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第-1章 迷星の時量剣師(めいせいのときはかし)
第22話 小さな同行者
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カーテンを閉め忘れた窓から射し込む朝日で目が覚めた。
エッジは既に冒険者ギルドに来ているようだ。
昨夜の少女と冒険者達も揃っているようだ。
目じりに浮かぶ涙を手の甲で拭い、ベッドから這い出した。
椅子の背もたれに無造作に掛けられたコートに腕を通し、枕元に立てかけてあったバスタードソードを左手で引っ掴む。
あれ?
何で下の様子が分かるんだ?
不思議な感覚に戸惑いながら、チェックアウトの為に部屋の中を確認した。
バスタードソードと財布代わりの布袋、アンジュから預かった手紙を確認し、部屋から出て鍵を閉め階段を降りると、イメージ通りにエッジと少女と冒険者達が何やら話しをしていた。
「颯竢、おはよう」
エッジが手を振って見せた。
「朝から随分賑やかだな」
「やはり昨夜の青年であったか」
露骨に視線をそらす俺の目の前にニョキッと生えた少女が俺の顔をまじまじと見上げてくる。
小柄な少女だとは思っていたが、こうして目の前に立つと、身長は1メートルくらいだろうか?
かなり小さい。
「何だ、お前ら知り合いだったのか?」
「全く知り合って無いけどな」
呆れなのか感心なのか分からない口調で尋ねてくるエッジに秒で答える。
「何だ? この兄ちゃんは? 見た事無いな」
昨夜、少女と言い合いをしていた冒険者達のリーダーの様な男が腕を組んで俺を睨む。
「無理もない、コヤツはひとところに留まる事を知らん渡り鳥のような男だからな」
エッジが俺を指して適当な事を吹聴するが、俺がルーキーだと言う事は隠す方針なのだろう。
「まぁ、エッジさんがそう言うのならそうなんだろうけど…」
冒険者達は互いに顔を見合わせると、酒場の方に移動しテーブルを囲んで椅子に腰掛けた。
「この依頼はそんなに報酬が良いのか?」
「悪いが金など持っておらぬぞ?」
少女は悪びれた様子もなく俺に笑い掛けた。
「あ奴等はもうすぐS級に昇格できるから少し焦っているようだな」
エッジはそう言うと、酒場に戻った冒険者達を見て目を細めた。
「知り合いなんだ?」
「かれこれ2年の付き合いになるな」
「ん? 2年?」
エッジは俺の言わんことを察すると、俺に掌を向けた。
「それが普通、むしろ彼らは順調な方なんだ」
「そうか… アンジュの言ってた意味が分かった気がするよ」
酒場の冒険者達に、俺の登録日と今のランクを告げる気には到底なれなかった。
「なるほど、随分と手練れのようでは無いか」
少女はエッジの方に振り返り嬉しそうに言った。
「何せこの道のプロだからな」
エッジは少女に向かって親指を立て、謎のプロ宣言をして見せた。
「あんたがロリコンだとは知らなかったよ」
「何を言っているんだ? 彼女は俺達よりちょっぴりだけお姉さんなんだぜ?」
エッジは涼しい顔をして俺の言葉を聞き流した。
「こちらのお姫様が我々の旅に同行したいと仰っておられる、光栄ではないか」
「別に光栄ではないな」
芝居がかったエッジの台詞に即答した。
「旅は靴擦れ、というだろう」
