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第十一篇第三章 鬩ぎ合う苦悩
蒼騎マリアvs賢鶴リア&甲突マルク
しおりを挟む蒼色の雷を奔らせ加速した中将マリアの剣先
から蒼き雷撃が斬撃として放たれる。
するとマルクとリアは其々が声も交わさずに
別々の行動を起こし始めた。
前に出たのは巫女姿の六撰将リア。
手に握られた錫杖を突き出し正面から迫る
マリアの雷撃に自身の流水のギフトを発動し
真珠色の水の盾を形成した。
そして、其の水の盾に触れたマリアの雷撃が
何と溶けて消えて行くのだが此れは流水の
ギフトが持つ特性の一つ“溶解”。
相手のギフトに因って放たれた攻撃や防御を
名の如く溶かして無に帰す事が出来る特性。
そして、リアの背後から茂みへと姿を隠した
スーツ姿の六撰将マルクは茂みの中から攻撃
を放って直ぐで隙の出来たマリアへと槍を手
に攻め掛かるのだが其の姿は自然の色と同化
し見えづらくなっていた。
しかし、波動の揺れを感じ振るわれたマルク
の槍を何とか背後に向けて振るったマリアの
起点に因って攻撃は防がれた。
マルクの授かった樹木のギフトの特性の一つ
“擬態”は物や風景を模る事が出来る特性で
今回は山中の景色を自身の身体に投影し其の
姿を隠して撹乱する作戦だった。
攻撃を防ぎ後方宙返りを決めて二人との距離
を開けたマリアは息を一つ吐き出す。
「リアさん。此処は攻め時だよね。僕の動きでイニシアチブを完全に手中に収めて来るよ、援護は宜しくね」
「ええ。お任せ致します」
「樹木覚醒…“ 突貫甲虫”ッッ!!」
マルクの身体に山吹色の樹木のギフトと波動
のオーラが渦を巻いて流れ始める。
モチーフは兜虫であるマルクの覚醒は背中に
甲虫の羽根を携え額から角を生やす。
握っていた槍が其の角の様に変化し右腕と
同化して左手には兜虫の背中の様な盾を持ち
其の姿を変貌させるのだった。
「僕達的には先ずは仲間が無事に此のルタイ山から脱出をするのが最優先タスクだよ…中将マリアさん」
「時間稼ぎ…ね。嫌になるわ…!」
山吹色の葉を足元から吹き上げて覚醒を披露
したマルクが一気に地面を蹴る。
マリアへと間合いを詰めながら其の右腕に
据えられた角型の槍で一気に貫きに掛かる。
マリアは其の攻撃を何とか身躱すのだが足元
から吹き上がっていた山吹色の葉が量を増し
マリアの視界を遮った瞬間にマルクの姿を
見失ってしまう。
「撹乱ね…此れならどう?」
マリアは地面に刀を突き刺すと三百六十度を
範囲とした蒼き雷撃を流し始める。
しかし、其の起点に因って生まれた攻撃が
全て真珠色の水へと溶けて消えてしまう。
「小細工が得意なのね…貴女…!」
「いえ。援護は任せると仰って頂きましたから」
ニコッと微笑んだリアを見て唇を噛む仕草を
見せたマリアは悔しさを滲ませる。
そして、其処へ頭上から姿を見失っていた
マルクの槍がマリアへと攻め入るのだった。
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