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第十五篇第四章 政府軍〜威光再臨譚〜
平和の形
しおりを挟む王都リオプレジア、帝国軍本部内。
既に殆どの勢力達が此の王都に集結を終えた
状況となり約一週間後に迫った帝国軍本部に
於いての“国王処刑”に向けバタバタと動きが
巻き起こっていた。
各々の持つ正義を貫くか、政府の弾き出した
答えに基づき其れに従うか、胸中が揺れ動く
者達も数少なくいる事が窺える。
そんな状況の中で一人の帝国軍隊士はまた別
の不安に駆られて部屋を右往左往していた。
「(どうする……?身の回りの事は任せて来たとは言え……大怪我でもしよう物なら…帰るのがだいぶ遅れてしまう……俺の顔を皆は覚えていてくれるのだろうか……?不安で何も手に着かないではないか……どうしたらいいと言うのだ……?)」
顎に手を置きながら何かを思案し右往左往を
続ける白髪の隊士に一人の男が其の不審さの
ある動きに気付く。
「…将……エル少将……ノエル少将!!」
「うおおっ!!驚かさないでくれ……ドーマン少将……ッ!!」
数回目の声掛けにして漸く背後から声を掛け
続けていたニッキー・ドーマン少将の存在に
気付いた同じく少将のノエル・スティングは
動悸を切らした様に息を吐き返答する。
「す、済まぬ……いやしかし…余りにも行動が不可思議だった為…声を掛けさせて頂いたのだ……どうかしたのか?」
「いえ、其れが……」
ノエルはドーマンに胸の内を明かす。
「成る程……其れは心配であるな」
ドーマンはノエルの説明を受けて事の経緯を
理解すると心配そうに口を開いた。
実は、ノエル・スティングという少将は大の
動物好きとして知られている。
彼は動物保護を帝国軍隊士としての仕事の中
傍らの慈善事業として行っている。
其の為、彼の本拠地となる帝国軍支部の中で
数多くの動物達を保護しているのだ。
因みに其の因果からノエルの帝国軍支部には
他と比べても圧倒的に女性の隊士が多い。
氷の街ケベルアイスの帝国軍第十五支部とは
其の動物達に癒される側面が在り人気を博す
支部となっているのだ。
「帰るべき理由が在るというのは素晴らしい事だ、ノエル少将。一日でも、いや…一秒でも早く動物達の元へと戻れる様に拙者達は己の正義を貫き帝国軍の隊士としてやるべき事をやる…其れだけに注力して行こう」
「………ああ。出来る事なら戦争等、もう終わりにしたい…人が駆り立てる狂気の戦争は動物達の住処を奪うモノだ……俺はもっと動物と人間が互いを怖がらずに触れ合える平和というのを創りたい……!」
「正しく其れは平和と呼べるモノだな。時の流れ、人々の奔流が落ち着けば……拙者も少しは手助けになれるだろうか?」
「是非ともお願いしたい」
ノエルは多少、恥ずかしがったがドーマンの
手が目の前に差し出されると緩りと其の握手
に応じて見せた。
各々が導く平和の形、其れが未来だ。
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