RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十三篇第三章 血の氾濫

血の結束

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そして、舞台は光の泉へと舞い戻る。

裏帝軍の襲撃を受けたロード達は最後方で戦
の幕が斬って落とされるのを待つ団長グレイ
の視線を受けて裏帝軍幹部とシャーレを含む
ポアラ、シグマ、レザノフの四人との血走る
睨み合いが続いていた。



「そういや、レザノフさん…アンタ…戻ったばかりやけど大丈夫なんか?体力は……」


「そうも言って居られる状況では無いでしょう……危機と対面している今は……」



ジリジリと幕が斬り落とされる寸前の所で
緊張感が高まって行く戦場に於いてポアラが
ふと流れでスルーしていたエマの言葉に疑問
を覚え始める。



「ねぇっ……エマ。さっきの“退けない所まで来た”ってどういう意味…っ?」


「どげんもこげんもなかよ、そんままん意味。うちらは命ば賭けてここしゃ来とるばい……」


「命を賭けて……っ?」



エマの悲痛な表情がポアラ達に伝わる。

そして、エマの言葉が裏帝軍のグレイを含む
五人にとある記憶を想起させる。



「妾達は…失敗を許されない状況で汚れ仕事を務めて来たでありんす……」


「ああ。いつでも私達の命は政府に握られている…。失敗は死……クソがッッ……あんなクズ野郎共がよッ……俺等を石ころみてぇに扱いやがってェッ!!」



続いたライアの言葉に序盤は落ち着きを保つ
アノンの感情も揺れ最後には激怒した二面性
の裏の顔が覗かれていた。

そして、スネイクが続ける。



「いやはや……此の恐怖を感じるからこそ私達は血の結束で繋がっている…漆黒の闇に包まれていた私達の世界に一筋の光を射し込んで下さった軍団長グレイ様の下でね……」



普段であれば「御託はいい、さっさと始めろ」とでも言いそうなグレイの性格を持って
しても幹部四人の言葉に彼は瞳を閉じた。

そして、裏帝軍幹部四人はロード達に向けた
怒りでは無いモノで心をヒートアップさせて
全員が声を揃えて言い放つ。



「大地覚醒…“ 毒睨豪蛇ポイズンコブラ”ッッ!!」


「鉄鏡覚醒…“ 鋼鎧顎鰐アーマーリゲート”ッッ!!」


「疾風覚醒…“ 舞踊艶蝶ダンシングバタフライ”ッッ!!」


「迅雷覚醒…“ 雷瞬蜂針サンダーホーネット”ッッ!!」



幹部四人が一斉に覚醒を披露する。

大蛇の鞭を構えて左肩に生きるキングコブラを纏ったスネイクと鋼鉄の牙と鎧を持つ鰐を
其の身体に宿らせ大剣を肩に乗せたアノン。

更に、煌びやかな蝶の羽根を背負い艶やかな
鱗粉を撒き散らすライア、そして腕が四本と
なり鋭い蜂の棘を携えたエマ。

彼等の血の結束から来る覚悟の証が堂々たる
波動を放ってシャーレ達の前に立ち塞がる。

其の光景は正に、威風堂々。

彼等を本気にさせた過去の記憶、血の結束の
大元となった“あの日”を糧に裏帝軍幹部達の
本領がシャーレ達に襲い掛かる。
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