RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
385 / 954
第九編第四章 此の国の護り神

死闘の決着

しおりを挟む





「やったか…?」



地上に降り立ったロードは覚醒を緩りと解き
ながら荒れた息を平常へと戻す為に深呼吸を
繰り返しながら自身の絶技が巻き起こした目
に映った爆煙へと視線を送る。

未だグレイの姿は見えないままの煙の中へと
裏帝軍の幹部達が血相を変えて飛び込む。

そんな中、ロードの背後から二人の男女が声
を高らかに上げながら近寄って来た。



「すっごいじゃんっ、ロードっ!なにアレ…ちょっとカッコ良すぎるんじゃないのっ?」


「いてぇいてぇって…ポアラッ!!」



興奮が隠し切れぬ様に頬を染め上げたポアラ
に何度も頭をペシペシと叩かれていたロード
は歓喜よりも痛みに負けていた。

そして、其の横から肩を優しくポンと叩いた
シャーレがロードの顔を覗き込む。



「やったな…ロード」


「おう…!なんかよ…色々吹っ切れた…まだまだ自分でも自分の事がわかってねぇから…この先も悩むかもしんねぇ…でも…そん時はまた頼むよ…オメェ等…!」



ロードが溢した言葉にシャーレとポアラは
互いに顔を見合わせほのぼのとした笑顔を
浮かべると同じタイミングでロードの方向
へと向き直り力強く揃って親指を立てた。



「「もちろんっ!!」」



三人が笑顔で会話を続けていた其の姿を遠目
に見ながらガルフも口元に笑みを浮かべる。

そうこうしている内に搔き消え始めた煙の中
から多量の出血を負ったグレイが裏帝軍幹部
のスネイクとアノンに肩を持たれて姿を現し
ロードに向かってニヤリと笑みを浮かべた。



「やるじゃねぇかよ…目醒めて直ぐに此の威力…ッ…ホントなら…今から俺の覚醒とどっちが強ェのか…白黒付けてやりてぇ所だが…だいぶ食らっちまったしな…次は…最初から本気で相手してやるッ…!」



真顔の印象が強かったグレイが見せ始めた
其の不敵な笑みの正体とはロードに感じた
興味の証であった。

裏帝軍軍団長グレイ・ギルノーブル。

誰よりも強者に興味を持ち、弱者にカケラ程
の興味を持たないという戦闘狂が彼の姿。

其の興味の枠に入り込んだロードはグレイと
の激突を終えて、乗り越えた今でも背筋が
凍る程の恐怖心をグレイからは感じた。

其れだけグレイという男の底は知れない。



「まあ…コイツ等が止めやがらなかったら今直ぐにでもテメェの喉元掻っ切りに行く所だがな…面倒くせぇのもいやがるし…テメェとの決着はお預けだ…ッ!」



グレイはロードへ言葉を放ちながら後方に
立っていたディルとガルフへと一瞥をくれて
再びロードへと視線を戻した。



「次やる時は…もっとこのチカラ…使いこなせるようになっといてやるよ…イレズミ野郎ッ…!」



ロードの言葉を聞き終えると裏帝軍軍団長の
グレイと共に裏帝軍の幹部達は此の活火山の
黒道から撤退を始めて行った。

勿論、追撃する者も、其れを止める者も此の
場には誰一人として居ない。

活火山ポルナダベトルの戦いに幕が下りた。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

詩歌官奇譚(しかかんきたん)

三塚 章
ファンタジー
旅をして民の歌や詩を収集する詩歌官、楽瞬(らくしゅん)。今度の村には幽霊が出るらしい。

元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

☆ほしい
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

転生幼女アイリスと虹の女神

紺野たくみ
ファンタジー
地球末期。パーソナルデータとなって仮想空間で暮らす人類を管理するAI、システム・イリスは、21世紀の女子高生アイドル『月宮アリス』及びニューヨークの営業ウーマン『イリス・マクギリス』としての前世の記憶を持っていた。地球が滅びた後、彼女は『虹の女神』に異世界転生へと誘われる。 エルレーン公国首都シ・イル・リリヤに豪商ラゼル家の一人娘として生まれたアイリスは虹の女神『スゥエ』のお気に入りで『先祖還り』と呼ばれる前世の記憶持ち。優しい父母、叔父エステリオ・アウル、妖精たちに守られている。 三歳の『魔力診』で保有魔力が規格外に大きいと判明。魔導師協会の長『漆黒の魔法使いカルナック』や『深緑のコマラパ』老師に見込まれる。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

『未来郵便局』

月影 朔
キャラ文芸
故人が未来の誰かへ宛てた手紙を届ける、少し不思議な「未来郵便局」。 配達人は、古い制服に身を包んだ寡黙な青年、時雨(しぐれ)。 「この手紙が、あなたの未来を照らしますように」 二十年前に亡くなった祖父から届いた、結婚を祝う手紙。 若くして逝った親友が、残された夢を託した手紙。 伝えられなかった「ごめんね」と「ありがとう」を載せた、最後の手紙。 届けられるのは、過去からの温かい想い。 手紙をきっかけに、残された人々の心が解きほぐされ、止まっていた時間が再び動き出す。 これは、時を超えて繋がる人々の絆と再生を描く、優しくて、どこか切ない物語。 配達人・時雨が胸に秘めた、彼自身の「手紙」の秘密とは――。 読後、あなたの心に温かい光が灯る、感動の連作短編集。

処理中です...