RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第十一章 天下分け目の大戦・什

王都に広がる驚きの急報

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「おーい…そんなトコでチラチラ見てねぇでよ…さっさと同盟軍に知らせな?国王さん達の脱出のチャーンスに…アンタ等が本陣に残してる“真打ち”とやらの出番だろ…?」



空を見上げながらU・Jは、石柱群の間の柱
の陰から覗いていた同盟軍の伝達係の隊士に
そう、打ち明けた。

すると、伝達係の隊士が慌てて情報を繋いで
其れが遂に、本陣と帝国軍本部地下の面々に
知れ渡る事となった。

其の報が真っ先に届けられたのは石柱群の間
の真下に当たる地下で待機していた面々。



「なにーッ!?く、クロス中将が破られたってーの…?」


「しかも…全く想像すらしていなかった角度からの援軍と呼べばいいのでしょうか…?」



帝国軍本部地下では、其の報を聞いたランス
とガスタが余りの突然の出来事に慌ただしく
泡を食った様な表情で話す。



「U・J・ブラッド少将…。常に本心の読めない掴み所の無い男だったが…此処に来て、驚きのコトをやってのけたな…」


「どなたかは存じ上げませんが…救われました…ありがとう…」



ストラーダとサーラがそう言葉を交わし前を
向くと、ランスとガスタが先導し此の地下の
回廊から一気に脱出を図る。

そして、其の報は、遂に本陣に向けても到着
し、伝達隊の報告にロードとシェリーは目を
丸くして首を傾げた。



「……はあ?」


「U・J様って…あのU・J様ですよねっ…?」


「あんなのが二人いたら困るからよ…まあ、そうってコトだよな……」


「ろ、ロード様…ちょ、ちょっと失礼な言葉じゃありませんか……?」



二人が状況を呑み込めていなかった中、背後
から近寄って来たエルヴィスがグッと二人の
肩に手を掛けて笑顔で口を開く。



「何にせよ、だ…。道は拓けたぜ?」


「はわわわっ…そ、そうですよっ!!憂いは全てみんなが打倒したんですッ!!」


「てことは……やっと出番かよッ!!」



ロードとシェリーが現実を理解した。

そして、難攻不落の政府軍を相手に成功率の
低い作戦に出た同盟軍にとって残るは全開の
真打ち達が、敵の最高戦力を撃破する。

其処もまた、成功率は余りに低いが皆の奮闘
で其のゾーンに迄は、辿り着いたのだ。



「皆、聞いてくれ。国王達の奪還に成功。地下も抜けた…後はランスさんとガスタさんと共に王城を目指すそうだ…。俺達が奴等を引き付けている間にな…」



ノアの言葉で、ロード達の視線が帝国軍本部
に於けるシンボルである天空天守側に向けて
注がれると空気が変わった様に感じる。



「……あれ?ガルフ様はどこでしょう…?」



シェリーがふと、姿を消したガルフを探して
きょろきょろしているとノアが口を開く。



「ああ、一足先に…もう、向かったぞ?あの人なら…」


「いや、アンタも我慢の限界だったんかーーーッ!!」



ロードのツッコミも虚しく、全員揃ってでの
真打ち出陣は叶わなかった。

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