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第七篇第二章 王家に仕えし血族の墓標
尋ね人との邂逅
しおりを挟む「……あ、アンタ…ガスタだよな?」
「ええ…十年程お会いしていませんでした。ロード君…大きくなりましたねぇ…!」
「ははッ…やめてくれよ…もうガキじゃねぇんだぜ?」
「此れは失礼。いけませんね…いつまでもあの頃のままでは無いんですから…」
談笑を始めたロードと今回の尋ね人となった
ガスタの二人の背後からシェリーとシグマが
緩りと近付いて行くとガスタが二人の姿へと
優しく視線を向けてニッコリと微笑む。
その優しそうな雰囲気にシェリーは頬を少し
赤らめるとお腹の位置で手を組んでおもむろ
に腰を折って深々とお辞儀をした。
「…ようこそ。バルモア国の王女シェリー様…そして其方は…?」
「シグマや。バルモア王家の護衛団やらしてもらうとるわ」
「シグマ君…ですね。遠路遥々お疲れでしょう、何かもてなしたい所ではありますが…なにぶん此処はお墓な物で…何のお構いも出来ず申し訳ありません…」
目の前のガスタは周りを緩りと見渡した後で
シェリーとシグマに向けて頭を下げる。
「はわわわわわっ!や、やめてくださいっ…そんな…何ももてなされに来たわけじゃございませんから…」
慌てた様子を見せたシェリーを見てガスタは
またもニッコリと微笑みを向ける。
するとロードが大きな墓所を眺め口を開く。
「これ墓なのか…?誰のだ?」
「此れは私の先代達が眠る墓です。私の家系であるレイノルズ家の遠い先代が此の大滝プトラムフォールをこよなく愛していましたから此の大滝の内側にこんな場所を創ったと聞いています」
ロードは「へぇ」と言葉を漏らしながら荘厳
な佇まいの墓所を更に眺めて腕を組む。
「…ガスタ様…突然のご質問で無礼なのは承知なのですが…一つ宜しいですかっ?」
「お気になさらず…私の答えられる範囲内でしたら…お答えしましょう」
シェリーはガスタの言葉にホッとした感情を
浮かべながら背後の壁面に描かれたプレジア
の王家ケーニッヒ一族の家紋を指差す。
「ガスタ様の言っていたレイノルズ家とは…プレジアのケーニッヒ王家と何か繋がりがあるのでしょうか?」
「……成る程。其の質問を私に投げ掛けられるという事はロード君からは何も聞かされていないんですね」
「……?どういう事や。オイ、オメェなんか知っとったんか?」
「……は?何も知らねぇよ。ガスタの一族が何者かなんてのもそうだし。つか、そもそも何もわかんねぇから探しに来たんじゃねぇか…」
ガスタはロードとシグマの会話を聞いて何か
に納得した様に顎髭を緩りと摩って瞳を閉じ
心の中で言葉を呟いて行った。
「(……ランスよ…。貴方は先日ロード君に会ったのでしょう?何一つ教えないとは…貴方も人が悪い…)」
そして緩りと瞳を開いたガスタは突如として
何かを察知した様にロード達が落下して来た
壁面の穴の方へと目を向けた。
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