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第十二篇第三章 激震の大監獄
理屈では無いモノ
しおりを挟むヒューズを見下ろすロアの視線を受けながら
焼き焦げた身体に何とか力を込めてヒューズ
は緩りと立ち上がって行く。
「長々と…話していたけど…簡単に言えば諦めておとなしく目立たない様に生きろって事でしょ……」
「聞こえて居たとは…はは…身に染みてくれたなら話した甲斐があるのだがな…」
「大人になるってそういう事?…仲間を見捨てて…違うと思う事を容認して生きるって考えが…」
「ああ、そうだ。何も出来やしない。だから傷付くんだよ…大人になれ…もうお前等の人生は此処に乗り込んだ時点で詰んでんだ…」
ロアの言葉に何やらヒューズは笑みを浮かべ
吹っ切れたかの様に声を上げた。
「なら僕は…大人になんかなりたくない。はいはい、と聞き分けが良いのが大人だって言うなら…常に進化を求める子供のままでいいよ…!」
「何処迄行っても…薄っぺらいバカだお前は…!」
「樹木覚醒……“ 槍陣怪馬”ッッ!!」
ヒューズが覚醒を宣言する。
下半身が蹄の有る半獣体の姿となり二股に
別れた尻尾が蔓の様に蠢いている。
そして、樹木の羽衣を纏ったケンタウロスの
姿へと変貌を遂げて槍を構えた。
「貴方の言葉が身に染みていたのなら…此処を出た後、僕は……反乱軍になんか加入して居ないよ……!」
「本当に儚い夢に踊らされているな…なら何が出来るのか見せてみろ…!」
ロアの両腕の鋏の間から先程の泡の二倍にも
至る数が宙を浮遊し始める。
其れを見たヒューズは二股に別れた尾の先端
を伸ばし其処から更に蔓を枝分かれさせると
鋭利な蔓の先端で泡を片っ端から割って行き
自身の眼前で連鎖の大爆発を引き起こす。
飛び火した大爆発の余波でヒューズの身体は
更なるダメージを負うが微動だにしない。
其の上で大量の蔓が大爆発の中をすり抜けて
ロアの身体を縛り付けて見せる。
「理屈じゃないんだ……僕の直感が反乱軍の礎を築いて来た、エルヴィスやアドリーを此の国の未来の為にも失わせちゃいけないって叫んでるッッ!!!!」
ロアとヒューズの間に羽衣の円が出現すると
其の円の先に居るロアを見据えてヒューズが
ジャベリンを振り被り構えた。
「はは……直感か。だが、覚えとけ…お前は俺一人倒したとしてもあの女には届かない…深い絶望がお前等を待ってるんだ…」
「そんな未来は信じないッ!!絶技…ッ」
ヒューズの手からジャベリンが放たれる。
「 槍旋一擲・馬蹄草ッッ!!!!」
放たれたジャベリンが羽衣の円を通過し威力
を高めると増殖した蔓に動きを封じ込まれた
ロアの身体へ完全に辿り着いた。
流れる血と吹き出された血反吐と共に背中を
地に預けて倒れ込む副署長ロア。
因縁の対決となったヒューズvsロアの戦いは
護国師団反乱軍ヒューズに軍配が上がった。
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