RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第九章 天下分け目の大戦・捌

孤独とはまた違う匂い

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グレイのチカラがディルを押し込み始めた。

圧倒的な熱量に依り、状況を完全に掌握した
グレイだったが、其の心にとある記憶が蘇り
ふと思案を始めるのだった。



「(他人になんざ、興味を持たねェ…俺が…コイツを初めて見た時に感じたモンがあったんだったな…)」



グレイは、自身を孤独の中に生きる者である
と認めて生きて来た事は事実。

そういう人間は、捻くれやすい。

其れを体現者だからこそ、知っていた。

だが、初めてディルという人間を見た時に彼
は不思議な感覚を覚えた。

此の男は、何処かで不思議な傷を負っている
のは見て取れる、何か大きな憎悪の様なモノ
に取り憑かれたからこそ傭兵武族という仕事
を通して“殺し”に態々、手を染めた。

そう、思うのも束の間だった。

そんな印象の中に垣間見えた此の男の心の中
に燦然と輝く“光”が存在したのだ。

何処かで同じ匂いを感じつつも此の男は前を
見据えて、何かの為に生き抜いている。

其れが余りにも、読み切れなかった。

だからこそ、興味を惹き、いつか此の男の中
に巣食う“光”と“闇”の両面を知りたいとさえ
グレイは考えていたのだ。



「(テメェにとって…どっちが本質だ?光か?闇か?同じ匂いがするクセに…こんだけ色が違うとよ…気になりやがる…此の戦いの終わりの頃にやァ…其れが見えてんのか…?)」



強者だからこそ、惹かれ合う。

唯、其れだけだと考えられていた中に存在を
示したグレイの単純なる興味。

其れは、“人間”としての証でもあった。



「フフフ…どうした…?集中力が欠けているぞ…貴様…」


「……ッ!?」



ディルの声に、グレイは反応が遅れていたと
自覚した頃には既にディルの刃が迫る。

其の刃は、真っ直ぐにグレイの顔を真横から
絡め取る様に狙って来ていた。

慌てて腰を背中から曲げて回避に入るグレイ
だったがギリギリの所で頬に刃の鋒が触れて
浅い切り傷の下、つたう様に血が流れる。

そして、距離を取ったグレイは不敵にニヤリ
と笑みを浮かべてディルを見遣る。



「ハーハッハッハ…ッ…あァ…ちぃとばかし…らしくもねェ…考え事してたわ…」


「フフフ…本当にらしくも無い…貴様にも此の戦争に想う所があったか?意外と…しおらしいな…」


「抜かせェ!!戦争じゃ…ねェよ…。ただ、もう済んだ事だ…こっからもっかい上げてくぜッ!?瞬きすら命の危機だと思いやがれッ!!」



グレイの身体に紺碧色の焔が更なる熱気をも
帯びて纏われて行った。

そして、其処からの光景は、グレイの放った
言葉が何ら誇張さえされていない真実である
と知ったディルはまたしても冷や汗を流して
此の戦いに身を置く事となる。

地面を蹴ったグレイの攻撃がディルへと迫る
と其の速度、強度に於いて不可思議な程にも
映る瞬間的なチカラの増減が垣間見えた。
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