79 / 103
第1章 リリアの巫女(いわやのはなのみこ)
第79話 温かいもの
しおりを挟む
俺はミカとフミナを連れて神都ハヤタマの大通りを歩いていた。
今日はダラとは別行動だった。
露店の威勢の良い掛け声が聞こえる。
「颯竢様、アレは何ですか?」
ミカが興味を持ったのは『たこ焼き』だった。
「たこ焼きっていうんだよ」
露店商から二つ買ってミカとフミナに渡した。
「一口で食べると口の中やけどするから気を付けて」
言いながら周りを見回す。
露店はほぼ見た事のあるラインナップでここが異世界だとは思えない程だった。
缶ジュースやペットボトル飲料、スナック菓子、カップ麺やプラ容器に入った弁当など前世では当たり前にあった物はやはり無いのだが、この世界を不自由だと感じた事は無かった。
神都というだけあって街並みは整然としており、白い建物で統一感もあり美しい。
半面、他の町で感じる日本らしさとか風情には欠ける。
リリアの町から一歩も出た事が無かったミカとフミナにとって、この都で見る全ての物が新鮮で珍しい物に映るようだ。
熱いとは教えたが、そんなに熱いとは思わなかったのだろう。
フミナは口の中のたこ焼きの熱さに、はふはふと言いながら涙目になっていた。
その姿を見ていたミカは、竹串を器用に使い細かく分けて食べ始めた。
「すごく美味しいです」
それでも熱いようで、ミカはふーふーと冷ましながら口に運ぶ。
「あっついけど美味しい」
何とか飲み込んだフミナは涙を拭って言った。
今日は別にお祭りという訳でもなさそうだったが、綿菓子、リンゴ飴を食べ歩き、怪しいアクセサリーの店なんかも覗いて歩いた。
何を見ても喜ぶ二人を連れて歩くのは正直楽しかった。
最初は遠慮がちにしていた二人も、少しずつ慣れて来た様子だ。
Sランク以上の冒険者になると、経済力もそれなりにあり、月に100金貨程度は稼げるようになる。
モズの街では金にならない仕事ばかり受けていたが、それまでに稼いでいた貯金はかなり残っている。
今の懐事情なら少女二人を養う程度はどうという事もない。
気が付けば、彼女たちが欲しがる物は何でも買い与えていた。
往路、リリアの町を目指していた時は商隊長が用意した宿に宿泊していた。
しかし今は依頼も失敗し、宿の手配も自分達でする事になっている。
この世界の宿は前世の一般的な宿に比べて非常にリーズナブルだった。
部屋は広く、ベッドも大きく柔らかい。
宿の1階は飲食店を経営している事が多く、一般的には宿代より飲食代の方が高いくらいだった。
そして、今夜の宿はダラのイチオシの店になった。
聞くところによると、海鮮料理の店で、鮮度の良い魚が食べられるらしい。
リリアの町にも海はあったが、彼女たちは魚を食べた事が無いのだそうだ。
よく考えると、俺もまともな海産物は久しぶりな気がした。
店の屋号は『潮風亭』。
外観は無骨な4階建てのビルの様だ。
しかし、店内に入ると広々とした安らぎの空間だった。
船の巨大なアンカーやステアリングなど、実際に使われていたらしい物が壁に掛けられ、センスの良さを感じる。
店内の奥に配置された大きな水槽には生きた魚が泳いでいた。
「お、来たな」
ダラは俺達の姿を認めると右手を挙げた。
4人掛けのテーブルに陣取り、既にエールを傾けていた。
「ダラ様、見て見て」
フミナがダラの前でくるりと回ってみせた。
「颯竢、その剣は?」
ダラは二人が腰に下げたスモールソードを指差して言った。
やっぱりそう来るか。
「野生生物相手の護身用だよ」
俺は悪びれる事も無く答えた。
フミナはダラの返事が期待していたものと違う事に不満げな顔をするが、ダラは気付いていない様だ。
「とにかく、俺が良いと言うまでその剣は荷物の中に放り込んでおけ」
ダラは2人にそう言うと、飲みかけのエールを飲み干した。
チェックインの手続きをする為、ミカとフミナを連れて2階に上がった。
「何よ、あの言い方」
フミナはダラの態度にご立腹だった。
