RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
881 / 954
最終篇第三章 “兄弟が背負う哀しき因縁”

死神の鎌

しおりを挟む





「……兄さんはあの後…戻って来たのか?」


「あァ…あん時迄は…テメェを一人にしちまった事への罪悪感が残ってたからなァ…だけど…テメェは既に孤児村へ送られてやがってよォ…会えず終いってワケだァ…」


「……なら何故、兄さんも此方へ来なかったんだ…?兄さんの話が本当なら…俺を護る為に親を手に掛けたのだろう…?」



其処がノアから語られたタイミングでアーク
は額に手を当てて狂った様な笑みを溢す。



「ヒャハハ……俺はあの後…総てを知る事になったァ…そんでよォ…全部が全部…イカれて壊れちまったんだよォォ!!」


「何があったと言うんだ…?兄さん…」


「やめろォ…テメェを見てると奴等の顔を思い出す…ケリ着けてェんだよォ…此の首元に翳された死神の鎌から這い出て…俺はァ…本物の自由を手にするッ!!」



急激に荒振り始めたアークの波動。

そして、ノアには理解し切れない言葉が耳に
入り込んで来る中で禍々しい殺意を感じた。



「俺が自由になんにはテメェも邪魔だァ!!ノアァァ!!俺の前から消えろよォ…革命家気取りの血筋毎なァァ!!」


「………そうか。やはり兄さんは変わったな…あの日…両親を手に掛けて本当に壊れてしまったんだ…殺人鬼へとな…」



ノアが全身から銀色の波動を解き放つ。

其れに合わせてアークの身体には千歳緑色の
波動が纏われ天地を揺るがし始める。

そして、両者が地面を蹴り上げた。

互いの視線と波動、そして其の手に握られる
鎌と刃がぶつかり合う。

王都を呑み込む程の衝撃波を放つ其の一撃に
王都中の人間達はこう考えた。

あの塔でも死闘が始まったのだと。

互いに武器をぶつけ合い、鎌には鍔は無いが
鍔迫り合いの状態に戦いは進んだ。



「ヒャハハ…ノア…よォく思い出して見ろよォ…奴等は俺等に良くこうやって語ったよなァ…“外の世界は今見てる景色よりもずっと広いんだ”ってよォ……!!」


「ああ…良く教えて貰っていたな…」


「蓋を開けてみりゃァよ…ソイツは俺等を反逆者にする為の洗脳だったワケだァ…ああ、怖ェなァ……テメェは其の洗脳にまんまとハマったワケだァ…」


「……ッ!!違うぞ…兄さん。俺は俺の意思で其の夢を描き始めたんだ…」


「ヒャハハ…テメェはホント、おかてェ野郎だなァ……キッカケは“親の言葉”って事には変わりねェだろうがァァ!!」



アークが鎌を振り切る。

其の勢いと圧に吹き飛ばされたノアは体勢を
崩していたが銀色の風をまるで乗り物の様に
使いこなし空中で体勢を整える。



「成る程な…そうやって親の跡を継いだ形となった俺が憎い訳か…だから其の鎌で総てを斬り刻み…孤独を進みたいと受け取ったぞ」


「ヒャハハ…どうとでも思ってくれて構わねェよォ…」



地面に再度、降り立ったノアとアークの視線
がぶつけ合い、火花を散らす。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!

風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。 185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク! ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。 そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、 チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、 さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて―― 「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」 オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、 †黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

【完結】王都を追放された俺、魔族の少女と超文明都市を築いたら、国の偉いさんが土下座しに来た!!

なみゆき
ファンタジー
王都の天才建築士セリオス・ヴァルディアは、革新的な魔導都市設計を否定され、王都を追放。 失意の中、魔族の少女リリス・ノクティアと出会い、彼女の協力を得て、魔力と技術を融合させた未来都市を築く。 やがて未来都市は人間と魔族が共に暮らす理想都市として発展し、王都は歴史の片隅へと追いやられ、セリオスは新たな未来を描き続ける。 【読んでくださりありがとうございますm(_ _)m】

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...