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7.私は今日も頑張っています!
しおりを挟むロッターレ家の皆様へ
日に日に暑さがまし、庭園の緑が美しくなってまいりました。
お母様、お父様。エルドお兄様、ダリアお姉様。ウェルヘお兄様。そしてルティ。お元気ですか。
お手紙を送るのが遅くなってしまい、申し訳ありません。
驚かれるとは思いますが、私は王城で近衛兵として働いています。殿下は、お誕生会で私が殿下の刺客を撃退したのを評価してくださいました。殿下は私と婚約するおつもりはないようです。
しかしながら、近衛兵として働かせていただく毎日は、とても楽しいです。殿下と、今まで見たこともなかった様々な場所にご一緒させていただいております。ミレニアさんという良い先輩にも恵まれ、私は幸せでございます。
そちらはいかがお過ごしでしょうか。そろそろ、収穫の季節だと思います。無事に行われていますか。エルドお兄様の体調が、快方に向かっていることを願います。
冬に予定されているダリアお姉様の結婚式の頃には、一度そちらに帰らせていただこうと思います。
最後に、こうして手紙を書き終えられたこと、少し安心しています。今回の件、お父様とお母様にどうお伝えしたら良いか、悩んでおりました。お返事、お待ちしております。
ーゼラ・ロッターレ
親愛なるわたしの娘へ
お手紙ありがとう。あなたの母です。あなたからのお手紙、お屋敷の人は皆喜んでいました。あなたが近衛兵になったとお聞きしてわたしもとても驚きましたが、あなたが楽しく元気に過ごしているのなら、何よりです。お父さんも怒っていません。気軽に帰ってきてください。
エルドの体調は良好で、最近また小説を書き始めました。彼の小説は評判が良いらしいです。今度、わたしも読んでみたいと思います。
ルティは、執事のジルにプロポーズをされました。わたしは二人が恋人同士だったなんて、気がつきませんでした。それでも、幸せそうな二人を見ていると新婚時代を思い出します。
結婚とは良いものですよ。あなたも、誰か気になっている人はいませんか。今度帰ってくるときに紹介してくれたら、なんて。
母はあなたの好きなアールグレイの紅茶を用意して、待っています。忙しいあなたを、癒すために。
あなたの母より
ゼラは手紙を読み終えると、ふふっと笑いが込み上げてくるのを感じた。皆が楽しそうに過ごしているのが目に浮かんでくるようだ。何より、家族に納得して貰えて良かった。受け入れてもらえないんじゃないかとか、心配していたから。
「何を笑っている?」
殿下の声が聞こえて、現実に引き戻された。食堂で朝ご飯を食べた後、手紙を読んだんだった。
「……家族からの手紙か。」
殿下が近くにいて、こちらを見てきている。
「殿下は家族からお手紙をいただいたことはないんですか?」
「あまりない。王位継承権を巡って、兄弟で争っていたからだな。今でも弟に刺客を送られるぐらいだ。」
家族の話をすると、殿下の表情に影がさした。最近、変化の少ない殿下の感情も、読み取れるようになってきた。
「そんなことはどうでもいい。はやく視察に行くぞ。」
「はい!」
「ミレニア。君は城に残って、警備の点検をしてくれ。」
殿下はミレニアさんに呼び掛けた。
「……あの」
ミレニアさんは何か言おうとしている。
「返事は?」
「……かしこまりました。」
ゼラがミレニアさんのことを気にしていると、殿下がこちらを咎めるようにみた。こわ。
「あ、今行きます!」
ゼラは返事をすると、席を立った。
「今日はキャスリー川ダム建設予定地の視察ですね。」
「そうだ。」
会話をしながら、二人が食堂を出ていった。
一人残されたミレニアは、奥歯を噛み締めた。
「なんなの、あの女……。最近わたしは留守番ばっかりじゃない。きっと殿下に取り入って気に入られたんだわ。」
ミレニアの眼光が鋭くなる。
「許せない……!」
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