720 / 954
第十六篇第三章 天下分け目の大戦・弐
敵対の枠を飛び越えて
しおりを挟む「…………そう甘くは居られないのだ」
ルナは唇を噛んでエルムに対し震える声にて
必死の反論を見せ付ける。
しかし、エルムの言葉は的を得ていた。
「お兄ちゃんの本懐でしょ?ルナちゃんには明確な目的ってのがあるんだもんね……」
寂しげに言い放ったエルムはルナに向かって
ステッキの先を突き付ける。
「ルナちゃんの本気にめんじて……エルムちゃんも全力でいく。でも……すっごく悲しいコトだと思うな…エルムちゃんは……」
「何を……?」
「絶技…… 氷魔創・沈黙乃嘴……」
凍てつく蒲公英色の吹雪が吹き荒れる。
そして、エルムの元に造形された巨大な氷の
ペンギンが嘴を尖らせ吹雪に乗った。
「悲しい事……解らない。しかし、そんな迷いだらけの絶技が私に届くかッ!!」
ルナが紫苑色のオーラを纏う。
すると、飛び込んで来るエルムの放った絶技
の氷の嘴が紫苑色の氷で凍結して行く。
そして、其の背後で氷の十字架がエルムの体
を凍結し、動きを止めた。
「絶技…… 氷架零填華ッッ!!!!」
ルナが紫苑色の弾丸を放つ。
其の一撃がエルムの絶技を貫通し十字架の元
で凍結されたエルムの身体を貫いた。
そして、大きな紫苑色の氷の華が咲き誇る。
「……ぅっ……あははっ……エルムちゃんの負け…っかな……」
氷の華が砕け、地上に倒れ込むエルム。
其処へ息を切らしながら近寄るルナの表情に
一切の勝利の余韻は見受けられなかった。
「ねぇ?ルナちゃん……お兄ちゃんのコト、ホントに大好きだったんだねぇ……」
「………ああ」
「このまま…っ…勝って勝って勝ち続ければ……本懐はとげられそうなのっ?」
「………必ず、遂げられると信じてる」
「……それはさあ…ルナちゃんがこの先もっともっと…傷付くことになっても?」
「………何?」
「ルナちゃんのお兄ちゃんのコト、なーんにもエルムちゃんはわからないからさあ……想像でしかないんだけどっ……ルナちゃんが傷付きながら…本懐をとげるのって……お兄ちゃんは……求めてることなのかなあって……」
「………そ、それは……ッ」
「えへへっ……ご、ごめんね……エルムちゃんは……優しいルナちゃんを傷つけられなかったから……そうっ…思った……だけっ…」
エルムの声が途切れる。
ルナは、慌ててエルムの身体に手を触れた。
冷たくなっていく其の身体に触れてルナは兄
の最後を思い出してしまっていた。
「…っま……待ってくれ……エルム少将ッ……っ……うぐっ……私は……」
エルムの言葉がルナを迷わせる。
「…………なんて事を……死なせてたまるかッッ!!」
同盟軍と政府軍がぶつかる戦場の真ん中。
同盟軍であるルナは政府軍エルムを抱え慌て
ながらも走り出して行く。
視線を泳がせ探すは医療部隊。
決死の想いを言葉に変えて何かを伝えようと
してくれたエルムを救うべくひたすら其の足
を早めて駆けて行く。
帝国軍本部、右翼の戦い。
同盟軍ルナvs政府軍エルム。
勝者ルナ・オウスムーン。
50
あなたにおすすめの小説
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる