31 / 31
29.お姉様、素敵です……!
しおりを挟む
皆が結婚式の準備で忙しいはずなのに、私達が到着するのをそろって出迎えてくれた。それどころか、その日の夜はご馳走を振る舞い、年代物のワインを開けた。
殿下の手前、お父様方はそれが「贅沢だ」なんて口にしなかったけれど、ロッターレの内情を知っている自分としては震え上がる心地がした。2日後に結婚式を控えているというのに、我が家の家計は大丈夫なのだろうか。
「何難しい顔をしてるんだ、ゼラ。こんなに美味そうなのが並んでるのに食わなきゃ損だぞ~!」
ダリアお姉様は先程までドレスの試着をしていており、そのままの格好で食べようとしてメイドのルティに止められていた。
初めて見る着飾ったお姉様の姿は、それはそれは綺麗だった。普段の格好に戻り、ステーキをほおばる今のお姉様には見る影もないけれど。
「あー、さっき帰っちまったんだよな。研究が忙しいとかで。」
「研究?」
ゼラが首を傾げると、エルドお兄様が教えてくれた。
「ダリアの婚約者様は聡明な魔物学者だよ」
「魔物学者って、国や民間の依頼を受けて魔物の生態調査を行ったり、王立学院で講義をしたりするという、あの?」
「うん。式のときに会わせてやるから、その時はきちんと挨拶しろよ」
「はい、もちろんです!」
こうして、賑やかな夕食の時間は過ぎていった。
「ゼラ、ちょっといいか」
殿下はそう言うと、ゼラの手を引いてバルコニーへと連れ出した。
「寒くないか」
「はい、平気ですよ」
ゼラが答えると、殿下は安堵したように微笑んだ。そして、真剣な眼差しでゼラを見つめる。
「改まって礼を述べたことはなかったな。俺の近衛騎士になってくれてありがとう」
殿下の鋭い眼差しが、今は少し柔らかい。お酒が入ったからなのか、頬も少し紅潮していて。見つめられると恥ずかしい気分になってくる。
「……いえ、こちらこそ」
「今日だってお前がいなければ、俺は凍えて死んでいたかもしれない。だから……感謝している」
殿下の言葉を聞きながら、ゼラはふと思い出していた。
『お前は俺にとって、ただの近衛ではない。特別なんだ』
それは昨夜、殿下が掛けてくださった言葉。
その真意は測りかねるが、あの時も今も殿下はゼラに感謝してくださっているということは分かった。
「殿下……」
ゼラは少しだけ身を屈め、殿下の頬に手を添える。
「私は、殿下の近衛騎士になれて本当に幸せ者です」
殿下は一瞬目を大きく見開いたが、すぐに目を細めて笑みを浮かべた。
「そう思ってくれるなら、嬉しい。これからもこの国の民を、よろしく頼む」
殿下はそう言い終えると、そっとゼラの手に自身の手を重ねた。
殿下の吐息が、指先にかかってくすぐったい。
顔が熱い。きっと赤く染まっているに違いない。
心臓が、ドキドキと高鳴っていた。
ゼラはしばらく、殿下の瞳に吸い込まれるような心地でいたのだった。
「ゼラ~? あれ、どこに行ったのかしら?」
室内からお母様の呼ぶ声が聞こえる。
双方ハッと我に返って、手を離した。
うろうろと定まらない目線に、小さなため息をつく。
「少し、酔いすぎましたかね。私も……、殿下も。」
「ああ、そうだな」
2人は苦笑いし合うと、それぞれの部屋に戻るべく別れたのだった。
結婚式当日になった。
天候は晴れ。風もなく穏やかで、絶好の結婚式日和である。
鏡の前でくるりとまわってみると、スカートが優美に揺れた。
「お気に召しましたか?」
「はい。ルティ、素晴らしいです!」
「当然です。何年お嬢様つきのメイドをやらせて頂いているとお思いで?