「剣を持つと相手にそういう目で見られるから、ダラは君達を冒険者にする事には反対なんだ」
ダラの言いたい事は痛い程分かる。
「私達はヒーラーだから剣なんか持ってなくても攻撃されるのにねー」
フミナは俺に同意を求めた。
実際その通りだった。
強い前衛も良いが、優れたヒーラーはパーティの継戦能力を格段に底上げする。
倒しても倒しても起き上がってくる戦士はゾンビのようなものだ。
受付では、簡単な手続きで俺用のシングルルームと姉妹用にツインルームを確保できた。
「鎧と剣は部屋に置いて来ると良いよ」
ミカに部屋の鍵を渡して言った。
シングルベッドのある寝室と10畳ほどのリビングがある部屋は一人で使うには十分すぎる広さだった。
革製の肩当てと胸当てを外して『鎧掛け』という頭と腕が無いマネキンの様なハンガーに適当に引っかける。
コートの下には愛用のシースナイフが忍ばせてあり、右手でハンドルの感触を確かめると木のぬくもりを感じた。
「よし」
それほど待つ事無くミカとフミナも部屋から出て来た。
二人が部屋の鍵を施錠するのを確認して1階に降りた。
ダラの待つテーブルの上には既に豪華な魚介料理が並べられていた。
焼き魚、煮魚、揚げ物や刺身など、色鮮やかで豪華絢爛だった。
「うわぁ、凄い…」
フミナは料理を見て歓声をあげた。
「こんな凄い料理、見た事もありません…」
ミカがため息交じりに呟いた。
「まずは二人の門出を祝って」
新たな人生を始める二人を祝福しようと企画したのだった。
「遠慮なく食ってくれ」
ダラはそう言うとウェイターを呼んだ。
俺とダラはエールを、ミカとフミナには果汁ドリンクを注文する。
椅子に座ったミカとフミナが硬直している。
「どうかしたの?」
二人の顔を見ると恐怖に震えているのが分かる。
「お姉ちゃん… 生首だよ…」
フミナの視線は刺身の姿造りに飾り付けられた鯛の頭に釘付けになっていた。
「目が… 目が合っちゃった…」
ミカは尾頭付きの塩焼きを前に震えていた。
なるほど。
これは二人には刺激が強かったかも知れない。
魚の切り身を揚げて和風の餡をかけた料理を二人の前に差し出す。
「これ、凄く美味しいよ」
実は食べた事もないけど、見た目は優しい。
「おいしそうです」
ミカは安心した表情でフォークを持った手を料理に伸ばす。
フォークでほぐした身をすくい上げ、口まで運ぶとミカの目から涙があふれた。
「ど、どうかした?」
もしかして辛かったかな?
慌てて声を掛けるが
「こんなに美味しいもの、初めて食べました…」
いや、そんなに感動されても…
ミカがそう言うと、フミナもスプーンを握って魚の身をすくった。
「これがお魚…」
フミナはスプーンの上の身を少し眺めた後、ゆっくりと口に運んだ。
「美味しい…」
フミナも少し涙声になっている。
「な、何? 二人ともどうしたの?」
思わず周囲を見回すが、誰もこちらを見ていなくて少し安心した。
別に女の子を泣かせているように見られていないか心配になったわけではない…
多分。
「こんなに親切にしていただいて、ちゃんとした食事まで食べさせていただいて… なんとお礼を言って良いのか分かりません」
いや、確かにちょっと豪華だけど普通のご飯だから…
涙を拭うミカを見て、連れてきて良かったとようやく安心できた。
実はひとりよがりだったのではないかと心配していたのだった。
彼女達には、最初から居場所なんてなかったのかもしれない。
「いつもは何を食ってたんだ?」
ダラがいつもの調子で二人に尋ねた。
「パンとジャガイモとスープです」
フミナが答える。
「表面のカビが上手に取れると食べられる所が増えるんです」
ミカの言っている言葉の意味を理解するのに少し時間が必要だった。
「パンをスープに浸してしばらくすると柔らかくなって食べやすくなるんです」
フミナの言葉を聞いて、ようやく確信した。
「ちなみにスープの具は?」
コーンスープみたいなものだろうか?
