RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十三篇第二章 鳳凰殿への来客

生きるプライド

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「純白の氷覇………あの御方とは、対照的な此のチカラ……まるで、時代の変遷を見せられているかの様な気分です………!」


「絵にはなるだろう?白黒付けるという言葉がある通り…俺は此のチカラに感謝をしている。奴が築き上げて来た伝説と栄光…其れを総て白く染め上げる事が出来るのだから」


「本当に貴方には復讐しか映らないのですか……?」


「何度も同じ話は飽きるだろう?一度で充分だ……俺の存在価値も生きる理由も目的も帝国軍に在籍する中での想いも、総ては奴を本当の意味で超える為」


「超える為、ですか……貴方にもガルフさんの偉大さは理解出来ているのですね…」


「兵としてだけは、だ。だからこそ総て奴を押し上げて来た物を抹消してやる。俺という存在がジャッククォーツという名を持たずとも奴を遥かに凌駕しているという事を知らしめる為に…!」



リアは感じた。

アビスから見て取れる、未だ拭えぬ幼さを。

アビスという男は父であるガルフに怨恨を
抱きながらもがいている一人の幼子。

だからこそ、彼の放つ言葉は純粋で真っ直ぐ
な言葉という側面しか持たない。

父と子の確執。

此れが此の二人を語る上での外す事の出来ぬ
大きなファクターを持っていた。

其の物語の始まりは三年前に起こった。

アビスとガルフの別れは唐突に訪れる。

何も言わずにガルフが帝国軍だけでなく息子
であるアビスの前からも消えた事が原因。

アビスから見れば、父に捨てられたという
想いが芽生えるのは当然の話だった。

勿論、リアは其の経緯を知っている。

だからこそ、誤解を持ちながらも父の首を
本気で狙っている今のアビスへは胸が締めて
潰される様な想いを抱いていた。



「アビスさん……ガルフさん……いえ、お父様と解り合える刻は必ず訪れます…。心を憎しみに任せてはいけません……」



リアの言葉にアビスは鼻で笑って見せる。



「なら何故、奴は子である俺を捨てた?どうして俺に一言も言葉を寄越さなかった?」


「今は…未だ其の答えを伝える訳には行きません。ですが一つ理解して下さい…。ガルフさんは貴方の事を日々、御心配なされているのです……!」


「感情の揺れ動かぬ言葉の羅列。奴が俺を心配だと?緩い話も甚だしいぞ…貴様…」


「(やはり、此の子を動かせるのは他の誰でも無くガルフさんしか居ないのかもしれません…)」



アビスは氷の大地へと変化した祈りの祭壇の
在る此の部屋を氷を踏み潰しながら緩やかに
リアへ向かって歩を進めて行った。

そして、眼前まで迫ると見下ろす様に真上
からリアへ視線を落とし言い放つ。



「俺は既に奴を超えたプライドが在る。周りに嘲り笑われようとも……俺が生きる証は其れしか無いのだから……」



刀の鋒をリアの首元へと伸ばすアビスの表情
からリアは何処となく寂しさを感じ取った。
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