RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十一篇第四章 未来へ灯す希望の光

世代交代の刻

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ルタイ山にU・Jの慟哭が響き渡る中ルタイ
山を舞台に繰り広げられた包囲戦最後の戦い
に決着の刻が迫りつつあった。

其の決着は正しく世代交代を意味するのか。

見た者が驚愕する結果を招いている。



「ヒャハハッ……オイオイ…伝説が聞いて呆れるぜッ…?元…大将さんよォ…!」



紫の髪の着物の男が放った黝色の氷塊は全て
鎌を振るう銀髪の男の前に無惨に散った。

月光に照らされた神秘的な川のほとりで其の
氷の上に立ち高らかに笑う銀髪の男。

其れを膝を付いた姿で見上げる元帝国軍大将
は顔を引き攣らせ血みどろの姿を晒す。

勝者は決まった。

元帝国軍大将の肩書きと戦場の鬼と称された
二つ名を冠するガルフ・ジャッククォーツは
現帝国軍大将アーク・クオンタムの前に無惨
にも敗れ去ったのだ。



「ヒャハハ…残念だがよ…伝説と称された人間は言い方変えりゃあ…過去の人間だッ!時代は変わるッ…もうアンタみてぇな老兵の出る幕はねぇんだよッ!!」



アークの放つ言葉がズシリとガルフの胸の中
へとまるで爆弾の様に落とされる。

そして、心を蝕む様に爆発を迎えるのだ。



「……しゃらくせぇぞ…言いたい放題言いやがって…!」


「ヒャハハ…負け惜しみだ。テメェでテメェの伝説に泥を塗るなよォ…」



ニヤついた不敵な笑みを浮かべながらアーク
は膝を付くガルフへと歩み寄り首元に鎌の刃
を包むように突き立てた。



「ああ…アイツには謝らなくちゃな…けどよ…アイツの因縁が取るに足りねぇモンだって言ってやりゃあ…済む話だよなァ…!?」


「…グッ……」



アークが鎌を振り被りガルフは死を覚悟した
其の刹那、鎌の刃がアークの背後で其の動き
を完全に止める事となった。

其の事実にアークは苛立ちを見せながら首を
後ろへと向けると其処には隻腕の虚無僧の姿
があったのだ。



「……あァ…!?何モンだ…テメェは…!」


「フッ……俺が誰だか解らぬか?未熟者めが……」


「…あー…其の言い草…忘れたくても忘れらんねぇよな…。つかよ…だから俺は…言ってんだろッ!?伝説の老兵の出る幕じゃねぇってよォ!!」



虚無僧の片手で掴まれた儘の鎌を怒りの声を
上げながらアークが振り切って見せる。

すると、其の虚無僧は鎌の先端の上を器用に
伝ってアークの背後へと跳ぶとガルフの肩を
持って距離を開ける様に更に跳んで行く。



「お前…何でこんな所に…?」


「フッ…旅の途中ですよ。ガルフさんの危機にたまたま出くわしましてね。元部下も居たもんで、こりゃあ…指咥えて見てるワケにも行かんだろうとね…」



顔がすっぽりと収まる籠型の笠を被っていた
虚無僧姿の隻腕の男が其の笠を静かに外す。

無精髭を蓄え白髪を後頭部で結い上げた其の
男はガルフの肩を担ぎながら笑みを浮かべて
優しげな口調でそう話した。
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