平常通りお嬢様の好みを取り入れながら、似合うドレスを選んで差し上げました。」
「さすがですね」
「恐縮でございます」
ルティは穏やかな笑みを浮かべながら淡々と答える。
「ゼラ、準備はできたか?」
ノックの音が響き、殿下の声が聞こえてきた。
「はい! 今行きますね」
ゼラは扉を開けると、にっこり笑って言った。
「殿下、どうですか?」
「……とてもよく似合っている。綺麗だ。」
殿下は一瞬固まった後、優しい笑顔で答えてくれた。
「ありがとうございます!」
「それでは、俺の手を取ってくれ」
殿下が手を差し伸べてきた。ゼラが逡巡していると、殿下は少し寂しそうな顔で仰る。
「ここは王都と違ってのどかだな。後ろ暗い争いの気配を感じない。……だからお前も、今日は楽にしていい」
「……っ! お気遣いありがたく存じます」
殿下の手に自分の手をそっと重ねる。そのご尊顔を見つめながら考える。
このお方はこれまで、何を抱えて生きていらしたのだろう、と。それは男爵家出身の自分には想像もつかないような、重くて苦しい何かだ。それでも、私はあなたの近衛騎士として、側に居続ける。その覚悟を、決めなくては。
式場には大勢の参列者が集った。
その顔ぶれは周辺領地の貴族や、ロッターレに住む昔からの知り合いなど様々だ。
意外なことに、面識のない者達がいた。その異国情緒漂う服装は、自然と周囲の目線を集めている。特筆すべき点は、ただ異国人だというだけではない。服は所々擦り切れて、髪は乱れている。明らかに参道できる身分ではなさそうだった。
ならば可能性は一つ、ダリアお姉様が独断で呼び寄せたのだろう。
「あれは東のスサァレ国の者に、南のシャムヌヒ国の者だな。しかし何故ここに?」
殿下も若干面食らったご様子。
「殿下。私の姉は元冒険者で、旅をしていました。きっとその時に知り合ったのでしょう。冒険者の世界は実力主義。特に身分差別を嫌いますから。」
殿下は首肯した。
「なるほど、そういうことか。俺はほとんどの時間を王宮で過ごしてきた。俺の知らない世界も、多くあるのだろうな」
将来この国の統治者となる身でありながら、不甲斐ない。そう殿下は呟いた。
席についてしばらくすれば、殿下の元へ多くの者が挨拶に足を運ぶ。
ゼラの所にも、一人の青年が爽やかな笑みとともにやって来た。
彼はゼラの幼馴染、ルベック・アルナレスである。肩のあたりまで伸びた茶髪に、金の細められた瞳。優しげな雰囲気がご令嬢達の人気を集めている。
「ゼラ、久しぶりだね!」
「ルベック、元気でしたか?」
「うん、もちろん。ゼラも相変わらずのようで安心したよ。」
「ありがとう」
ルベックは、殿下の姿を見留めて驚いたようだったが、すぐに取り繕って恭しく礼をする。
「殿下におかれましては、ますますのご健勝のこととお喜び申し上げます。舞踏会では少し姿をお見かけしただけで、改まったご挨拶はこれが初めてですね。」
「ああ、貴殿は……、アルナレス子爵子息。」
殿下は一瞬目線を反らし、その名前を記憶から洗い出したらしい。
下級貴族の顔を覚えているというのなら、殿下は貴族全員の名前を把握していると考えたほうが良い。
「覚えていただけており光栄です」
「こちらこそ、これからもよろしく頼む。ところでゼラ男爵令嬢と睦まじげなご様子だが……」
「はい。ゼラとは幼少のみぎりより親しくさせて頂いております。幼なながらに結婚しようと二人の将来を語り合ったこともありまして。」
「ちょ、なんで今その話を」
背の高い二人の顔を交互に見ていたら、首が痛くなってきた。あわあわしているゼラを他所に、話は進んでいく。
「ほう…、それは微笑ましい話だな。今度詳しくお聞かせ願おう。ところで、今彼女は俺の近衛兵として仕えていることは知っているな?」
「ええ、存じ上げています。ですが……」
ルベックが次の言葉を発しようとした時、前方で声が聞こえた。
「そろそろお時間になります。皆様お揃いでしょうか? 新郎新婦様の準備も整いました。それではこれより、結婚の儀式を執り行います。」