話の流れで無意識のうちに尋ねていたが
「具って何ですか?」
フミナが良く分からない、という顔で聞いてきた。
「え? 野菜とかお肉とか入れるでしょ?」
何か全く話が噛み合わない。
「海水を井戸水で薄めて温めるんじゃないんですか?」
「私もそうしてました」
フミナの話にミカもうなずいた。
いや、んな訳ねー。
「いつもそんなの食べてたの?」
俺の問い掛けに二人とも頷いた。
もう怖くなってきて、どんなジャガイモを食べていたのか聞くのはやめた。
「ほら、もう目が合う事は無いからどんどん食え」
ダラはいつの間にか魚の頭を取り除いていた。
多少見た目は残念な事になっているが、ダラの愛情は感じられた。
この人、普通に親父キャラだよな…
「美味しいよぅ、お姉ちゃん」
煮魚にスプーンを突き刺したフミナが涙を流しながら言った。
「ふええええええん」
ミカは泣きながらもフォークを器用に使って焼き魚を口に運ぶ。
ダラが繭をヒクヒクと動かしながら箸を止めた。
「お前ら… 飯食う時に泣くの禁止な」
気がつけば周囲の客の視線がこちらに集まっていた。
「だって、だって…」
フミナが何かを言おうとするが、口の中に魚が詰まってよく聞こえない。
ミカも飲み込むより早くフォークを動かし、口の中が渋滞している様だ。
「ひあわへふきて」
もはや行儀の悪い子だった。
「喋りながら泣きながら飯を食うなー」
ダラの悲痛な叫びが店内に鳴り響いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
是非↓の♥を押して応援して下さい
今日はダラとは別行動だった。
露店の威勢の良い掛け声が聞こえる。
「颯竢様、アレは何ですか?」
ミカが興味を持ったのは『たこ焼き』だった。
「たこ焼きっていうんだよ」
露店商から二つ買ってミカとフミナに渡した。
「一口で食べると口の中やけどするから気を付けて」
言いながら周りを見回す。
露店はほぼ見た事のあるラインナップでここが異世界だとは思えない程だった。
缶ジュースやペットボトル飲料、スナック菓子、カップ麺やプラ容器に入った弁当など前世では当たり前にあった物はやはり無いのだが、この世界を不自由だと感じた事は無かった。
神都というだけあって街並みは整然としており、白い建物で統一感もあり美しい。
半面、他の町で感じる日本らしさとか風情には欠ける。
リリアの町から一歩も出た事が無かったミカとフミナにとって、この都で見る全ての物が新鮮で珍しい物に映るようだ。
熱いとは教えたが、そんなに熱いとは思わなかったのだろう。
フミナは口の中のたこ焼きの熱さに、はふはふと言いながら涙目になっていた。
その姿を見ていたミカは、竹串を器用に使い細かく分けて食べ始めた。
「すごく美味しいです」
それでも熱いようで、ミカはふーふーと冷ましながら口に運ぶ。
「あっついけど美味しい」
何とか飲み込んだフミナは涙を拭って言った。
今日は別にお祭りという訳でもなさそうだったが、綿菓子、リンゴ飴を食べ歩き、怪しいアクセサリーの店なんかも覗いて歩いた。
何を見ても喜ぶ二人を連れて歩くのは正直楽しかった。
最初は遠慮がちにしていた二人も、少しずつ慣れて来た様子だ。
Sランク以上の冒険者になると、経済力もそれなりにあり、月に100金貨程度は稼げるようになる。
モズの街では金にならない仕事ばかり受けていたが、それまでに稼いでいた貯金はかなり残っている。
今の懐事情なら少女二人を養う程度はどうという事もない。
気が付けば、彼女たちが欲しがる物は何でも買い与えていた。
往路、リリアの町を目指していた時は商隊長が用意した宿に宿泊していた。
しかし今は依頼も失敗し、宿の手配も自分達でする事になっている。
この世界の宿は前世の一般的な宿に比べて非常にリーズナブルだった。
部屋は広く、ベッドも大きく柔らかい。
宿の1階は飲食店を経営している事が多く、一般的には宿代より飲食代の方が高いくらいだった。
