞ」


 ___ガクリ……


 享年21歳の冬の事でした、これが山田風太郎の儚げな最期である。


 「って!、さっきから勝手に死ぬなーーーッ!!」


 ___メキッ…!


 「ハウ……っ!?」


 俺の股間から全身へと迸る痛み、もしかして俺は生きてるのか…!?


 「俺…!、止まんねぇぞ!?」


 「私は心臓が止まる思いでしたけどね」


 「ナァ~ォ」


 猫の鳴き声、そう言えば黒猫の受け渡しがあったな、これぞ正しくクロネコヤ◯トの宅急便ってやつだ…!


 「いい加減、また蹴り上げますよ?」


 「ひえっ………!」


 俺の思考がジャックされているだと……!?、まさか貴様はエスパー!、かの有名なエスパー魔み___


 「クソムシがッ!!」


 ___ゴキリッ!!


 「ギエッ…………!?」


 ___バタン…!、ピクピク……ピク…





















 「こほんっ……、たしかに何度も蹴り上げた私も悪いですが、元を辿ればフウタローが全部悪いんです!」


 「ひどい……!」


 「酷くなんかありません…!、妥当な判断です。ねぇ~、アレキサンダー」


 「ナァ~オ!」


 んっ……?、ちょっと待てよ……


 アレキサンダー…?


 アレキサンダー……??


 アレキサンダー……???


 アレキ___、


 「アレキサンダー……ッ!?」


 そのネーミングセンスに俺は発狂してしまった。


 「ちょっと!、急に大声を上げないでくださいよ、アレキサンダーが怖がってるじゃないですか…!」


 「待て待て待て!、少し考え直せ!」


 「へっ……、あなたの人生ですか??」


 「ヒドい……!?、って…違くて、猫の名前だよ!、さすがにアレキサンダーは無いだろ!」


 「そうですか?、私はカッコよくて立派な名前だと思いますよ」


 「むしろ立派すぎて猫には似合わねぇよ!、頼むから別の名前にしてくれよな!」


 「はぁー……、分かりました。」


 「よかった、お前に理解してもらえて……」


 「では、アレキサンドロスにしましょう!」


 「結局アレキサンダーじゃねぇか!」


 「あっ……!、ちゃんと3世も付けて呼びますよ…!」


 「違う、そうじゃない」


 俺は天地を指差しキリッと決めポーズをきめる。


 「その決めポーズ、本当にダサいですよ」


 「ひどい!、もっと言葉に真心を込めてくれよ!」


 「手心ならば加えるつもりなのですが、どうやらツンデレのツンの分量を間違えてしまったようです。」


 「えっ、今までの言動ってツンデレなの…!?」


 「はい、そのつもりでしたが……??」


 女心は分からねぇ~!!


 「あっ、今ちょっと面倒くさいな、って思いましたね?」


 「気のせいですッ!」


 「白状しなさい!、私には生まれながらに嘘発見器が備わっているのですよ!」


 「………すまん、ほんのちょっとだけ思ったよ」


 「そうですか、まぁ……嘘発見器の話自体は嘘なんですけど」


 「マジかよ……!?」


 「それでは、覚悟はよろしいですね…?」


 「はい………」


 それでは皆様、ご唱和下さい。


 せ~の___、助けてド◯えもん~ッッ!!?


 ___バキッ…!


 「ヒョ……ッ!?」









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