神父の言葉に、会場内がざわめき出す。
「残念ですが、お時間のようですね。これにて失礼します。じゃあね、ゼラ」
ルベックが一礼して去っていった。
ついに儀式が始まるのだ。
祭壇の前に立つ2人の姿が見えた。
ダリアお姉様がその力強い眼差しで辺りを見回す。その凛とした美しさに誰もが息を呑んだ。
ダリアお姉様は神妙な面持ちでその唇を震わせる。
ところが吸った息は声にならずに、空気の漏れる乾いた音だけが響いた。
隣で静かにしていた新郎が、ダリアお姉様の手を握る。彼はダリアお姉様を落ち着かせるように彼女にだけ聞こえる大きさで、大丈夫と言ったように見えた。
ダリアお姉様が小さく頷く。そして再び口を開いた。
滔々と流れる音楽の旋律のように、誓いの言葉が述べられる。
二人で互いに愛を誓い合う様は、デュエットを聞いているかのよう。耳を澄まし、聞き入らずにはいられない。
「本日は私達の結婚式に来ていただき、誠にありがとうございます。こうして無事式を迎えることができましたのも、ひとえに皆さまのお陰でございます。」
お姉様の声に、先程までの緊張は見て取れない。二人の息がピッタリあっていることは明らかだ。
「今日この良き日に、皆様に祝福されながら夫婦になることができたことを心から嬉しく思います。まだまだ未熟者ですが、どうぞ末永く見守ってくださいませ。」
ダリアお姉様はそう言って頭を下げると、今度は隣の男性の方へ向き直った。その瞳は慈しみの色に染まり、その手は優しく相手の手を包み込んでいる。
「僕達を支えてくださった全ての方々に感謝致します。本当にありがとうございました。これからもどうか、二人一緒に幸せを築いていきたいと思います。」
最後に二人は揃って一礼すると、盛大な拍手に包まれた。
殿下の手前、お父様方はそれが「贅沢だ」なんて口にしなかったけれど、ロッターレの内情を知っている自分としては震え上がる心地がした。2日後に結婚式を控えているというのに、我が家の家計は大丈夫なのだろうか。
「何難しい顔をしてるんだ、ゼラ。こんなに美味そうなのが並んでるのに食わなきゃ損だぞ~!」
ダリアお姉様は先程までドレスの試着をしていており、そのままの格好で食べようとしてメイドのルティに止められていた。
初めて見る着飾ったお姉様の姿は、それはそれは綺麗だった。普段の格好に戻り、ステーキをほおばる今のお姉様には見る影もないけれど。
「あー、さっき帰っちまったんだよな。研究が忙しいとかで。」
「研究?」
ゼラが首を傾げると、エルドお兄様が教えてくれた。
「ダリアの婚約者様は聡明な魔物学者だよ」
「魔物学者って、国や民間の依頼を受けて魔物の生態調査を行ったり、王立学院で講義をしたりするという、あの?」
「うん。式のときに会わせてやるから、その時はきちんと挨拶しろよ」
「はい、もちろんです!」
こうして、賑やかな夕食の時間は過ぎていった。
「ゼラ、ちょっといいか」
殿下はそう言うと、ゼラの手を引いてバルコニーへと連れ出した。
「寒くないか」
「はい、平気ですよ」
ゼラが答えると、殿下は安堵したように微笑んだ。そして、真剣な眼差しでゼラを見つめる。
「改まって礼を述べたことはなかったな。俺の近衛騎士になってくれてありがとう」
殿下の鋭い眼差しが、今は少し柔らかい。お酒が入ったからなのか、頬も少し紅潮していて。見つめられると恥ずかしい気分になってくる。
「……いえ、こちらこそ」
「今日だってお前がいなければ、俺は凍えて死んでいたかもしれない。だから……感謝している」
殿下の言葉を聞きながら、ゼラはふと思い出していた。
『お前は俺にとって、ただの近衛ではない。特別なんだ』
それは昨夜、殿下が掛けてくださった言葉。
その真意は測りかねるが、あの時も今も殿下はゼラに感謝してくださっているということは分かった。
「殿下……」
ゼラは少しだけ身を屈め、殿下の頬に手を添える。
