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転換の章
第46話
しおりを挟む「管理者、あとお主はどれだけ戦える……否、お主はあと残りどれだけの時間を生きられるのじゃ?」
歩行者の声、その瞳が真っ直ぐに愛を見つめていた。
「…………!」
愛の頬、そこから流れるは一縷の汗である。しかし、掴まれた腕を振り払い、愛は呟く。
「そんなの…、貴女には何の関係もないじゃないですか……」
プイッと首が横を向き、逸らされた目線。愛は無意識のうちに己の袖先の端をギュッと掴むようにして握り締めていた。
「管理者…!、答えるのじゃ」
歩行者の声、愛へと更に躙り寄っていく。
「っ……………、、、」
愛は尚も喋らない、無言を貫くその姿勢に歩行者の言葉に苛立ちが混じる。
「管理者、いいから聞くのじゃ。わしには嫌い事が一つだけある。」
___それは…、、、
「沈黙に他ならない、まだ互いに口汚く罵り合っている間は少なからず互いに相手の意見を聞こうとする"余地"がある。だがじゃ、お主の"それ"は、最初からその余地すら否定してしまう愚かな行為であると、その事を決して忘れてはいけないのじゃ」
「……………私は…、ただ……、、、」
愛は静かに口を開けた、だがしかし今はそれを語るべき時ではない。
「私は、紅茶が好きです。」
本題から大きく逸れた回答、その事に歩行者は疑問を抱いて眉を顰める。
「ん……っ?、なんじゃ?、紅茶??」
「私は、朝早くに起きた時に見える星空が好きです。まだ夜が明けるには早い、そんな夜空に浮かぶ月明かりが好きなんです。」
「ほ、ほお……?」
「私は、猫が好きです。自由自適、不遜にして傲慢にして愛らしい存在である猫がとても羨ましくて、とても恨めしいです……」
「…………?」
「私は、虫が嫌いです。それはそれは反吐が出るほど、とても嫌いです。」
「私は、私自身がとても嫌いです。私が私ではない、そんな私自身がとても憎たらしい程に大嫌いです。」
「私は、管理者を嫌悪します。自分の全てを投げ打ってまで運命に逆らい、その末に何も救えなかった愚か者の末路を私は知っています。」
愛の手が自身の胸元に伸び、そして自身の胸部を強く握りしめた。
___だから…、
「私は、わたしがどうなろうと構わない。その道のりがどんなに暗く、その行く末がどこまでも私の血で染まり切っていたとしても、私は一向に構わない。私は私を…、私で無くなろうと私が……、私こそが…」
胸を締め付けた手、そこに更なる力が込められる。
「私が必ず…!、この救いようのない物語に終止符を打ってみせる!」
愛の肉体が輝きを放つ。それは白銀にして神聖、それは夜空に光る月明かりよりも儚く脆い弱々しい光かもしれない。だがしかし、確かな輝き、確固たる強さを伴って歩行者の視界を染め上げる。
「私は、貴女が"嫌い"です。とても大嫌いです…!」
___だから、
「貴女を倒して、私は私の道を進みます。」
その言葉、その意思を聞いた歩行者、彼女は呆れた様子で愛に語りかける。
「管理者、待つのじゃ!、わしはお主が思っているような存在ではないのじゃ、これは完全なる誤解じゃ、判断を早まるではないのじゃ!」
しかし、その声は愛には届かない。
「対象:落伍者名"@#者"、迎撃許可を申請」
"___許可。"
「戦闘仕様の{. 限定解除 .}を実行!」
"___肉体の再構築を開始、戦闘段階[a]を実行します。"
肉体が更なる輝きを放つ、その純白の光が歩行者の心底に不愉快そうな表情を儚く照らす。
"___管理者名:『どこか儚げな美少女』の幸運を祈ります。"
私は、管理者……、確かに管理者だ。
しかし、これから挑むは管理の行き届かない未知の領域。そんな規格外の存在に対して、私は愚かにも威を向けたのだ。
___だから、ここはこう啖呵を切る事にしたのである。
「何見てんだよッ!、クソムシがッ!!」
互いの視線が火花を散らす、誠に不本意ながらも歩行者の意思に反して彼女の両頬が微かに笑う。
___この感覚は、すごく久しぶりなのじゃ…ッ!!
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