RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第一章 退路無き救出作戦

監獄を見据えし男

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「「あっ……!!」」



ロード達は驚きの余りに声を上げると家屋の
屋根に立つ金髪の男が静かに振り返る。

そして、其の男はロードの顔を見て呆れた様
に額に手を当てた後、屋根から飛び降りる。



「何処にでも現れんのか?オメェは」


「エルヴィス…!」



ロードの前に降りて来た護国師団反乱軍総長
エルヴィス・ハワードは呆れ顔で話す。



「其れに……久しぶりですね。ザックさん」


「……ええ。十年振りです」


「……積もる話はあるけどよ。俺等はこれから野暮用があんだ…」


「アドリーを助けに行くつもりですね?」


「……当然だ。因みに……バルモアのお姫様に其の護衛隊長まで…こんな所に何の用だ?」



エルヴィスは真面目な表情のまま淡々と話を
進めて行く為、ザックとの積もる話はする暇
を持てないままであった。



「はいっ!私達も…アドリー様が心配で…いてもたってもいれずに…ココへ来てしまいましたっ…!!」


「正気かよ……?」


「ええ。貴方達も大規模な戦いの後で戦力を整えるのに苦労されているのなら…今回は私達と組みませんか?」



レザノフの提案にエルヴィスは黙り込む。

ランスから無茶だけはさせない様にと頼まれ
ていたザックも此の流れは止めようが無いと
少し嬉しそうに笑みを浮かべる。



「……ありがてぇが…お前等にメリットはあんのか?」



漸く口を開けたエルヴィスの言葉にいち早く
反応を見せたのはシェリーだった。

其の反応はしかも笑顔混じりである。



「言い出したのはロード様ですっ…エルヴィス様なら…この意味がわかるかと…」



シェリーの言葉にエルヴィスはロードの顔を
見遣るとロードは頭の後ろで手を組み屈託の
無い笑顔を浮かべている。

エルヴィスは反乱軍の密偵達の情報でロード
が今どんな立場で政府から身を隠そうとして
いるのかも把握していた。

其の人間がだ。

わざわざ政府の施設に飛び込もうとする人間
達の手助けをしようと買って出た。

元々は、対立する立場であったにも関わらず
屈託の無い笑顔を、浮かべて。

其の表情にエルヴィスは野暮だと言いたげな
表情を浮かべて彼等への思いを押し殺す。



「……なら、遠慮なく作戦に組み込ませて貰う……オイ!ゲン爺…もう少し場所借りてくぜ?」


「ゆっくり使ったらええんじゃよ…金髪のお人」


「悪ィな…恩に着る。付いて来てくれ…反乱軍の同志達と合流する」


「ああ…!」



踵を返して歩き始めたエルヴィスの背中を
追い歩き始めるロード達。

其の中でロードは手のひらを拳で叩いて自身
達の幸運に武者震いが止まらない。

本来なら助けに行く事さえ無理なのかもと
感じていたアドリー救出がタイミング良く
反乱軍の勢力と共に行えるからだ。

これなら行ける、ロードは確かな確信を持ち
エルヴィスの背をまっすぐ追い掛ける。
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