「靴のサイズ間違ってるだけなんじゃないか? それより何でこの娘にこだわる?」
「困っている人を助けるのは冒険者の基本の心得だからな」
エッジがこの少女の何を見て困っていると感じたのかは知らないが、昨夜から見ていてた俺にはわがまま言いたい放題の家出娘にしか見えない。
「それで? そのお姫様はそんなに困っているのか?」
少女は俺の問い掛けに神妙な顔で頷いた。
「困っておる。 どうか我が一族を助けて欲しい…」
「我が一族?」
昨夜、小耳に挟んだ話とは少し違う様だが…
「まぁ、込み入った話しはこんな所でするものでは無いな」
エッジはそう言うと、少女に向かって手招きをしてギルドの外に出ていく。
少女は大仰に頷くとエッジの後に続いた。
完全に巻き込まれた。
それは予感と言うより確信だった。
エッジの馬車のキャビンは3人乗っても十分なスペースがある。
少女は一番奥の椅子に腰掛け、エッジは万年床にあぐらをかいて座っている。
俺は御者台に後ろ向きに座って二人の様子を眺めていた。
「エッジ殿、我との約束を果たしてくれた事、感謝してもしきれぬ」
「まだ礼を言うには早すぎるな、ことわざにも言うだろ『トラとタヌキとカバさん用』ってな」
「その3種族しか使えない物に微妙に興味はあるけど、それは絶対に違う」
二人の会話にうっかりッコミを入れると少女と目が合った。
「お初にお目にかかる、若き剣士よ」
少女は微笑みながら俺に会釈をした。
「あ、あぁ、よろしく」
少女の所作にただならぬ高貴な雰囲気を察し、俺は思わず畏まった。
「我が名はアヤメ、アヤメと呼んで貰って構わぬ。 颯竢殿と言ったな、まずは巻き込んでしまった事、詫びねばの」
アヤメはそう言うと深く頭を下げた。
10歳位の少女だと思って侮っていたが、ただ者では無いオーラを感じ頷く事しか出来なかった。
「我が一族が暮らす村をゴブリンの群れに占領されてしまい、以前からエッジ殿に助けを求めていたのだ」
アヤメの説明にエッジは頷き、俺に親指を立てて見せた。
あれ?
もしかしてアヤメは本当にお姫様なのか?
「俺の事も颯竢と呼んでくれれば良い。 それよりもう少し詳しい話しを聞かせて貰えないか?」
もう後戻り出来ない程度には巻き込まれた事を自覚し、アヤメに尋ねた。
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エッジは既に冒険者ギルドに来ているようだ。
昨夜の少女と冒険者達も揃っているようだ。
目じりに浮かぶ涙を手の甲で拭い、ベッドから這い出した。
椅子の背もたれに無造作に掛けられたコートに腕を通し、枕元に立てかけてあったバスタードソードを左手で引っ掴む。
あれ?
何で下の様子が分かるんだ?
不思議な感覚に戸惑いながら、チェックアウトの為に部屋の中を確認した。
バスタードソードと財布代わりの布袋、アンジュから預かった手紙を確認し、部屋から出て鍵を閉め階段を降りると、イメージ通りにエッジと少女と冒険者達が何やら話しをしていた。
「颯竢、おはよう」
エッジが手を振って見せた。
「朝から随分賑やかだな」
「やはり昨夜の青年であったか」
露骨に視線をそらす俺の目の前にニョキッと生えた少女が俺の顔をまじまじと見上げてくる。
小柄な少女だとは思っていたが、こうして目の前に立つと、身長は1メートルくらいだろうか?
