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第十六篇第二章 天下分け目の大戦・壱
闘気と心酔
しおりを挟む「大地覚醒……“ 震呑童子”………」
迫るガルダに相対したオーズの選択。
其れは枯葉色のオーラを纏い覚醒を果たす事
であり正面衝突を意図していた。
オーズの顔が鬼の様に変貌を遂げる。
額から赤い角が伸び、両肩には鬼の面の様な
肩当てが顕現して行く。
更には肌が岩肌の様に刺々しい見た目へ変化
し爪が鋭く伸びて行った。
「おおっしゃァ……バッチバチにやり合った上で……仏恥義理な俺様を見せたらァ!!」
オーズの振り下ろした棘付きメイスとガルダ
の振るった鉄パイプが激しくぶつかる。
其れと同時にオーズのギフトの特性“振動”が
戦場を大きく揺るがし始める。
しかし、揺れ等ではガルダが退く事は無い。
ガルダの放った疾風のギフトの特性“裂傷”の
効力に因ってオーズの身体がジワジワと傷を
受けて血が背後に迸る。
「ああ……生きてるって感じるねぇ……このヒリヒリした感触はァ……ヒック…」
「………なあ、オイ。酔っ払い野郎…テメェに一つ聞きてェ事があんだけどよ……」
「ヒック……何だい?あっしに聞きたい事ってぇのは……うぃ~……」
「覚醒したから覇気が増してやがんのか…?それとも…テメェがあん時より強くなってやがんのかァ……?」
ガルダの浮かべた疑問。
其れは確かなタネの在るモノだった。
「……ヒック…流石だねェ……どっちとも正解っちゃあ正解さあ……」
オーズの覚醒の固有特性は“心酔”。
摂取した酒の量がそのまま自身のチカラへと
変化する特性であった。
酔いとは心の強さ、身体の強さ。
鬼をモチーフとした彼の固有特性は他と違う
トリッキーな特性を秘めていたのだ。
「成る程なァ……おうッ…!相手に不足無しだわッ……おらァァ!!ガンガン、ブッ込んで行くぜェ!!」
しかし、ガルダは恐れない。
オーズのギフトの特性“振動”と棘付きメイス
の攻撃を何度も受けながらも倒れないガルダ
はそのまま真っ直ぐに攻め続ける。
加熱した戦いの中で、互いの身体が激しく血
で染まり上がると共にオーズは首を傾げる。
「……ヒック…おっかしいねェ……アンタが浮かべた疑問が…そのままあっしにも転がって来てるよォ……」
「たりめぇだろうがァ!!テメェにあって俺様に固有特性ってのが無ェとでも思ったのかよォ!!」
ガルダの持つ固有特性は“闘気”。
其れは彼の性格やバトルスタイルを顕著な形
で表して来たモノであった。
此の固有特性は、傷を負えば負う程に自身の
攻撃力が更なる高みへと昇る仕様。
疾風のギフトを持ちながら、まるでロードの
持つ業火のギフトの特性“昇華”を兼ね備えた
かの様なモノである。
更に怪我や傷がトリガーとなる事からガルダ
の様に防御を知らないバトルスタイルからは
ある種で都合の良いモノなのかもしれない。
加速を続ける互いのチカラが此の激戦に花を
添えるかの様に昇り行く。
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