そして、今夜の宿はダラのイチオシの店になった。
聞くところによると、海鮮料理の店で、鮮度の良い魚が食べられるらしい。
リリアの町にも海はあったが、彼女たちは魚を食べた事が無いのだそうだ。
よく考えると、俺もまともな海産物は久しぶりな気がした。
店の屋号は『潮風亭』。
外観は無骨な4階建てのビルの様だ。
しかし、店内に入ると広々とした安らぎの空間だった。
船の巨大なアンカーやステアリングなど、実際に使われていたらしい物が壁に掛けられ、センスの良さを感じる。
店内の奥に配置された大きな水槽には生きた魚が泳いでいた。
「お、来たな」
ダラは俺達の姿を認めると右手を挙げた。
4人掛けのテーブルに陣取り、既にエールを傾けていた。
「ダラ様、見て見て」
フミナがダラの前でくるりと回ってみせた。
「颯竢、その剣は?」
ダラは二人が腰に下げたスモールソードを指差して言った。
やっぱりそう来るか。
「野生生物相手の護身用だよ」
俺は悪びれる事も無く答えた。
フミナはダラの返事が期待していたものと違う事に不満げな顔をするが、ダラは気付いていない様だ。
「とにかく、俺が良いと言うまでその剣は荷物の中に放り込んでおけ」
ダラは2人にそう言うと、飲みかけのエールを飲み干した。
チェックインの手続きをする為、ミカとフミナを連れて2階に上がった。
「何よ、あの言い方」
フミナはダラの態度にご立腹だった。
「剣を持つと相手にそういう目で見られるから、ダラは君達を冒険者にする事には反対なんだ」
ダラの言いたい事は痛い程分かる。
「私達はヒーラーだから剣なんか持ってなくても攻撃されるのにねー」
フミナは俺に同意を求めた。
実際その通りだった。
強い前衛も良いが、優れたヒーラーはパーティの継戦能力を格段に底上げする。
倒しても倒しても起き上がってくる戦士はゾンビのようなものだ。
受付では、簡単な手続きで俺用のシングルルームと姉妹用にツインルームを確保できた。
「鎧と剣は部屋に置いて来ると良いよ」
ミカに部屋の鍵を渡して言った。
シングルベッドのある寝室と10畳ほどのリビングがある部屋は一人で使うには十分すぎる広さだった。
革製の肩当てと胸当てを外して『鎧掛け』という頭と腕が無いマネキンの様なハンガーに適当に引っかける。
コートの下には愛用のシースナイフが忍ばせてあり、右手でハンドルの感触を確かめると木のぬくもりを感じた。
「よし」
それほど待つ事無くミカとフミナも部屋から出て来た。
二人が部屋の鍵を施錠するのを確認して1階に降りた。
ダラの待つテーブルの上には既に豪華な魚介料理が並べられていた。
焼き魚、煮魚、揚げ物や刺身など、色鮮やかで豪華絢爛だった。
「うわぁ、凄い…」
フミナは料理を見て歓声をあげた。
「こんな凄い料理、見た事もありません…」
ミカがため息交じりに呟いた。
「まずは二人の門出を祝って」
新たな人生を始める二人を祝福しようと企画したのだった。
「遠慮なく食ってくれ」
ダラはそう言うとウェイターを呼んだ。
俺とダラはエールを、ミカとフミナには果汁ドリンクを注文する。
椅子に座ったミカとフミナが硬直している。
「どうかしたの?」
二人の顔を見ると恐怖に震えているのが分かる。
「お姉ちゃん… 生首だよ…」
フミナの視線は刺身の姿造りに飾り付けられた鯛の頭に釘付けになっていた。
「目が… 目が合っちゃった…」
ミカは尾頭付きの塩焼きを前に震えていた。
なるほど。
これは二人には刺激が強かったかも知れない。
魚の切り身を揚げて和風の餡をかけた料理を二人の前に差し出す。
「これ、凄く美味しいよ」
実は食べた事もないけど、見た目は優しい。
「おいしそうです」
ミカは安心した表情でフォークを持った手を料理に伸ばす。
フォークでほぐした身をすくい上げ、口まで運ぶとミカの目から涙があふれた。
「ど、どうかした?」
もしかして辛かったかな?
