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第四編第三章 親を探す最大の手掛かり
超大物の足取りを追って
しおりを挟む「…つかよ。反乱軍のヤツ等とはそこそこ会ったけど…何つーか濃いよな…ヤクザの親分さんに刀狩り…んでアンタと…」
立ち上がりながらボソボソっと言葉を発した
ロードに向かってガルダが口を開く。
「アドラスの親父にギルドの兄ィの事だなァ…そんなに濃いかァ!?」
「…濃いだろ…」
「他の幹部ってーと…陰気臭い科学者にィ天然毒舌女…チャラ男と寺の坊さんがいんなァ」
「反乱軍どうなってんだよッ!?」
驚きの余り大声を上げたロードの額にガンを
付けながらガルダのリーゼントが突き刺さる
が、もう慣れた様にロードは受け入れる。
「(エルヴィスの趣味か…?濃さの上塗りが凄過ぎんだろッ…!)」
ロードがそんな事を呟いて居るとガルダは
ふと真後ろを振り返り少し先の砂漠に建つ
古ぼけた遺跡を目にしてニヤリと笑う。
「あァ!?見えて来てんじゃねーか。オラァ行くぞシャバ僧がァ…!」
二人は段々と近くなって行くセバラ砂漠に
聳えるマムナック遺跡に向かって進む。
ロードは段々と胸の高揚と不思議な緊張感を
其の身体に宿らせる様に感じて居た。
旅の目的はロードの両親を探す事。
其の目的の為にロードと関係のあるランスに
会い話を聞く事は通らなければいけない道。
期待と不安が入り混じりほんの少し前へと
進める足取りがおぼつかない様に見える。
そしてマムナック遺跡の正面まで来た二人の
視界に遺跡の入り口で話す二人の男の姿が
飛び込んで来ると岩陰に身体を隠す。
一人は見慣れた小紫色の帝国軍の羽織を着て
いるが其の正面の男の羽織には見覚えが無く
ロードは其の男を凝視しながら首を傾げる。
其の男が羽織って居たのは翠色のマント。
ロードから見るとポアラの髪色に見える
だろうが、其の羽織には覚えが無い。
すると帝国軍の男を残して翠色のマントを
羽織る男はマントを翻してマムナック遺跡の
中へと緩り緩りと向かって行った。
「オイ、シャバ僧」
「ロードだっつーの…!」
「あんのポリ公(帝国軍)と遊んでる暇は無ェ…見つかんねぇ様に裏ァ回ってェ遺跡ん中ァ行くぞォ」
「お、おう…!」
小声で話すガルダの言葉に意外と真面目に
そういう事を考えるんだなと感心したロード
は腰を軽く上げたガルダの後ろを追う。
だが、其の考えは物の一秒で崩れ去る。
「抜ーき足ィィ差ーし足ィィ!!あァーしーのーび足ィィィィ!!!!」
「意味解ってやってんのかテメェはァァ!!?」
普段と何も変わらない全力の発声を以て
抜き足差し足忍び足を叫び上げたガルダに
ついロードも全力でツッコんでしまう。
勿論、其の声に目の前の帝国軍の男は
振り返りニヤリと笑うと手に持った瓢箪に
口を付けてグビグビと喉を鳴らしている。
「テメェ…舐めてんのかァ…シャバ僧がァ!大声出したら俺様の作戦台無しだろうがァ!!あァ!?」
「ニャロウ…俺のせいにするつもりか!!」
お互いにガンを飛ばし合うロードとガルダを
前にして帝国軍の男が近寄って来る。
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