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22.もしかして、解雇ですか……?
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宝石のようにかわいいお菓子が、目の前に並ぶ。流行っているだけのことはあって店内は混んでいたが、来た甲斐はありそうだ。
「いただきますっ!」
元気よく声をあげる。どれから手をつけようか迷いながらも、一つずつ口に運ぶ。
瞬間、ほろ苦いココアの味わいが口いっぱいに広がり、遅れて柑橘系の爽やかな酸味を感じる。
「美味しいです……!」
「それは良かったな。」
向かい側に腰かける殿下はくつろいでいるように見えた。しかし、お菓子を食べようとしない。
「殿下はお食べにならないのですか?」
「……甘いものは食べないと決めている。」
ゼラは殿下のことを気にしながらも、次のお菓子を食べる。
プルプルとした食感の、さくらんぼのゼリー。下にはムースの層もある。嬉しくなって、また次のお菓子もほおばる。お行儀など気にならなくなるくらい、美味しかった。
「ははっ……。」
堪えきれなかったというような笑い声が聞こえて、見上げる。殿下が口角を上げて笑っていた。どうしてか分からず、戸惑いの表情を浮かべたまま、殿下の方を窺った。
「小動物みたいだな、と思って。」
「もうっ!」
馬鹿にされたのだ、と思って憤慨する。
「殿下もお食べになったらいかがですか、きっと美味しさが分かりますよ!」
「甘いものは、自分からは食べないと決めているんだ。」
「?」
なんだか含みのある言い方に、ゼラは小首をかしげた。
だが殿下の次の行動で、その意味を理解することになる。
殿下はお口を開けたままの体制で、何かを待っている。普通なら間抜けな格好だけれど、殿下がなさると口から覗く赤い舌にドキリとさせられる。
助けられた日のことがフラッシュバックしそうになって、頭を振る。
「仕方のないお方ですねっ!」
お菓子を乗せたスプーンを運んで差し上げると、殿下は嬉しそうに目を細めた。
かわいい。
大人の男の人のことを、かわいいと思ったのは、これがはじめてだ。
殿下はゼラの知らなかったことを、沢山教えてくださる。それはきっと殿下と出会わなければ、知り得なかったことだ。
「これからも、よろしくお願いしますね、殿下!」
「…………。」
あれ? 殿下が黙り込んでしまわれた。
「どうかなさいましたか?」
「……ゼラ。俺は、お前との関係を変えたいと思っている。いや……、はっきり言わなくてはいけないな。お前がすk…。」
「お皿、お下げしましょうか?」
若い店員さんがやって来たので、ゼラが対応する。
「お願いします。」
「……で、話の続きだが……、」
「すみません! お水も、もらえます?」
そう言ってから殿下の方を見ると、頭を抱え眉間にシワを寄せていた。
「殿下、お加減でも悪いのですか!」
「大丈夫だ。問題ない。……いざとなれば、いつでも伝えてみせる。」
「?」
店を出てからも、殿下の言葉が頭から離れなかった。
ゼラとの関係を変えたい?
え、それってつまり……。
解雇、ということなのでは!? ゼラの仕事ぶりが気にくわなかったのか、側において飽きたからか、理由は分からないけれど、辞めさせられてしまうのかもしれない。
殿下の様子を窺う。ゼラはあわあわと口を開く。
「私、今の仕事は気に入ってますよ! 何かご不満な点がありましたら、遠慮なくお申し付け下さいね!」
「あ……?ああ、そうする。」
煮え切らない殿下の返事に、不安がつのった。もし解雇届けを突きつけられたら、これから先どうやって生活していけばいいのだろう。
冷たい風が吹き付けた。故郷であるロッターレにも、もうすぐ雪が降る。
「いただきますっ!」
元気よく声をあげる。どれから手をつけようか迷いながらも、一つずつ口に運ぶ。
瞬間、ほろ苦いココアの味わいが口いっぱいに広がり、遅れて柑橘系の爽やかな酸味を感じる。
「美味しいです……!」
「それは良かったな。」
向かい側に腰かける殿下はくつろいでいるように見えた。しかし、お菓子を食べようとしない。
「殿下はお食べにならないのですか?」
「……甘いものは食べないと決めている。」
ゼラは殿下のことを気にしながらも、次のお菓子を食べる。
プルプルとした食感の、さくらんぼのゼリー。下にはムースの層もある。嬉しくなって、また次のお菓子もほおばる。お行儀など気にならなくなるくらい、美味しかった。
「ははっ……。」
堪えきれなかったというような笑い声が聞こえて、見上げる。殿下が口角を上げて笑っていた。どうしてか分からず、戸惑いの表情を浮かべたまま、殿下の方を窺った。
「小動物みたいだな、と思って。」
「もうっ!」
馬鹿にされたのだ、と思って憤慨する。
「殿下もお食べになったらいかがですか、きっと美味しさが分かりますよ!」
「甘いものは、自分からは食べないと決めているんだ。」
「?」
なんだか含みのある言い方に、ゼラは小首をかしげた。
だが殿下の次の行動で、その意味を理解することになる。
殿下はお口を開けたままの体制で、何かを待っている。普通なら間抜けな格好だけれど、殿下がなさると口から覗く赤い舌にドキリとさせられる。
助けられた日のことがフラッシュバックしそうになって、頭を振る。
「仕方のないお方ですねっ!」
お菓子を乗せたスプーンを運んで差し上げると、殿下は嬉しそうに目を細めた。
かわいい。
大人の男の人のことを、かわいいと思ったのは、これがはじめてだ。
殿下はゼラの知らなかったことを、沢山教えてくださる。それはきっと殿下と出会わなければ、知り得なかったことだ。
「これからも、よろしくお願いしますね、殿下!」
「…………。」
あれ? 殿下が黙り込んでしまわれた。
「どうかなさいましたか?」
「……ゼラ。俺は、お前との関係を変えたいと思っている。いや……、はっきり言わなくてはいけないな。お前がすk…。」
「お皿、お下げしましょうか?」
若い店員さんがやって来たので、ゼラが対応する。
「お願いします。」
「……で、話の続きだが……、」
「すみません! お水も、もらえます?」
そう言ってから殿下の方を見ると、頭を抱え眉間にシワを寄せていた。
「殿下、お加減でも悪いのですか!」
「大丈夫だ。問題ない。……いざとなれば、いつでも伝えてみせる。」
「?」
店を出てからも、殿下の言葉が頭から離れなかった。
ゼラとの関係を変えたい?
え、それってつまり……。
解雇、ということなのでは!? ゼラの仕事ぶりが気にくわなかったのか、側において飽きたからか、理由は分からないけれど、辞めさせられてしまうのかもしれない。
殿下の様子を窺う。ゼラはあわあわと口を開く。
「私、今の仕事は気に入ってますよ! 何かご不満な点がありましたら、遠慮なくお申し付け下さいね!」
「あ……?ああ、そうする。」
煮え切らない殿下の返事に、不安がつのった。もし解雇届けを突きつけられたら、これから先どうやって生活していけばいいのだろう。
冷たい風が吹き付けた。故郷であるロッターレにも、もうすぐ雪が降る。
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