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6.急なお願いされました。
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「さて、今回ここに呼び寄せた訳だが……。」
殿下の紅い瞳に見つめられ、ゼラはゾクリとした。
「俺付きの近衛兵になってもらいたい。」
「へ?」
思わず間の抜けた声が出てしまった。
「わ、私がですか!」
「そうだ。お前以外に誰がいる。」
ゼラはおろおろと視線を泳がせた。予想外の事態に、頭が混乱しているのだ。
「今ここで、仕事をするかどうか決めてほしい。もし働くなら、住み込みでまかない付きだ。給料は時給20000G。悪くない条件だと思うんだが。」
「じ、時給20000G! そんなにもらえるんですか!」
殿下の口から出てきた高額の金額に、絶句してしまう。騎士団長だったお父様の給料と同じぐらいか、それ以上だ。このお金が貰えれば、実家に仕送りもできる。当分の生活にも困らないだろう。
「やります! やらせてください!」
「ははっ、そう慌てるな。ミレニア、契約書を。」
「かしこまりました。」
話はトントン拍子に進んだ。なんだか騙されているような気分だ。
ミレニアと呼ばれた、つり目の女性が契約書を持ってくる。
「ここにサインを。」
「はい。」
一緒に渡されたペンを握って、さらさらとサインを書き込む。これで、晴れて近衛兵になったというわけか。
「仕事に関する詳しい話は、ミレニアに聞いてくれ。彼女は君の先輩にあたることになる。ミレニア、ゼラを空き部屋に案内しろ。」
彼女はゼラの方をチラリと一瞥すると、さっさと奥に歩いていってしまった。ゼラは遅れないように慌ててついていく。
廊下に差し掛かったところで、ミレニアさんは止まった。
「……わたしさえいれば、殿下をお守り出来るというのに。」
「え?」
「いえ、なんでもないわ。はやくついてきてちょうだい。もうすぐであなたの部屋よ。」
ミレニアさんに先導されて、さらに奥へ進む。やがて一つの部屋の中に案内された。
「ここが今日からあなたの部屋。室内は好きに使って良いわ。トイレやシャワー室完備。朝食の時間は朝4時、一階の食堂に集まるの。そして、5時半から仕事開始よ。」
「仕事は、何をするんですか?」
「殿下の公務や視察などに同行させていただき、そばでお守りすることよ。基本的に殿下のご予定にあわせて動くことになるわね。」
ゼラは頷きながらメモをとった。クビにだけはならないように、頑張らないと。
「後で制服や制式剣、それにここで暮らすためのお金を準備してくるわ。それまでは部屋でゆっくりしていなさい。」
色々な物をもらえるみたい。ゼラは安心した。今は着てきた豪勢なドレス一着と、わずかな道具しか持ってきていない。高給に踊らされてなにも考えずに契約してしまったが、なんとかなりそうだ。
一人になると、部屋をじっくり見渡した。一人で使うにはもったいないぐらいの広さがある。ダークブラウンで統一され、落ち着いた内装と、アンティーク調の家具。思えば、ゼラの好みぴったりの部屋だ。
「わぁー!」
シャワー室やトイレも手入れが行き届いていた。いつ誰かが暮らすことになってもいいように、使用人が掃除をしてくれていたのだろう。
ここで暮らせるのだと思ったら、不安は吹き飛び、新しい生活への期待が高まる。
いつの間にか自分が笑っていることに気がついた。思えば、最近はいつ底をつくか分からない貯金に悩まされてばかりだった。変化のない生活と、代わり映えのしない食事。
節約、節約、節約。もちろん節約も大切なことだけれど、本来幸せな生活をおくるための物事に縛られていたら、本末転倒だ。
窓を開ければ、眼下には美しい城下町が広がっていた。
ーー私はここで生きていく。
初めて自分のことを、自分で決めた瞬間だった。
殿下の紅い瞳に見つめられ、ゼラはゾクリとした。
「俺付きの近衛兵になってもらいたい。」
「へ?」
思わず間の抜けた声が出てしまった。
「わ、私がですか!」
「そうだ。お前以外に誰がいる。」
ゼラはおろおろと視線を泳がせた。予想外の事態に、頭が混乱しているのだ。
「今ここで、仕事をするかどうか決めてほしい。もし働くなら、住み込みでまかない付きだ。給料は時給20000G。悪くない条件だと思うんだが。」
「じ、時給20000G! そんなにもらえるんですか!」
殿下の口から出てきた高額の金額に、絶句してしまう。騎士団長だったお父様の給料と同じぐらいか、それ以上だ。このお金が貰えれば、実家に仕送りもできる。当分の生活にも困らないだろう。
「やります! やらせてください!」
「ははっ、そう慌てるな。ミレニア、契約書を。」
「かしこまりました。」
話はトントン拍子に進んだ。なんだか騙されているような気分だ。
ミレニアと呼ばれた、つり目の女性が契約書を持ってくる。
「ここにサインを。」
「はい。」
一緒に渡されたペンを握って、さらさらとサインを書き込む。これで、晴れて近衛兵になったというわけか。
「仕事に関する詳しい話は、ミレニアに聞いてくれ。彼女は君の先輩にあたることになる。ミレニア、ゼラを空き部屋に案内しろ。」
彼女はゼラの方をチラリと一瞥すると、さっさと奥に歩いていってしまった。ゼラは遅れないように慌ててついていく。
廊下に差し掛かったところで、ミレニアさんは止まった。
「……わたしさえいれば、殿下をお守り出来るというのに。」
「え?」
「いえ、なんでもないわ。はやくついてきてちょうだい。もうすぐであなたの部屋よ。」
ミレニアさんに先導されて、さらに奥へ進む。やがて一つの部屋の中に案内された。
「ここが今日からあなたの部屋。室内は好きに使って良いわ。トイレやシャワー室完備。朝食の時間は朝4時、一階の食堂に集まるの。そして、5時半から仕事開始よ。」
「仕事は、何をするんですか?」
「殿下の公務や視察などに同行させていただき、そばでお守りすることよ。基本的に殿下のご予定にあわせて動くことになるわね。」
ゼラは頷きながらメモをとった。クビにだけはならないように、頑張らないと。
「後で制服や制式剣、それにここで暮らすためのお金を準備してくるわ。それまでは部屋でゆっくりしていなさい。」
色々な物をもらえるみたい。ゼラは安心した。今は着てきた豪勢なドレス一着と、わずかな道具しか持ってきていない。高給に踊らされてなにも考えずに契約してしまったが、なんとかなりそうだ。
一人になると、部屋をじっくり見渡した。一人で使うにはもったいないぐらいの広さがある。ダークブラウンで統一され、落ち着いた内装と、アンティーク調の家具。思えば、ゼラの好みぴったりの部屋だ。
「わぁー!」
シャワー室やトイレも手入れが行き届いていた。いつ誰かが暮らすことになってもいいように、使用人が掃除をしてくれていたのだろう。
ここで暮らせるのだと思ったら、不安は吹き飛び、新しい生活への期待が高まる。
いつの間にか自分が笑っていることに気がついた。思えば、最近はいつ底をつくか分からない貯金に悩まされてばかりだった。変化のない生活と、代わり映えのしない食事。
節約、節約、節約。もちろん節約も大切なことだけれど、本来幸せな生活をおくるための物事に縛られていたら、本末転倒だ。
窓を開ければ、眼下には美しい城下町が広がっていた。
ーー私はここで生きていく。
初めて自分のことを、自分で決めた瞬間だった。
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