慌てて声を掛けるが
「こんなに美味しいもの、初めて食べました…」
いや、そんなに感動されても…
ミカがそう言うと、フミナもスプーンを握って魚の身をすくった。
「これがお魚…」
フミナはスプーンの上の身を少し眺めた後、ゆっくりと口に運んだ。
「美味しい…」
フミナも少し涙声になっている。
「な、何? 二人ともどうしたの?」
思わず周囲を見回すが、誰もこちらを見ていなくて少し安心した。
別に女の子を泣かせているように見られていないか心配になったわけではない…
多分。
「こんなに親切にしていただいて、ちゃんとした食事まで食べさせていただいて… なんとお礼を言って良いのか分かりません」
いや、確かにちょっと豪華だけど普通のご飯だから…
涙を拭うミカを見て、連れてきて良かったとようやく安心できた。
実はひとりよがりだったのではないかと心配していたのだった。
彼女達には、最初から居場所なんてなかったのかもしれない。
「いつもは何を食ってたんだ?」
ダラがいつもの調子で二人に尋ねた。
「パンとジャガイモとスープです」
フミナが答える。
「表面のカビが上手に取れると食べられる所が増えるんです」
ミカの言っている言葉の意味を理解するのに少し時間が必要だった。
「パンをスープに浸してしばらくすると柔らかくなって食べやすくなるんです」
フミナの言葉を聞いて、ようやく確信した。
「ちなみにスープの具は?」
コーンスープみたいなものだろうか?
話の流れで無意識のうちに尋ねていたが
「具って何ですか?」
フミナが良く分からない、という顔で聞いてきた。
「え? 野菜とかお肉とか入れるでしょ?」
何か全く話が噛み合わない。
「海水を井戸水で薄めて温めるんじゃないんですか?」
「私もそうしてました」
フミナの話にミカもうなずいた。
いや、んな訳ねー。
「いつもそんなの食べてたの?」
俺の問い掛けに二人とも頷いた。
もう怖くなってきて、どんなジャガイモを食べていたのか聞くのはやめた。
「ほら、もう目が合う事は無いからどんどん食え」
ダラはいつの間にか魚の頭を取り除いていた。
多少見た目は残念な事になっているが、ダラの愛情は感じられた。
この人、普通に親父キャラだよな…
「美味しいよぅ、お姉ちゃん」
煮魚にスプーンを突き刺したフミナが涙を流しながら言った。
「ふええええええん」
ミカは泣きながらもフォークを器用に使って焼き魚を口に運ぶ。
ダラが繭をヒクヒクと動かしながら箸を止めた。
「お前ら… 飯食う時に泣くの禁止な」
気がつけば周囲の客の視線がこちらに集まっていた。
「だって、だって…」
フミナが何かを言おうとするが、口の中に魚が詰まってよく聞こえない。
ミカも飲み込むより早くフォークを動かし、口の中が渋滞している様だ。
「ひあわへふきて」
もはや行儀の悪い子だった。
「喋りながら泣きながら飯を食うなー」
ダラの悲痛な叫びが店内に鳴り響いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
是非↓の♥を押して応援して下さい
2
あなたにおすすめの小説
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界へ転生した俺が最強のコピペ野郎になる件
おおりく
ファンタジー
高校生の桜木 悠人は、不慮の事故で命を落とすが、神のミスにより異世界『テラ・ルクス』で第二の生を得る。彼に与えられたスキルは、他者の能力を模倣する『コピーキャット』。
最初は最弱だった悠人だが、光・闇・炎・氷の属性と、防御・知識・物理の能力を次々とコピーし、誰も成し得なかった多重複合スキルを使いこなす究極のチートへと進化する!
しかし、その異常な強さは、悠人を巡る三人の美少女たちの激しい争奪戦を引き起こすことになる。
現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活
シン
ファンタジー
世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。
大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。
GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。
ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。
そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。
探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。
そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。
たまに有り得ない方向に話が飛びます。
一話短めです。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