かなり小さい。
「何だ、お前ら知り合いだったのか?」
「全く知り合って無いけどな」
呆れなのか感心なのか分からない口調で尋ねてくるエッジに秒で答える。
「何だ? この兄ちゃんは? 見た事無いな」
昨夜、少女と言い合いをしていた冒険者達のリーダーの様な男が腕を組んで俺を睨む。
「無理もない、コヤツはひとところに留まる事を知らん渡り鳥のような男だからな」
エッジが俺を指して適当な事を吹聴するが、俺がルーキーだと言う事は隠す方針なのだろう。
「まぁ、エッジさんがそう言うのならそうなんだろうけど…」
冒険者達は互いに顔を見合わせると、酒場の方に移動しテーブルを囲んで椅子に腰掛けた。
「この依頼はそんなに報酬が良いのか?」
「悪いが金など持っておらぬぞ?」
少女は悪びれた様子もなく俺に笑い掛けた。
「あ奴等はもうすぐS級に昇格できるから少し焦っているようだな」
エッジはそう言うと、酒場に戻った冒険者達を見て目を細めた。
「知り合いなんだ?」
「かれこれ2年の付き合いになるな」
「ん? 2年?」
エッジは俺の言わんことを察すると、俺に掌を向けた。
「それが普通、むしろ彼らは順調な方なんだ」
「そうか… アンジュの言ってた意味が分かった気がするよ」
酒場の冒険者達に、俺の登録日と今のランクを告げる気には到底なれなかった。
「なるほど、随分と手練れのようでは無いか」
少女はエッジの方に振り返り嬉しそうに言った。
「何せこの道のプロだからな」
エッジは少女に向かって親指を立て、謎のプロ宣言をして見せた。
「あんたがロリコンだとは知らなかったよ」
「何を言っているんだ? 彼女は俺達よりちょっぴりだけお姉さんなんだぜ?」
エッジは涼しい顔をして俺の言葉を聞き流した。
「こちらのお姫様が我々の旅に同行したいと仰っておられる、光栄ではないか」
「別に光栄ではないな」
芝居がかったエッジの台詞に即答した。
「旅は靴擦れ、というだろう」
「靴のサイズ間違ってるだけなんじゃないか? それより何でこの娘にこだわる?」
「困っている人を助けるのは冒険者の基本の心得だからな」
エッジがこの少女の何を見て困っていると感じたのかは知らないが、昨夜から見ていてた俺にはわがまま言いたい放題の家出娘にしか見えない。
「それで? そのお姫様はそんなに困っているのか?」
少女は俺の問い掛けに神妙な顔で頷いた。
「困っておる。 どうか我が一族を助けて欲しい…」
「我が一族?」
昨夜、小耳に挟んだ話とは少し違う様だが…
「まぁ、込み入った話しはこんな所でするものでは無いな」
エッジはそう言うと、少女に向かって手招きをしてギルドの外に出ていく。
少女は大仰に頷くとエッジの後に続いた。
完全に巻き込まれた。
それは予感と言うより確信だった。
エッジの馬車のキャビンは3人乗っても十分なスペースがある。
少女は一番奥の椅子に腰掛け、エッジは万年床にあぐらをかいて座っている。
俺は御者台に後ろ向きに座って二人の様子を眺めていた。
「エッジ殿、我との約束を果たしてくれた事、感謝してもしきれぬ」
「まだ礼を言うには早すぎるな、ことわざにも言うだろ『トラとタヌキとカバさん用』ってな」
「その3種族しか使えない物に微妙に興味はあるけど、それは絶対に違う」
二人の会話にうっかりッコミを入れると少女と目が合った。
「お初にお目にかかる、若き剣士よ」
少女は微笑みながら俺に会釈をした。
「あ、あぁ、よろしく」
少女の所作にただならぬ高貴な雰囲気を察し、俺は思わず畏まった。
「我が名はアヤメ、アヤメと呼んで貰って構わぬ。 颯竢殿と言ったな、まずは巻き込んでしまった事、詫びねばの」
アヤメはそう言うと深く頭を下げた。
10歳位の少女だと思って侮っていたが、ただ者では無いオーラを感じ頷く事しか出来なかった。
「我が一族が暮らす村をゴブリンの群れに占領されてしまい、以前からエッジ殿に助けを求めていたのだ」
アヤメの説明にエッジは頷き、俺に親指を立てて見せた。
あれ?
もしかしてアヤメは本当にお姫様なのか?
「俺の事も颯竢と呼んでくれれば良い。 それよりもう少し詳しい話しを聞かせて貰えないか?」
もう後戻り出来ない程度には巻き込まれた事を自覚し、アヤメに尋ねた。
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