「私は、殿下の近衛騎士になれて本当に幸せ者です」
殿下は一瞬目を大きく見開いたが、すぐに目を細めて笑みを浮かべた。
「そう思ってくれるなら、嬉しい。これからもこの国の民を、よろしく頼む」
殿下はそう言い終えると、そっとゼラの手に自身の手を重ねた。
殿下の吐息が、指先にかかってくすぐったい。
顔が熱い。きっと赤く染まっているに違いない。
心臓が、ドキドキと高鳴っていた。
ゼラはしばらく、殿下の瞳に吸い込まれるような心地でいたのだった。
「ゼラ~? あれ、どこに行ったのかしら?」
室内からお母様の呼ぶ声が聞こえる。
双方ハッと我に返って、手を離した。
うろうろと定まらない目線に、小さなため息をつく。
「少し、酔いすぎましたかね。私も……、殿下も。」
「ああ、そうだな」
2人は苦笑いし合うと、それぞれの部屋に戻るべく別れたのだった。
結婚式当日になった。
天候は晴れ。風もなく穏やかで、絶好の結婚式日和である。
鏡の前でくるりとまわってみると、スカートが優美に揺れた。
「お気に召しましたか?」
「はい。ルティ、素晴らしいです!」
「当然です。何年お嬢様つきのメイドをやらせて頂いているとお思いで?
平常通りお嬢様の好みを取り入れながら、似合うドレスを選んで差し上げました。」
「さすがですね」
「恐縮でございます」
ルティは穏やかな笑みを浮かべながら淡々と答える。
「ゼラ、準備はできたか?」
ノックの音が響き、殿下の声が聞こえてきた。
「はい! 今行きますね」
ゼラは扉を開けると、にっこり笑って言った。
「殿下、どうですか?」
「……とてもよく似合っている。綺麗だ。」
殿下は一瞬固まった後、優しい笑顔で答えてくれた。
「ありがとうございます!」
「それでは、俺の手を取ってくれ」
殿下が手を差し伸べてきた。ゼラが逡巡していると、殿下は少し寂しそうな顔で仰る。
「ここは王都と違ってのどかだな。後ろ暗い争いの気配を感じない。……だからお前も、今日は楽にしていい」
「……っ! お気遣いありがたく存じます」
殿下の手に自分の手をそっと重ねる。そのご尊顔を見つめながら考える。
このお方はこれまで、何を抱えて生きていらしたのだろう、と。それは男爵家出身の自分には想像もつかないような、重くて苦しい何かだ。それでも、私はあなたの近衛騎士として、側に居続ける。その覚悟を、決めなくては。
式場には大勢の参列者が集った。
その顔ぶれは周辺領地の貴族や、ロッターレに住む昔からの知り合いなど様々だ。
意外なことに、面識のない者達がいた。その異国情緒漂う服装は、自然と周囲の目線を集めている。特筆すべき点は、ただ異国人だというだけではない。服は所々擦り切れて、髪は乱れている。明らかに参道できる身分ではなさそうだった。
ならば可能性は一つ、ダリアお姉様が独断で呼び寄せたのだろう。
「あれは東のスサァレ国の者に、南のシャムヌヒ国の者だな。しかし何故ここに?」
殿下も若干面食らったご様子。
「殿下。私の姉は元冒険者で、旅をしていました。きっとその時に知り合ったのでしょう。冒険者の世界は実力主義。特に身分差別を嫌いますから。」
殿下は首肯した。
「なるほど、そういうことか。俺はほとんどの時間を王宮で過ごしてきた。俺の知らない世界も、多くあるのだろうな」
将来この国の統治者となる身でありながら、不甲斐ない。そう殿下は呟いた。
席についてしばらくすれば、殿下の元へ多くの者が挨拶に足を運ぶ。
ゼラの所にも、一人の青年が爽やかな笑みとともにやって来た。
彼はゼラの幼馴染、ルベック・アルナレスである。肩のあたりまで伸びた茶髪に、金の細められた瞳。優しげな雰囲気がご令嬢達の人気を集めている。
「ゼラ、久しぶりだね!」
「ルベック、元気でしたか?」
「うん、もちろん。ゼラも相変わらずのようで安心したよ。」
「ありがとう」
ルベックは、殿下の姿を見留めて驚いたようだったが、すぐに取り繕って恭しく礼をする。
