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最終篇第五章 “太陽を奪う者”
“最終決戦の刻”
しおりを挟む王都リオプレジアー。
正午きっかりに開戦した戰から既に二時間。
未だ二時間と思う方もいるであろうが命懸け
の戦争開始からノンストップで二時間もの時
を駆け抜けて来た戦士達の傷は深い。
夥しい程の血が流れた後に語られる此の戰は
“日の出戦争”と銘打たれるのだ。
泣こうが笑おうが其の戦争の終幕に相応しい
最終決戦が目前へと迫っている。
帝国軍本部の最高点、天空天守へ向かうのは
バルモアの王女シェリー・ノスタルジア。
其の王女シェリーが発現させた閃光のギフト
が空気にチカラを付与して生み出した星型の
乗り物の上に乗りしはシェリーだけに非ず。
此の物語は彼の存在無くては語れない。
此の時代の中で、自身の数奇な運命に翻弄を
されながらも持ち前の勇気の力で道を拓いて
突き進んで来た男、ロード。
其の名は、ヘヴンリーと語るべきなのか。
はたまたケーニッヒと綴るべきなのか。
双方の名を挙げなくてはならない所がロード
の数奇な運命を表していると言っても過言に
なる事は無いだろう。
二人は征くー。
此の物語の夜明けを目指してー。
「ロード様……っ」
「どうかしたか?シェリー?」
「き、緊張されてますかっ……?」
「ん?ああ……バリバリ緊張してんぜ…?シェリーもヤバそうだな…」
「は、はいっ!!緊張もしますし…正直怖いというのが本音で……で、でも……っ!!」
ロードがあたふたし始めたシェリーの頭の上
にポンと手を置いて静かに話し始める。
「俺さ…シェリーと出逢ってから…シェリーには驚かされっぱなしだよ…。時の街でエルヴィスと会って話した時も…祈りの街で覚醒を目覚めさせた後の決意の言葉もよ…」
「ロード…様っ?」
「シェリーは強ェ……心からそう思ってんだ…だからよ……俺も怖ェし…緊張もヤバいけど…シェリーと一緒なら負ける気がしねェんだ」
ロードの言葉は、シェリーの胸の中に静かに
深く、そして強く沁み込んで行く。
其の言葉が背中を押したかの様に何処か固い
表情を浮かべていたシェリーに笑顔が戻ると
前を向き直し口を開いた。
「ロード様…っ……本当に出逢ってくれてありがとうございます……。もうまもなく天空天守に着きますよ?準備はいいですねっ?」
「ああッ!!もちろんだッ!!」
閃光のギフトから生み出された星型の乗り物
遂に天空天守へと辿り着いた。
ふわりと空中へと投げ出された二人。
しかし、慌てずに体勢を立て直し天空天守の
地に両足を付けて前を見据えた。
其の到着を感じたのか、天空天守の奥にある
帝国軍本部元帥室から一人の男が立ち上がり
重たい空気を纏って緩りと歩き出し始めた。
ロードとシェリーは未だかなり距離はあるが
其の男が醸し出す空気感の重さ、つまり重圧
や威圧感に気圧されそうになる。
しかし、踏み留まる。
そして、其の到着を待つのだった。
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