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第一篇第一章 旅路の出逢い
届けられたケジメの形
しおりを挟む笑いながら急かして来るケーシーに
先導されて、二人は噴水広場へと向かう。
辿り着いた噴水広場には大きな荷車の前に
長屋町の町民が輪を描くように集まる光景が
二人の視界に飛び込んで来た。
「でっけー荷車…」
「何だ?」
二人は民衆を掻き分けて荷車の前に
顔を出すと其処には、荷車の前に胡座を
かいて座り込む大男の姿があった。
「へ?アンタ」
「アドラス」
「待っていた。お前等」
巨大な荷車の前に座り込んで居たアドラス
を視界に捉えた二人はその背後の荷車に
乗せられた大量の食糧や金品を見て
度肝を抜かれる。
「話は全てドノバンに訊かせて貰いやした。儂は今、護国師団反乱軍幹部に名を連ねるも元は奴と手を組んだ伯盛一家バズーの親分でもありやした」
アドラスが言葉を紡ぎながら緩りと
頭を垂れる姿を前に、民衆は言葉を失う。
「儂の教えに背き、カタギの皆さんにご迷惑をお掛けした奴等にはケジメを付けさせ、もうこの町から出て行きやした。苦しんだ数年は戻りゃあしやせん。じゃが此処は一つ此の食糧と金品で納めては貰えぬか?カタギの皆々様方」
頭を深々と下げたアドラスの言葉。
そして、背後の食糧や金品。
更にドノバン達の脅威が去った事。
其れは町民にとって日々願い続けた
平和の訪れが成されたと言うこと。
民衆は歓喜した。
人目を憚らず涙を流して。
「護国師団反乱軍は民衆の、カタギの皆さんの味方じゃ。そして同志達は此の国の至る所に居る。もしまたドノバンの様な馬鹿が、現れた時は儂の名を持って反乱軍が皆々様を守ると約束しよう」
此れで手打ち。
数年に渡る痛みは戻らない。
だが、民衆にとって此れ以上無い形での
幕引きとなった。
「はは…!」
「顔を上げてくれ。アドラスさん。有難う、恩に着ます」
シャーレの言葉に顔を上げたアドラスと
目を合わせたロードとシャーレの笑顔に
アドラスも笑みを浮かべる。
アドラスが立ち上がりその場から離れると
次々と頭を下げた町民が荷車に押し寄せる。
噴水広場は歓喜のパニックを起こしていた。
「アンタ、良い奴だったんだな。ししし、俺はアンタ好きだぞ」
「じゃかあしい。ケジメを付けただけじゃ。じゃが、お前等が動かんかったら儂は此の町を知らぬ間に過ぎ去ってしまったんじゃろうな」
「見て見ぬフリをしない。それだけでも立派さ、アドラスさん」
「ふん。じゃあの」
アドラスはそう言うと噴水広場から
重たい足音を響かせながら消えて行った。
其れを見届けたシャーレはロードに
背を向けたまま、口を開く。
「長屋町は此れで安心だ。幼い頃に拾われた此の町に少しは恩返しが出来た気がする。有難う、ロード。ついでだが、君の旅、私も同行してはいけないだろうか?」
シャーレの言葉に目を丸くしたロードは
爽やかに吹き抜ける風をその身で浴びながら
驚きの表情を隠せなかった。
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