「殿下におかれましては、ますますのご健勝のこととお喜び申し上げます。舞踏会では少し姿をお見かけしただけで、改まったご挨拶はこれが初めてですね。」
「ああ、貴殿は……、アルナレス子爵子息。」
殿下は一瞬目線を反らし、その名前を記憶から洗い出したらしい。
下級貴族の顔を覚えているというのなら、殿下は貴族全員の名前を把握していると考えたほうが良い。
「覚えていただけており光栄です」
「こちらこそ、これからもよろしく頼む。ところでゼラ男爵令嬢と睦まじげなご様子だが……」
「はい。ゼラとは幼少のみぎりより親しくさせて頂いております。幼なながらに結婚しようと二人の将来を語り合ったこともありまして。」
「ちょ、なんで今その話を」
背の高い二人の顔を交互に見ていたら、首が痛くなってきた。あわあわしているゼラを他所に、話は進んでいく。
「ほう…、それは微笑ましい話だな。今度詳しくお聞かせ願おう。ところで、今彼女は俺の近衛兵として仕えていることは知っているな?」
「ええ、存じ上げています。ですが……」
ルベックが次の言葉を発しようとした時、前方で声が聞こえた。
「そろそろお時間になります。皆様お揃いでしょうか? 新郎新婦様の準備も整いました。それではこれより、結婚の儀式を執り行います。」
神父の言葉に、会場内がざわめき出す。
「残念ですが、お時間のようですね。これにて失礼します。じゃあね、ゼラ」
ルベックが一礼して去っていった。
ついに儀式が始まるのだ。
祭壇の前に立つ2人の姿が見えた。
ダリアお姉様がその力強い眼差しで辺りを見回す。その凛とした美しさに誰もが息を呑んだ。
ダリアお姉様は神妙な面持ちでその唇を震わせる。
ところが吸った息は声にならずに、空気の漏れる乾いた音だけが響いた。
隣で静かにしていた新郎が、ダリアお姉様の手を握る。彼はダリアお姉様を落ち着かせるように彼女にだけ聞こえる大きさで、大丈夫と言ったように見えた。
ダリアお姉様が小さく頷く。そして再び口を開いた。
滔々と流れる音楽の旋律のように、誓いの言葉が述べられる。
二人で互いに愛を誓い合う様は、デュエットを聞いているかのよう。耳を澄まし、聞き入らずにはいられない。
「本日は私達の結婚式に来ていただき、誠にありがとうございます。こうして無事式を迎えることができましたのも、ひとえに皆さまのお陰でございます。」
お姉様の声に、先程までの緊張は見て取れない。二人の息がピッタリあっていることは明らかだ。
「今日この良き日に、皆様に祝福されながら夫婦になることができたことを心から嬉しく思います。まだまだ未熟者ですが、どうぞ末永く見守ってくださいませ。」
ダリアお姉様はそう言って頭を下げると、今度は隣の男性の方へ向き直った。その瞳は慈しみの色に染まり、その手は優しく相手の手を包み込んでいる。
「僕達を支えてくださった全ての方々に感謝致します。本当にありがとうございました。これからもどうか、二人一緒に幸せを築いていきたいと思います。」
最後に二人は揃って一礼すると、盛大な拍手に包まれた。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
戦闘の得意な女子大好きです
どんどん仲間を増やして いろいろ攻略していくのでしょうか?
先が楽しみです
アキ様、感想ありがとうございます。戦闘が得意な女子って、いいですよね。私も好きなんです。
仲間を増やして、賑やかな感じになればいいな、と思ってます。これからの展開にご期待ください!
退会済ユーザのコメントです
感想ありがとうございます! スピード感が伝わったようで、嬉しい限りです。まだまだお話は続くので、これからもよろしくお願いします!
退会済ユーザのコメントです
ちゅ~る様、感想ありがとうございます!ゼラの家族は、かなりキャラ濃いめになってますね(笑)ちゃんとキャラが伝わっていたみたいで、嬉しいです。もしかしたらこれから婚約者が登場するかもしれませんね。モチベ上げて、書いていきます!